「膝が痛くて、階段が怖い」
「立ち上がる瞬間に、股関節がズキッとする」
「歩くのが面倒になって、外に出る回数が減った」
こういう声、70歳を過ぎると本当に増えます。痛みそのものもつらいですが、厄介なのは“気持ちまで縮こまってしまうこと”なんですよね。出かけない → 動かない → ますます動けない…と、悪い流れに入りやすい。
でも、ここでひとつ伝えたいのは、関節の悩みって「やれることがゼロ」ではありません。もちろん状態によっては病院の治療が必要ですし、痛みが強いときに無理するのは逆効果。ただ、生活の工夫で痛みが和らいだり、進み方をゆっくりにできる可能性はあります。
この記事では、関節の不調に役立つとされる生活習慣を、できるだけ難しい言葉を使わずにまとめました。「全部やろう」としなくて大丈夫。まずは、できそうなものを1つ拾ってみてください。
まず押さえるポイント:関節は「食べ方」と「動き方」で差が出る
関節の痛みというと、「関節そのもの」だけに目が行きがちです。でも実際には、関節は周りの筋肉に支えられています。なので、やるべきことは大きく2つに分けるとわかりやすいです。
- 食事で“体の材料”を補う(骨・筋肉を守る)
- 動き方で“負担”を減らす(筋肉をつける/体重を整える/姿勢を見直す)
この2つがそろうと、関節はぐっとラクになりやすい、と考えてください。
関節にやさしい食事:合言葉は「魚・たんぱく質・骨の栄養」
食事で意識したいのは、ざっくり言うと①魚 ②たんぱく質 ③骨の栄養の3つです。いきなり完璧は無理なので、まずは「今より少し増やす」くらいでOKです。
① 魚(とくに青魚・鮭):関節の“熱っぽさ”を落ち着かせる味方
サバ、イワシ、サンマ、鮭などの魚に多い“魚の脂”は、体の中の余計な炎症(イメージとしては体の中の小さな火事)を落ち着かせる方向に働くとされます。関節が痛む人ほど、この“火事”が大きくなっていることがあるんですね。
目標はシンプルに、週2〜3回、魚を食べる。焼き魚が面倒なら、サバ缶・イワシ缶でも大丈夫です。
- 焼くのが大変 → 缶詰でOK(味噌煮でも水煮でも)
- 骨まで食べたい → しらす・煮干しも便利
- 「魚が苦手」 → まずは鮭から始めると続きやすい
② たんぱく質:筋肉が落ちると、関節がグラつきやすくなる
関節を守る“ガード役”は筋肉です。筋肉が減ると、関節が安定しにくくなり、痛みが出やすくなります。高齢になるほど筋肉は落ちやすいので、たんぱく質は「たまに」ではなく毎食ちょい足しがコツ。
- 卵(焼いても茹でても)
- 豆腐・納豆(準備がラク)
- ヨーグルト・チーズ(朝に足しやすい)
- 肉・魚(脂が少なめのものだと軽い)
「量を増やす」より、回数を増やすイメージで。たとえば朝にヨーグルト、昼に豆腐、夜に魚…みたいに分けると胃にもやさしいです。
③ 骨の栄養(カルシウム+ビタミンD):骨が弱ると、転びやすさにもつながる
膝や股関節の話なのに、なぜ骨?と思うかもしれません。でも、骨が弱ると転びやすくなり、骨折で動けなくなると、関節も一気に弱ってしまいます。だから骨のケアは、回り道のようでいて、実は近道です。
カルシウムは、牛乳・ヨーグルト・チーズ、小魚、豆腐、小松菜などに多いです。そしてカルシウムを体に取り込みやすくするために、ビタミンD(魚・きのこ・卵黄など)も一緒に意識すると相性が良いとされています。
| 狙い | 例(続けやすい組み合わせ) |
|---|---|
| カルシウム+ビタミンD | 鮭+きのこ汁/サバ+卵 |
| カルシウムをしっかり | 小松菜+しらす/豆腐+納豆 |
| 朝に手軽に | ヨーグルト+果物/チーズ+パン |
食べ方の全体像:魚と野菜を真ん中に置くと、関節が喜びやすい
