MCTオイルの効果や過剰症

MCTオイルの効果や過剰症
「MCTオイルって何?」

「MCTオイルはどうやって使う?」

「MCTオイルってダイエットに役立つの?」

このページはそんなMCTオイルへの疑問を持つ人に向けて管理栄養士が作成しています。

近年注目されるようになった『MCTオイル』

どのような食品なのか、効果や使い方をはじめ、副作用の有無までまとめて管理栄養士がご紹介していきます。


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MCTオイルの特徴

このページを読んで下さっている方の中には「MCTオイルって何?」と疑問を持っている方もいるでしょう。

そこでまずはMCTオイルがどんなものかご紹介していきます。

MCTオイルの最大の特徴は、成分の100%が『中鎖脂肪酸』で成り立っている食用油であることです。

また、ほかの食用油に比べて無力透明でクセが少ないのも特徴です。

原材料はメーカーによっても異なりますが、ココナッツやパームフルーツなどのヤシ科の植物が主に利用されています。

近年では、中鎖脂肪酸の特性から俗に『ダイエットに良い』と認知されており、病院でも患者に対して利用されることがあります。

MCTオイルの中鎖脂肪酸ってどんなもの?

MCTオイルを理解するためには、含まれている『中鎖脂肪酸』という成分について理解する必要があります。

中鎖脂肪酸とは脂質成分のひとつであり、エネルギーとして利用されやすく、脂肪として蓄積しにくいというのが特徴です。

一般的な知識としてはこれで十分かもしれませんが、より詳しく知りたい方のためにもう少し詳しく解説しておきます。

難しい言い方になるかもしれませんが、MCTオイルは『飽和脂肪酸』の中の『中鎖鎖脂肪酸』でできています。

私たちのカラダにはいろいろな種類の脂質が存在していますが、おおまかにいうと、中性脂肪、脂肪酸(遊離脂肪酸)、コレステロール、リン脂質の4つが存在しています。

このうちMCTオイルの中鎖脂肪酸はどこにあたるのかというと、脂肪酸です。

詳しくは下記の図を見てもらうと分かりやすいかと思うのですが、脂肪酸はさらに不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸の2種類に分けられ、そして飽和脂肪酸も構造の違いによって『長鎖脂肪酸』『中鎖脂肪酸』『短鎖脂肪酸』に分けられるのです。

具体的にいうと、炭素の鎖の長さで分類した場合、長さの違いから長鎖、中鎖、短鎖に分けられます。

「構造が違うだけで、同じ飽和脂肪酸でしょ?」と思うかもしれませんが、構造が違うだけで体への働きは変わってきます。

下の図のように長鎖脂肪酸がカラダへ蓄積しやすいのに対し、中鎖脂肪酸は体に蓄積しずらく、エネルギーになりやすいという違いがあるのです。

脂肪酸の種類と働き

中鎖脂肪酸自体はMCTオイルだけに含まれているわけではなく、ココナッツやパームフルーツといったヤシ科の植物や牛乳や母乳にも含まれています。

そして近年では中鎖脂肪酸を粉状(パウダー状)で摂れる『MCTパウダー』というものも存在します。

関連ページ:【栄養士監修】MCTパウダーの効果・効能

MCTオイルはどんな効果が期待できるの?

MCTオイルの主な効果をまとめると以下のようなものがあります。

  • カラダに脂肪がつきにくく、肥満予防に
  • 栄養不足の人の効率の良いエネルギー源に
  • 糖質制限と相性が良い
  • 子供のてんかん発作に有効性

カラダに脂肪がつきにくく、肥満予防に

MCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、エネルギーをして燃焼しやすいため、脂肪として蓄積しにくい作用があります。

したがって、ドレッシングなどに使うアブラをMCTオイルに置き換えることで、肥満になりにくくしてくれるのです。

ちなみにMCTオイルは特定の商品で「カラダに脂肪がつきにくい」という表示が許された特定保健用食品に認定されているものもあります。

※MCTオイルに脂肪燃焼効果はありませんのでご注意

栄養不足の人のエネルギー源に

MCTオイルはダイエットのイメージが先行しがちですが、食事がとれない人の栄養サポートとしても利用することができます。

病気の人や、高齢者の中には体調面から満足に食事が摂れないという方もいるでしょう。食事がとれないと生きるためのエネルギー源が確保できずに、生命活動を営むことができません。

しかし、飲み込む力や噛む力が弱っていれば食べたくても、満足に食事を食べれないという人もいます。

そんな方のためにMCTオイルは非常に役立ちます。

エネルギーとして利用されやすいだけでなく、高カロリーであるため少量でエネルギー源を体に補給することが可能です。実際に、MCTオイルは病院でも患者のエネルギー補給として利用されているのです。

