GABA(ギャバ)は効果なし
「GABAって効果ある?ない?」

このページはそんな疑問を持つ人に向けて管理栄養士が作成しています。

サプリメントでもよく見かける『GABA(ギャバ)』という成分。

俗に「脳の働きに良い」とか「認知機能を高める」、「ストレスに良い』」など言われていますが、結論をいうとGABAをサプリメントで摂取する場合、これらの効果は期待できません。

このページでは、上記のような脳の悩みにGABAが聞かない理由についてご紹介していきます。

また、GABAは一部ヒトへの有効性が認められているものも存在しますので、そのあたりも解説していきます。

GABAに興味がある方はぜひ参考にしてください。

GABAってどんな成分なの?

まずGABA(ギャバ)がどんな成分なのかをご紹介しておきましょう。

GABAとは『アミノ酸』という成分のことです。

具体的にいうと、GABAは『γ-アミノ酪酸』といって英語では『Gamma Amino Butyric Acid』と表記されます。この英語の頭文字をとって『GABA』というのです。

アミノ酸自体はタンパク質を構成する成分ですが、このGABAに関してはタンパク質を構成しません。

また、サプリメントでよく見かけますが、基本的にGABAは体内で合成することが可能です。

※体内で合成できず食事から摂取しなくてはいけないアミノ酸は9種類(必須アミノ酸)が存在しますが、GABAは必須アミノ酸には該当しません。

GABAは脳の働きや不眠、不安の改善に働く

GABA自体は、私たちのカラダの中で重要な働きをしています。

GABAはニューロンという神経細胞の間で情報のやりとりをするために必要な『神経伝達物質』です。
興奮状態やストレスがかかっている状態では、この神経細胞間の情報のやりとりが増加しますが、GABAは神経細胞の興奮を抑えてくれる働きがあることが分かっています。
この事から、医薬品の中には不眠や不安などの改善を目的に、体内のGABAの作用を高める薬も存在します。

GABAサプリメントが効果がない理由

GABAが脳機能やストレス軽減といった作用にかかわっていることはあきらかですが、残念ながらGABAサプリメントで脳機能が改善したりストレス軽減は期待できません。

なぜならGABAサプリを私たちが摂取しても、GABAは脳まで届かないからです。

そもそも成分を脳まで送るためには、血管に存在する『脳関門』という場所を通らなくてはなりません。

この脳関門は脳へ有害なものを送らないようにする、文字通り『ガード役』としての役割をもっています。

脳は私たちが生きるために考えたり、カラダを動かす指令を与えたりと、様々な役割を持っている非常に大切な部分です。

そんな脳を守るために有害なものが入ってこないようにするために脳関門があるのです。

つまり、食べた成分がなんでもかんでも脳に送られるわけではないということです。

GABAも同じです。摂取したGABAは残念ながら脳まで到達できません。

サプリメントに含まれているGABAは分子量が大きく、脳関門を通過できないのです。

つまり、このことから考えるとストレス軽減や脳機能の向上を目的にする場合、GABAを摂取しても意味がないと現在では考えられています。

ヒトへの有効性が認められているのは『血圧の悩み』

「じゃあ、GABAって何の役にも立たないの?」

と思うかもしれませんが、そうではありません。

『血圧の悩み』に関してはヒトへの効果が認められています。

現在、GABAには血圧を低下させる作用が確認されているため、特定保健用食品として『血圧が高めの方に適する』旨の表示が認められています。

ただし、国立栄養研究所の素材情報データベースでは『サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない』とされているため、サプリメントで摂る場合は注意が必要です。血圧に悩んでいる人は医師などの専門家に相談することをオススメします。また、摂取したい場合は絶対に過剰摂取にならないように注意しましょう。

また、GABAは大豆、トマトなどの野菜類、米などの日常的に食べる食品に含まれているため、個人的にはわざわざサプリメントで摂取しなくても良いと思います。

GABAは体内で作られる。バランスの良い食事週刊が重要

重要なのはGABAをサプリメントで摂取するよりも、食習慣を見直すことです。

先ほどGABAは体内で作られると紹介しましたが、具体的にはグルタミンなどの脳関門を通ることが出来るアミノ酸から合成されます。

したがってGABA単体を摂ろうとするよりも、通常の食品からバランス良くアミノ酸類を摂取することが良いでしょう。

具体的には肉・卵といったタンパク源は、健康を保つためのアミノ酸をバランスよく含んでいますし、あわせて野菜類も摂ることで栄養素が体の中で効率よく利用されるサポートをする微量栄養素も補給でます。

また先に紹介した通り、GABA自体も大豆、トマトなどの野菜類、米等の身近な食品に含まれているため、バランスの良い食生活を心がければGABAも摂取できます。

食事バランスを良くする方法に関しては以下のページで紹介していますので、ぜひそちらも参考にしてください。

■栄養士が実践『バランスの良い食事が摂れるようになる4つの方法』