認知症予防にカマンベールチーズ

管理栄養士のタイゾーです。

「カマンベールチーズを食べると認知症を防げると聞いたのですが、1日どれくらいの量を食べれば良いのでしょうか?」

当ブログの読者様よりこのような質問を頂いたので、文献をあさって個人的に答えをまとめてみました。

ちょっとした物忘れや将来、認知症になるのが不安という方は参考になさって下さい。

カマンベールチーズと認知症の研究

認知症予防にカマンベールチーズ
まず、カマンベールチーズの摂取が認知症予防につながる可能性については当サイトでも『カマンベールチーズが認知症に有効な理由』という記事でまとめたことがあります。

以前の記事でも書いていますが、カマンベールチーズの摂取によって認知症の中でも『アルツハイマー型認知症』に対する研究行われています。

アルツハイマー型認知症は認知症の中でも一番多く、脳に『アミロイドβ』という異常タンパク質が蓄積することが原因と考えられています。

簡単なイメージとしては、脳にシミのような物が増えると認知症になるという感じです。

ただ原因はいまだ確定しておらず、主流の考えとしてアミロイドβが蓄積し、脳の細胞が死んでしまうことでアルツハイマー型認知症が引き起こされると考えられています。

参考:厚生労働省HP みんなのメンタルヘルス 認知症の原因・発症の要因

おススメ記事:『カマンベールチーズが認知症に有効な理由』

東京大学大学院の研究

2015年、東京大学大学院農学生命科学研究科の中山裕之教授らの研究グループによって、カマンベールチーズを食べる事で先に紹介した脳にできるアミロイドβを抑えることができる可能性が発表されました。

マウス実験でカマンベールチーズをエサに与えたマウスは、アミロイドβの沈着が減少したといいます。

この研究で言われているのが、カマンベールチーズに含まれる『オレイン酸アミド』や『デヒドロエルゴステロール』という2つの成分がアミロイドβを抑えるのに一役買ってくれているそうです。

これら2つの成分が脳に出来る異物の掃除屋さん(ミクログリア)に働きかけることで、アミロイドβが減少したと考えれています。

マウス実験ではありますが、これによってカマンベールチーズの摂取が認知症予防に役立つ可能性が示唆されています。

参考1:「PLOS ONE」Preventive effects of a fermented dairy product against Alzheimer’s disease and identification of a novel oleamide with enhanced microglial phagocytosis and anti-inflammatory activity.
参考2:「PLOS ONE」Identification of a novel dehydroergosterol enhancing microglial anti-inflammatory activity in a dairy product fermented with Penicillium candidum.

結論:認知症予防にカマンベールチーズ食べるなら1日2ピースが目安か

余談が入りましたが、私の結論を言うと認知症予防を目的にカマンベールチーズを食べるなら1日2ピースを目安にして食べるのが良いと思います。

この理由としては2019年に人間を対象にした研究発表があったからです。

2019年に桜美林大学、東京都長寿医療センター、株式会社明治の共同研究グループが人間を対象にしたカマンベールチーズの認知症予防効果について研究発表を行っています。

結果をまとめると、『1日2ピースのカマンベールチーズを3カ月食べる事で、血液中のBDNFが増加した』というものです。

BDNFというのは、記憶力や学習能力などに関わる栄養因子(脳の栄養ってこと)で、加齢によって低下することがわかっています。この研究ではBDNFが増加することで認知機能の低下を抑え、認知症の予防に役立つ事が強く示唆されています。

このBDNFについて当サイトでは『うつ病や物忘れを改善するBDNFを増やす方法』という記事で、運動によって増やすことが出来ることを記載しましたが、食品でも増やせる事がわかったのは初めてです。

研究では70歳以上の女性689人の中から軽度認知障害と判断された71人を対象にカマンベールチーズ食べるグループとプロセスチーズを食べるグループに分け、1日2ピースを3カ月間食べてもらい血液中のBDNFの濃度を測定しています。

この中で、カマンベールチーズを食べたグループの血液中BDNFは6.18%増加していた事が確認されています。

これまでの研究ではマウスを使ったものが多かったのですが、人間を対象にしているということで注目度は高いと思います。

参考:国際科学雑誌 J Am Med Dir Assoc The Effects of Mold-Fermented Cheese on Brain-Derived Neurotrophic Factor in Community-Dwelling Older Japanese Women With Mild Cognitive Impairment: A Randomized, Controlled, Crossover Trial.

おススメ記事:『うつ病や物忘れを改善するBDNFを増やす方法』

プロセスチーズには認知症予防効果はない?

上記の共同研究グループの研究では対象者にプロセスチーズも食べさせているわけですが、残念ながら血液中のBDNF濃度は2.66%低下しています。

つまりプロセスチーズには認知機能に関わるBDNFを増やす効果は確認されなかったということです。

認知症予防に食べるならプロセスチーズよりカマンベールチーズを食べる方が良いかもしれませんね。

まとめ

今回は、読者様ご質問に回答させてもらう内容で記事を作成しました。

文章が長くなりましたが、結論として認知症予防にカマンベールチーズを食べるなら1日2ピースを目安に食べると良いかと思います。

ただ気をつけて欲しいのは、カマンベールチーズもチーズ類ですから脂質量が多いので、普段油っこい食事を摂っている方は、カロリーオーバーにならないように気をつけて下さい。

また、認知症予防にはカマンベールチーズの摂取だけでなく、バランスの良い食事や睡眠、運動習慣など規則正しい生活を送ることが最優先ですのでお忘れなく!

サポートにカマンベールチーズをとり入れましょう!