糖質制限と相性が良い

糖質制限とは、食事から米やパン、イモといった糖質の多い食品を控えることをいいます。

近年では糖質制限ダイエットというダイエット法が有名になりましたが、この糖質制限にMCTオイルは相性が良いのでおススメです。

糖質制限中によくあるのが、エネルギー不足。

糖質制限を実践した人であれば、「フラフラする」「元気がでない」「頭がはたらかない」などといった症状を経験した人もいるのでは。

糖質は効率の良いエネルギー源であるため、糖質を制限すれば自然と体がエネルギー不足になり、パワーが出なくなります。

そのパワー不足を解消するためにMCTオイルが有効とされています。

MCTオイルはエネルギーに変換されやすいため、糖質の代わりにエネルギーとして利用することで糖質制限中のパワー不足の悩みをサポートしてくれるのです。

ただ、MCTオイルがあるからといって過度な糖質制限はおススメできません。医師や栄養士など専門家の指導の下、糖質制限を行うことをおススメします。

子供のてんかん発作に有効

MCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、小児のてんかん発作に対して有効性が示されています。

具体的には、小児の無動発作、関代発作、小発作に対して中鎖脂肪酸を経口摂取させることで発作が抑えられることが報告されています。

ただ、安易に摂取させず主治医に相談して摂るようにしてください。

参考文献:natural medicines Eur J Clin Nutr.2014 Oct;68(10):1134-40

MCTオイルの使い方

MCTオイルはどれくらい飲んだらよいのか?

MCTオイルは医薬品ではないため、明確な用法容量は存在しません。

しかし、これからMCTオイルを使う方であれば、1日小さじ杯程度から始めることをおススメします。

日本人の健康な成人20名を対象に行われた比較試験では、中鎖脂肪酸4.8gを4週間摂取させたところ、血清脂質、ケトン体、体脂肪、肝機能、腎臓機能に影響なく使用できたとする報告があります。

参考文献:静脈経腸栄養.2002;17(4):99-105

MCTオイルは安全性の高いアブラといえますが、過剰摂取によって副作用も報告されています。(詳しくは後述しています)

したがって安全のためにもまずは小さじ1杯程度からはじめるようにしましょう。

MCTオイルの摂取タイミング

よく受けるのが「MCTオイルっていつ摂ればいいの?」という質問です。

私のおススメとしては『間食』での利用をおススメします。

当たり前ですが、食事を摂ってから時間が経過するとカラダの栄養が使われて無くなっていきます。

するとエネルギーを十分に生み出すことができずに、仕事や家事、スポーツ、勉強などのパフォーマンスが上がりません。

これを解消するために、食事と食事の間にコーヒーやお好みのドリンクにMCTオイルを飲めばエネルギーを発生させやすくすることが出来るのです。

もちろん、食事の時にドレッシングなどで使うのもOKですが、日ごろのパフォーマンスを上げるために間食に摂ることをおススメします。

MCTオイルはどうやって使う?

MCTオイルとコーヒー

基本的にはMCTオイルはコーヒーやジュースといった飲料にまぜて飲むことをおススメします。

また、料理に使う場合はサラダのドレッシングやスープ、みそ汁など食べる直前に使用する方が良いです。

加熱調理には向いていないので、炒め物や揚げ物などでは使わないようにしましょう。

MCTオイルの摂りすぎに注意!過剰症・副作用の危険も

MCTオイルは安全性の高いアブラといえます。しかし、どんな食品でも摂りすぎは禁物。

次にMCTオイルの中鎖脂肪酸で実際に報告されている過剰症や考えられる危険性について紹介していきます。

MCTオイルも副作用の危険性はある

国立栄養研究所の素材情報データベースよれば、中鎖脂肪酸の経口摂取による副作用として以下のようなことが報告されています。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 吐き気
  • 胃腸の不調
  • 局所刺激
  • 鼓腸

その他の危険性

国立栄養研究所のデータで危険性が示唆されているのは、糖尿病の人と肝硬変患者に対してです。

中鎖脂肪酸によってケトーシスを起こす危険性があるため、糖尿病の人は注意が必要です。

また、中鎖脂肪酸は肝臓で代謝するため、肝臓機能が低下している人も注意してください。肝硬変の患者は昏睡状態になる可能性があります。

基本的にこれらの病気の悩みのある方は安易にMCTオイルを摂取せず、医師に相談するようにしましょう。

まとめ

このページで紹介したようにMCTオイルはエネルギーになりやすく、おススメできる食用油です。
安全性は高いといえますが、一部過剰摂取による危険性も示唆されていますから、リスクも認識しつつ、少量から摂り始めると良いでしょう。
また、ダイエットに良いといっても脂肪燃焼効果があるわけではありませんから、『エネルギー補給』としてとらえるようにして下さい。


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