グリコーゲンとは

このページは『グリコーゲン』について解説しています。

『グリコーゲンとは何か?』

『グリコーゲンはどのように働くのか』

ポイントをしぼって解説しています。

管理栄養士を目指す学生や社会人の方を対象にしていますが、栄養学を学びたい一般の方も是非参考にしてください。


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グリコーゲンとは何か?

グリコーゲンとは、エネルギーを貯蓄しておく『電池』的な役割を持つものです。

このグリコーゲンは、『グルコース』という糖が枝分かれして集まった集合体です。(アミロペクチンと似た構造)

グルコースはご飯やパン、麺、芋などに含まれる『でんぷん』を構成しているもので、私たちのエネルギーとして利用されます。

このエネルギーの源になるグルコースが集まって、予備電池として貯蔵されるものを『グリコーゲン』といいます。

※グルコースが何かわからない人は■『糖質とはどんな栄養素?』で解説しています。

次に、グリコーゲンがどこに貯蔵されるのかというと『肝臓』『筋肉』です。

筋肉は全身に広がっているため、グリコーゲンの量でいうと、肝臓よりも筋肉のが多くなっています。

しかしグリコーゲンの濃度は筋肉よりも肝臓のが高くなっています。

筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンは、運動をしたり栄養不足を起こしている時に分解されて、エネルギーとして利用されます。

グリコーゲンはどうやって作られる?

グリコーゲンがどのように作れるのか(合成されるのか)を解説します。

先ほど紹介したように、グリコーゲンとはグルコースが枝分かれして出来たものです。

ごはんやパンなどを摂取すると血液中のグルコースが増え、余った分がグルコースに合成されて肝臓や筋肉に蓄えられることになります。

まず、グルコースはヘキソキナーゼという酵素によって『グルコース6リン酸』に変換され、『解糖系』でエネルギーに変換されていきます。

しかしこの時に、エネルギーが十分足りているとグルコースはグリコーゲンの合成にまわされることになります。

グルコース6リン酸は、ホスホグルコムターゼによって『グルコース1リン酸』へと変化し、『グリコーゲンシンターゼ』という酵素によってグルコースがグリコーゲンにくっつくことでグリコーゲン合成が行われていきます。

グリコーゲンはどうやって利用(分解)される?

次に、蓄えられたグリコーゲンがどのように分解されるかを学んでいきましょう。

基本的に蓄えられたグリコーゲンは、運動をしてエネルギーが枯渇した場合や、食事を抜いてエネルギー不足になった場合等に利用される事になります。

もう少し詳しくいうと、血液中のグルコースが足りなくなるとグリコーゲンが分解されてエネルギーとして利用され始めます。

肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲンは、『グリコーゲンホスホリラーゼ』という酵素の働きによって『加リン酸分解』されて、グルコース1リン酸に変換され、次に『グルコース6リン酸』に変換されて利用されます。

この時、肝臓のグリコーゲンに関しては『グルコース6リン酸』から『グルコース6ホスファターゼ』という酵素作用によってグルコースが再合成されます。

筋肉のグリコーゲンは血糖値に影響しない

先に紹介しましたが、肝臓のグリコーゲンは酵素の働きによって、グルコースを再合成することができます。

すると血液中に流れるグルコースの量が増えるため、血糖値が上がることになります。

つまり肝臓のグリコーゲンが分解されると血糖値に影響が出るという事です。

しかし、グリコーゲンは肝臓だけでなく、筋肉にも存在します。

では「筋肉のグリコーゲンが分解されると、血糖値に影響するの?」というと、『影響しません』

これは筋肉に、グルコースを再合成するために働く『グルコース6ホスファターゼ』という酵素が存在しないからです。

肝臓のグリコーゲンが分解されると血糖値に影響するけど、筋肉のグリコーゲンが分解されても血糖値に影響しないという事に注意して下さい。

グリコーゲンの分解=糖新生ではない

『糖新生』という言葉を知っていますか?

糖新生とはカラダの中で糖を合成してエネルギーとして利用する事をいいます。

したがって、このページで学んだグリコーゲンを分解してグルコースを作り出す反応を『糖新生』と思っている人がいますが、これは違います。

グリコーゲンの分解(肝臓)は、たしかにグルコースを作りますが糖新生ではありません。

糖新生は『アミノ酸』や『乳酸』『グリセロール』などから、糖を作り出すことをいいますので注意しましょう。

ポイントまとめ

  • グリコーゲンとはグルコースが集まってできたエネルギーの貯蔵形態である
  • グリコーゲンは肝臓・筋肉に貯蔵される
  • 筋肉に多いが、濃度は肝臓のが高い
  • グリコーゲンの分解に関与するのは『加リン酸分解』である
  • グルコース6リン酸は『グルコース6ホスファターゼ』によってグルコースに変換される
  • 肝臓のグリコーゲン分解は血糖値に影響するが、筋肉は影響しない
  • グリコーゲン分解は糖新生ではない


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