ここまでの話をまとめると、関節のための食事は「特別な健康食」じゃなくていい。ポイントは、魚・野菜・大豆・乳製品を“日常の中心”に置くことです。
反対に、甘い飲み物やお菓子、脂っこいものが多い食生活は、体の中の炎症を強めてしまう可能性があるとも言われます。ゼロにする必要はありません。“量を少し減らす”だけでも変化が出ることがあります。
運動がこわい人へ:やるべきは「頑張る運動」じゃなく「守る運動」
痛みがあると、「動いたら悪化するんじゃ…」と不安になりますよね。気持ちはすごくわかります。ただ、動かない期間が長いほど筋肉が落ちて、関節が安定しにくくなり、痛みが増えやすいとも考えられています。
ここで大事なのは、痛みが出ない範囲で、少しずつです。
- 歩けるなら:まずは短い距離をこまめに
- 膝が心配なら:椅子に座っての足の体操から
- 環境があれば:水中ウォーキングなど体重が軽く感じる運動も◎
「毎日30分!」みたいな目標より、毎日3分でも続くことのほうが勝ちです。痛みが強くなる・腫れる・熱をもつなどがあれば、無理せず医療者に相談してください。
体重は“少し”でも関節がラクになる(ただし急ぎすぎない)
体重が増えるほど、膝や股関節にかかる負担は増えます。だから、もし体重が気になるなら「ちょっと軽くする」だけでも関節にはありがたい話です。
ただし高齢の方は、急に食事を減らすと筋肉まで落ちてしまうことがあります。これだと関節を支えられなくなって逆効果。
減らすなら「甘いもの・甘い飲み物」から。
そして、たんぱく質は減らしすぎない。
この順番が安心です。
姿勢と動作:ここを直すだけで「膝がラク」が起きることがある
意外と見落としがちなのが、姿勢や動作のクセです。たとえば、いつも片足に体重をかけて立つ、足を組む、前かがみが多い…こういう積み重ねが関節に負担を寄せてしまうことがあります。
- 立つときは、つま先と膝の向きをそろえる
- 片側に寄らないように、体重を左右に分ける
- 長時間の中腰は避けて、椅子を使う
- 杖やサポーターは「負け」ではなく関節を守る道具
こういう小さな修正が、じわっと効いてくることがあります。
睡眠とストレスも、関節の痛みに関係する(痛みは“感じ方”が変わる)
睡眠が浅い日が続くと、体の回復が追いつきにくくなります。すると、同じ痛みでも「強く感じる」ようになりやすい。ストレスがたまると筋肉がこわばって、これも痛みの感じ方に影響しやすいと言われます。
難しいことはしなくてOK。寝る前に、
- ぬるめのお風呂で温める
- 軽いストレッチで体をゆるめる
- 深呼吸を3回だけしてみる
これだけでも違うことがあります。
まとめ:完璧より「1つ増やす」が関節には一番効く
関節ケアは、気合いでやるものじゃなくて、習慣で勝つものです。全部やろうとすると疲れます。だから、今日からはこれで十分。
- 週2〜3回、魚を食べる
- 毎食どこかに、たんぱく質をちょい足し
- 痛みが出ない範囲で、少し動く
この3つだけでも、関節にとってはかなり良いスタートです。「できた日」を増やしていきましょう。
参考文献・参考情報
本記事は、下記の資料・公開情報(添付資料に記載の参考文献/関連情報)をもとに作成しました。
-
厚生労働省 eJIM:
eJIM(統合医療)
(「変形性関節症に対するグルコサミンとコンドロイチン」等) -
Wen et al. Journal of Orthopaedic Surgery and Research (2023):
オメガ3脂肪酸補給と変形性関節症に関するメタ解析(論文) -
日本整形外科学会:
「変形性膝関節症 診療ガイドライン(2019)」ほか各種ガイドライン





