このページでは『コレステロール』について管理栄養士が解説しています。
詳しく栄養学を学びたい一般の方から、管理栄養士を目指す学生を対象としていますので参考にして下さい。
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コレステロールとは
まずは、基本的な『コレステロールって何?』という所から学んでいきましょう。
まず、コレステロールというのは、脂質の一種です。
肉や魚とにった肉類、大豆等の植物食品など様々な食品に脂質は含まれています。
そんな脂質にも種類があり、その中の一つがコレステロールという訳です。
脂質の種類に関しては下記ページで詳しく解説していますので合わせて参考にして下さい。
食品に含まれるコレステロール量に注目が集まりがちですが、コレステロールはカラダの中でも作られています。ちなみにカラダの中でコレステロールが作られることを『コレステロールの合成』といいます。
コレステロールの役割とは
一般の方の中には『コレステロール=悪者』という見方をしている人がいますが、コレステロールは私たちが健康を維持するために大切な働きをしてくれている存在です。(もちろん体内に多すぎるのも問題ですが)
よって次にコレステロールが私たちのカラダの中でどんな働きをするかをご紹介していきます。
※管理栄養士の国家試験でもよく問われる部分なので学生の方はしっかりポイントを押えていきましょう。
コレステロールの役割は様々ですが、ポイントになるのは以下の4つです。
- ①細胞膜の成分になる
- ②リポたんぱく質の成分となる
- ③ステロイドホルモンの材料になる
- ④胆汁酸の材料になる
では、それぞれを詳しく学んでいきましょう。
①細胞膜の成分となる
私たちのカラダは非常に多くの『細胞』が集まって形作られています。
この細胞には『細胞膜』といわれる膜が存在しているのですが、この細胞膜の成分のひとつとして働くのがコレステロールなのです。
下記に細胞膜の構造を紹介しておきますが、リン脂質がきれいに並んでおり、その間を埋めてくれているのがコレステロールになります。これによって、コレステロールは細胞膜の『安定化』に役立ってくれているのです。
健康な細胞を維持する上でも、コレステロールは必要な存在ということですね。
②リポたんぱく質の成分となる
コレステロールは『リポたんぱく質』というものの成分にもなります。
リポたんぱく質ってわかりますか?リポたんぱく質とは、脂質を運ぶ『カプセル』のような存在です。
脂質は血液に乗って全身に運ばれる訳ですが、血液に多く含まれるのは水分。水とアブラは混ざり合わないように、本当であれば脂質は血液に溶けこめません。この問題を解決してくれるのがリポたんぱく質です。
リポたんぱく質が脂質をカプセルのように包み込んで、運べるようになるのです。
で、本題に戻りますが、この脂質の運搬役であるリポたんぱく質を構成する成分のひとつがコレステロールというわけです。
具体的にはリポたんぱく質の膜にあるリン脂質の間にはまって、膜を安定させてくれています。わかりにくいと思った方は下の図を見て下さいね。
③ステロイドホルモンの材料になる
ステロイドホルモンの材料になるのもコレステロール。
ステロイドホルモンは、コレステロールから作られる脂溶性のホルモンで、性ホルモンとして代表的なエストロゲンやプロゲステロン。その他にもグルココルチコイド、ミネラロコルチコイド、アンドロゲンなどがある。
コレステロールはこれらステロイドホルモンの材料にもなります。
※国試ではステロイドホルモンの材料=コレステロールというのが結構問われます。
④胆汁酸の材料になる
コレステロールは『胆汁酸』の材料にもなります。
胆汁酸とは、胆汁の中に含まれる成分で乳化剤の役割をはたします。乳化というのは、水と油を混ぜ合わせる役目をいいますが、胆汁酸の場合は十二指腸で、トリグリセリド(脂溶性)とリパーゼ(水溶性)を乳化してリパーゼが働きやすくしてくれる役目を持ちます。わかりにくいかもしれませんが、ようは、胆汁酸は脂肪の吸収を助けてくれるということです。
胆汁酸の材料もコレステロールという訳です。
ちなみに、このコレステロールから胆汁酸が作られることをコレステロールの異化といいます。
コレステロールはどうやって作られる?合成の流れを学ぶ
次にコレステロールが合成されるまでの流れを学んでいきます。冒頭でも少し紹介しましたが、コレステロールは体内でも作られます。食事中のコレステロール量ばかり目を光らせがちですが、食事から摂取するコレステロール量は全体の3割程度で、体内で作られるコレステロールは7割にのぼります。つまりコレステロールは食事から摂取する量よりも体内で作られる量のが圧倒的に多いのです。
では、体内でどのようにコレステロールが作られるかを学んでいきます。
まず、コレステロールは何を材料に作られるのでしょう。答えは『アセチルCoA』です。
コレステロールが合成されるまでの流れを簡単に説明すると、アセチルCoAを材料として→HMG-CoA→メバロン酸→スクワレン→コレステロールという順に作られていきます。
コレステロール合成の律速酵素は『HMG-CoA還元酵素』
ちょっとここで管理栄養士国試のためのワンポイント。
上でコレステロールが作られるまでの流れを簡単に説明しましたが、これらの一連の反応スピードを決める酵素が存在しています。
その酵素というのが『HMG-CoA還元酵素』。この酵素によって反応スピードが変わります。
コレステロールの異化の律速酵素は『7α-水酸化酵素』
先ほどコレステロールから胆汁酸が作られることを『コレステロールの異化』とご紹介しましたが、この時にも反応スピードを決める酵素が存在します。
それが『7α-水酸化酵素』です。この酵素の名前は国試でもよく問われる所なので覚えておきましょう。
ポイントまとめ
- コレステロール値は細胞膜の成分
- コレステロールはリポたんぱく質の成分
- コレステロールはステロイドホルモンの材料
- コレステロールは胆汁酸の材料
- コレステロール合成の律速酵素はHMG-CoA還元酵素
- コレステロール異化の律速酵素は7α-水酸化酵素
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