腎臓とは何をするところ?
血液をろ過している
心臓から送り出された血液は全身に栄養と酸素を運びます。細胞の入れ替わり等が行われた後に出る老廃物は血液に乗って腎臓に集まります。腎臓で老廃物がろ過され、綺麗になった血液がまた体内に戻ってゆきます。
腎臓は体の左右に2個存在し、1つは120~150g程の臓器です。小さな臓器ではありますが、人間が生きる為には無くてはならない臓器です。構造ですが、腎臓の内部には非常に細かい血管が集まって出来ています。これらの細かい血管の全てがネフロンという組織につながっています。ネフロンとは言わば「ろ過器」といえばいいでしょうか。血液の中の老廃物であるクレアチニンや尿酸等をろ過して、尿を作り出すのがネフロンです。ちなみに1個の腎臓に100万個のネフロンがあります。
ネフロンは1個の糸球体と尿細管で構成されています。糸球体というのは毛細血管の集まりで、毛糸球のような形をしています。この糸球体こそ、血液をろ過するフィルターの役目を持っています。
ホルモンを分泌している
腎臓は血液のろ過機能だけではなく、ホルモンも分泌しています。
分泌される、プロスタグランジン、キニン、レニンといったホルモンは血圧調整作用があり、エリスロポエチンは赤血球の生成をコントロールしています。また、骨の再生に使われるビタミンDを活性化する作用もあるので、骨の健康の一端を担っています。
体の水分量を調整する役割
腎臓は血液をろ過して尿を作り出しますが、尿を作って排出する事で、体の水分量が調整されています。また体内のナトリウムやカリウム、リンといいた電解質の濃度をコントロールして血液のPH(酸性、アルカリ性)のバランスを整えてくれています。
腎臓の機能が低下してしまうと何が起こる?
■老廃物がたまってしまう
腎臓は老廃物を処理してくれる臓器なので、腎臓の機能が低下してしまうとろ過機能がうまく働かず、体に老廃物がたまった状態になってしまい「尿毒症」になってしまいます。尿毒症になると吐き気、けいれん、食欲不振等の症状が起きます。
■水が体にたまる
腎臓が働かなければ尿が作られません。人間は尿が排泄される事で、体の水分量を調整していますから、尿が出なくなると水が体内にたまった状態になってしまいます。むくみなどが症状として出ます。
■ホルモン異常
ホルモン分泌も腎臓の役目です。腎臓機能低下によりホルモンの分泌に障害がでます。こうなると、骨が弱くなったり、貧血、高血圧といった症状がでます。
腎機能が低下してくると慢性腎臓病(CKD)につながる
慢性腎臓病(CKD)とは
慢性腎臓病とは、原因によらず腎機能が一定以下に落ちている状態の事をいいます。一定以上の腎機能の低下や腎臓の障害が、慢性的に続いてしまう病気の総称です。CKD(chronic kidney desease)ともいいます。腎臓は一度悪化してしまうと回復するのは困難と言われています。早期に発見して治療や生活改善を行う事が重要です。
平成26年に厚生省が行った「平成26年患者調査の概要」によると、慢性腎不全の患者総数は296,000人です。性別調査では男性185,000人、女性110,000人という結果が出ています。近年の高齢化に伴って患者数は増加しています。
慢性腎臓病は非常に我慢強い臓器です。腎臓の機能が低下している場合でも自覚症状はほとんどないのです。見えない所で耐えているのです。したがって自覚症状が出てしまった時には腎臓の状態がかなり悪くなっている場合は多いのが特徴です。大切なのは早期に発見し、いち早く生活習慣、食習慣を変える事です。
慢性腎臓病の症状
自覚症状としては腎臓の機能低下による「尿毒症」の症状です。
・貧血
・頭痛
・吐き気
・めまい
・しびれ
・意識障害
・不整脈
慢性腎臓病の診断
慢性腎臓病の診断では「尿検査」と「血液検査」が行われます。
・たんぱく尿が0.15g/日以上、尿異常、画像診断(X線や超音波、CT検査等、)、血液検査などで腎臓に明らかな障害が見られる
・腎臓の機能が健康な人の60%未満 血清クレアチニン値などによる糸球体ろ過量(GFR)が60未満
上記のいずれか、または両方が3ヶ月以上続くと慢性腎臓病と診断されます。定期的に検査を行い早期発見に努めましょう。
腎臓病と食事
腎臓と食事との関わりは近年かなり重要視されています。特に重要なのは塩分コントロール。腎臓は毛細血管の集まりです。塩分が多い食事を摂っていると高血圧を招き、腎臓の毛細血管に負担がかかってしまいます。したがってまずは塩分コントロールを第一に行いましょう。塩分は1日に6g未満が推奨されています。