あなたに合った「杖の選び方」重要なポイント

シニア世代の方々に少しでもお役に立つ情報をお伝えしたいと思い、今回は福祉用具の定番の歩行補助杖についてお話していこうと思います。

みなさんは『杖』と聞いてどんなイメージでしょうか?私は、歳を重ねると自分も使うようになるのかな?杖があると安心して歩けるのかな?そして最近では色んな色や形の杖をお見かけし、どんどん進化しているというイメージです。また、少し前までは介護用品、福祉用品を取り扱う専門店でしか購入できなかったイメージですが、最近はホームセンターでも販売されており、すごく身近なものになっているように感じます。

そこで今回は、『杖』を使うメリットや『杖』の種類、選び方など、ご説明いたします。

杖を使うメリットとは?

歩行を安定させてくれます

年齢とともにカラダの機能も低下し、足腰の筋力も衰えてきます。足腰が少し心配になってきた…と不安をお持ちの方に、杖は歩行のお手伝いを担ってくれて、安定し歩行しやすくなります。カラダを支える面積が増えることで、カラダのバランスも保ちやすくなります。

足腰にかかる重荷の軽減をしてくれます

杖を使うことで、今まで自分の足にかかっていた体重の重荷を杖にも分散でき、足腰への負担を軽減できます。歩行が不安という方だけでなく、足腰に痛みがある方や足腰に不調がみられる方にもおすすめです。

杖の種類・特徴

T字杖

T字杖とは、まっすぐの棒にT字型のグリップが付いている最も一般的な杖です。
色やデザイン性にも優れており、持ち運びに便利な折り畳み式のものや、伸縮式のものもあります。

<特徴>

基本的には杖が無くても自立歩行ができる人に適しており、自立歩行をサポートする補助具です。体重の6分の1程度の重さをサポートしてくれます。使い方も簡単で、どなたでも手軽に使用できます。

ロフストランド杖

杖の上部に前腕を通す輪っか(カフ)が付いており、カフの下には、握り手(グリップ)が付いています。カフの形がオープンタイプのU字型とクローズタイプのO字型の2種類があります。

<特徴>

前腕と握り手の2点で支えるため、体重を分散させることができ、T字杖に比べると安定性に優れています。麻痺がある方や握力が弱い方にも使用しやすい杖です。カフの形もご自身に合ったものを選択しましょう。

松葉杖

足のケガをした際に使用されるというイメージがあるかもしれませんが、両脇に挟むタイプで脇あてとグリップを握って体重を支えるタイプの杖です。基本的には2本で1組として使用します。木製やアルミ、伸縮式など種類があります。

<特徴>

両脇で主に体重を支えるので、下半身への負担が軽減されます。下半身に麻痺がある方や股関節症などお持ちの方におすすめの杖です。しかし、長く使用し続けると、脇への負担が大きいので、カラダの調子を見ながら使用しましょう。

多点杖

多点杖はその名の通り、杖の先端部分が3~4本に分かれている杖です。

<特徴>

多点杖はT字杖に比べると着地面積が広く、安定性に優れています。体重をかけても倒れないので、安心して使用できます。構造上、地面の凸凹の影響を受けやすいので使用の際には、足元をよく確認しましょう。

杖の選び方

杖を選ぶうえで一番大切なことは、自分の身長やカラダに合った杖を選ぶということです。人それぞれ身体機能や杖を使う目的が違うので、ご自身の今の身体状況をしっかり把握し、そのうえで杖の長さ、軽さ、丈夫さ、握りやすさなど、比べてみましょう。

杖の長さを決める目安は、杖を持ち、持った手と同じ側の足先前方20センチ程のところに杖の先を置きます。その際に自然と肘が30~40度の角度になっていると丁度良いと言われています。

カラダに合わない杖を使っていると、転倒する危険性があったり、余計にカラダに負担をかけてしまいます。実際に杖を使用し、歩いてみたり、持ち運びをしてみましょう。グリップの握りやすさも重要です。ご自身で選びにくい際は、専門家の方に見てもらいながら使用されるのも良いでしょう。

『杖』と一言で言っても、さまざまな種類や特徴があります。みなさんが安心して使用できる杖を選ぶきっかけになれば幸いです。ぜひ参考にしてみてください。