「MCTパウダーって何?」
「MCTパウダーはどうやって使うの?」
このページはそんな疑問を持つ人に向けて作成しています。
管理栄養士のタイゾーです。
『MCTパウダー』という食品をご存知でしょうか?
MCTというローマ字が使われると「薬なのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、MCTパウダーは食品です。
MCTパウダーを知らない人もいるかもしれませんが、ダイエットや認知症対策に利用することができます。
MCTパウダーの成分や使い方など基本的なことも解説していくので是非参考にしてください。
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MCTパウダーとは
まず『MCTパウダー』がどんなものかをご紹介していきます。
MCTパウダーとはMCTオイルをパウダー状にしたものをいいます。
まずMCTオイルというのは、中鎖脂肪酸で出来ている油のことで、エネルギーとして利用しやすく脂肪になりにくいという性質があります。
ダイエットに利用する人や、病院などでは栄養不足の患者の栄養補給として利用されることがあります。
メリットが多いMCTオイルですが難点があります。
それは『水に溶けにくい』ことです。
ご存知かもしれませんが、油と水は混ざらないため、飲料水やジュースと混ぜて摂取することが難しいのです。
「油をそのまま飲めばいいのでは?」
と思う人もいるでしょう。
確かにそのまま飲める人は良いですが、油をそのまま飲むことに抵抗がある人もいます。
そこで開発されたのが『MCTパウダー』です。
MCTパウダーは、水に溶かすことが出来るため、より中鎖脂肪酸を摂取しやすくなっているのです。
次にMCTパウダーに含まれている成分について解説していきます。
MCTパウダーに含まれる中鎖脂肪酸
先にも紹介しましたが、MCTパウダーに主に含まれるのは『中鎖脂肪酸』という成分です。
中鎖脂肪酸の説明を簡単にするなら、「天然由来の、エネルギーとして燃焼しやすい油」と言えます。
中鎖脂肪酸とは天然由来の成分で、『母乳』や『牛乳』をはじめ、近年日本でポピュラーになった『ココナッツオイル』などに含まれています。
私たちが摂取している油のもとになっているものを『脂肪酸』といいますが、脂肪酸には色々な種類があって、構造の長さによって『長鎖脂肪酸』『中鎖脂肪酸』『短鎖脂肪酸』の3つに分けられます。
ちなみに、私たちが料理などによく使う植物油は、構造の長い長鎖脂肪酸です。
これに対して、MCTパウダーは、長鎖脂肪酸の1/2の長さである中鎖脂肪酸で構成されています。
「脂肪酸の長さで、効果が変わるの?」
と思うかもしれませんが、中鎖脂肪酸を摂取することで後述する様々なメリットがあるのです。
MCTパウダーは、この中鎖脂肪酸を粉状にしたものですから、基本的に中鎖脂肪酸の恩恵を受けられると考えれば良いでしょう。
次にMCTパウダー(中鎖脂肪酸)で得られるメリットを解説していきます。
MCTパウダーを摂る3つのメリット
MCTパウダーを使うことで得られるメリットは以下の点があげられます。
- 効率の良いエネルギー源に
- ダイエットに利用できる
- 認知症対策に
効率の良いエネルギー源になる
MCTパウダーは体調をくずして『食事がとれない』というひとには有効なエネルギー源になります。
私たちが生きていくためには、エネルギーが必要ですが、MCTパウダーに含まれる中鎖脂肪酸は、私たちが生きていくための効率の良いエネルギー源になります。
先に紹介したように、私たちが日常的に料理などで使っている植物油は長鎖脂肪酸脂肪酸です。
長鎖脂肪酸を摂取した場合、筋肉や肝臓、脂肪組織に運ばれて貯め込まれます。この貯め込まれた分は、運動をした時など、必要に応じてエネルギーとして使われます。
つまり、長鎖脂肪酸脂肪酸は一回貯め込んでから使われるため、エネルギーとして利用するには時間がかかるというわけです。
これだと食事が摂れていないエネルギー不足の人に対して効率が良くありません。
これに対して、中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸よりも約4倍も早くエネルギーとして燃焼される性質を持っています。
また同じくエネルギーとして利用される糖質・タンパク質は1g=4kcalであるのに対し、脂質は1g=9kcalと高カロリーなので、エネルギー不足の人にとって有効な栄養源となり得ます。
このような性質を持つ中鎖脂肪酸は医療現場でもエネルギーを必要とする患者に対して、食事で用いられることがあるのです。
ダイエットに利用できる
MCTパウダーはダイエットの中でも糖質制限ダイエットとの相性が良いと言えます。
糖質制限ダイエットは名前の通り、食事に含まれる糖質の摂取を控えるダイエット法ですが、糖質を制限してしまうことでエネルギー不足になってしまう危険性があります。
確かに糖質を制限すれば短期間で減量できる可能性がありますが、日常的にエネルギー不足になると体調をくずしてしまいます。
そこで糖質に変わるエネルギー源としてMCTパウダーを利用します。
先に紹介したようにMCTパウダーの中鎖脂肪酸はカラダの中でエネルギーとして燃焼しやすいため、糖質制限中のエネルギー不足を解消するために利用することができると言えます。
糖質量には注意
市販のMCTパウダーの中には糖質が多く含まれているものがあります。
調べたところ100g中に約20gの炭水化物が含まれているものも存在しているので、糖質量を気にしている人は購入する際に成分表示を必ずチェックするようにしてください。
認知症対策に
近年、MCTパウダーに含まれる中鎖脂肪酸が認知症対策に有効であるとの研究結果が出てくるようになりました。
2008年、アメリカの医学博士であるメアリー・T・ニューポートのレポートでは、若年性アルツハイマー病を患う夫に中鎖脂肪酸を摂取させたところ、目に見える変化が現れたと報告されています。
脳は通常、エネルギー源として「ブドウ糖」を利用しますが、アルツハイマーの人の場合ブドウ糖の利用効率が低下していることが明らかになってきました。
ブドウ糖が利用できないと、脳が栄養不足をおこし機能が低下してしまいます。
そこでブドウ糖にかわって脳のエネルギーとして利用されるのが中鎖脂肪酸です。
具体的には中鎖脂肪酸を摂取することで『ケトン体』という物質がカラダの中で生み出され、ケトン体がブドウ糖にかわって脳のエネルギー源として機能するのです。
アメリカでの報告によれば、アルツハイマー病患者と予備軍の人に中鎖脂肪酸を摂取させたところ、血液中のケトン体が増加して記憶力などの低下が抑えられるという報告があります。
参考文献:Henderson ST, et al., Nutr Metab(Lond), 2009
MCTパウダーの使い方
MCTパウダーの基本的な使い方は、飲料水やジュースなど水分の多いものに混ぜて摂取します。
ただ、白くにごることがあるため、シチューやポタージュスープなどに混ぜて使うと良いでしょう。
『ダマ』になる場合は、最初に水で溶いてから使用するとダマになりにくくなります。
使用感はメーカーによっても異なることがあるので注意してください。
MCTパウダーの注意点
MCTパウダーのメリットについて解説してきましたが、MCTパウダーだけを極端に摂ることはオススメできません。
MCTパウダーが効率の良いエネルギー源といっても、栄養の基本はバランスです。
脂質の他にも糖質・タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維など幅広く摂取することが大切ですから、MCTパウダーを利用する際は他の食品もしっかり摂るようにしましょう。
また、体調をくずして日頃から食事を摂れないという人でMCTパウダーの利用を考えている人は医師や管理栄養士に相談する事をオススメします。
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