カマンベールが認知症に効く

この記事は2019年11月、カマンベールチーズの認知症予防について新たな研究発表があったので加筆修正しています。

カマンベールが認知症に効く
年齢と共になりやすくなるのが「認知症」です。

日本では認知症になる人の数が増加していますが、超高齢化社会を迎えさらに増加すると懸念されています。

誰もが発症する可能性がある認知症ですが、年齢とともにリスクが上がるため日頃から認知症を予防する意識が必要です。認知症予防には運動が有効とされていますが、食事の中で認知症予防に役立つものを食べていくことも重要視されています。中でもカマンベールチーズが認知症予防に役立つ事がわかってきました。このページでは認知症予防に役立つと注目される「カマンベールチーズ」との関わりをご紹介していきます。

認知症に不安感も持っている方は是非参考にして下さい。


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認知症とはどんな病気?

カマンベールチーズの認知症への有効性をご紹介する前に、そもそも認知症とはどんな病気か解説していきます。知っているという方は飛ばして読み進めて下さい。

認知症とは判断力や記憶力をつかさどる脳の機能が低下してしまうことで起こる病気です。発症すると今まで当たり前に出来ていた事ができなくなり、生活に支障が出てきてしまいます。

認知症は多くの方が高齢者に多いイメージを持っていますが、65歳未満の若い方でも起こります。これを「若年性認知症」と言います。

認知症の原因は脳にできる「シミ」
認知症の中でも「アルツハイマー病」という認知症は、脳にできる「シミ」によって発症する考えられています。

アルツハイマーなどの認知症が、脳の機能低下から起こるということは先に紹介した通りですが、問題は「なぜ脳機能の低下が起こるのか?」という事です。

基本的に私達は加齢と共に脳の機能は低下します。これは老化減少で誰にでも起こる自然現象なので問題はありません。しかし、認知症は加齢による脳機能の低下とは違います。

簡単にいうと、アルツハイマーの場合は脳に「シミ」が出来き、脳が萎縮して機能が低下する事によって起こると考えられています。「シミって何?」と思うでしょうが、別名を「老人斑」とも言います。このシミの正体は「アミロイドβ」と呼ばれる「タンパク質」がたまったものです。

本来アミロイドβというタンパク質が脳に発生すると「ミクログリア」という免疫細胞によって脳から排出されます。しかし排出されるずに、脳神経細胞の外側に沈着することによって脳機能が低下すると考えられています。結果、脳機能が低下して認知症になってしまうと言うわけです。

したがってアルツハイマーの原因の一つが「アミロイドβ」です。

認知症予防のポイントは脳の機能低下を防ぐこと

高齢化にともない認知症の割合が多くなっているので、「認知症になるかも・・・。」と不安を抱えている方も少なくないでしょう。認知症は年齢とともにリスクが上がっていくので日頃からならないように予防する事が大切です。

では認知症にならない為に何をしたらいいのか。ポイントは「脳の機能低下を防ぐこと」です。これは先に紹介したように、認知症は脳の働きが悪くなることから起こるためです。

中でも今回紹介するカマンベールチーズは脳機能の低下を引き起こす、脳の「シミ(アミロイドβ)」対策に有効な食べ物です。

認知症に有効なカマンベールチーズ

カマンベールチーズのオレイン酸アミド
2015年、東京大学大学院農学生命科学研究科の中山裕之教授らの研究グループによって、カマンベールチーズを摂取することで、アルツハイマー病を予防できる可能性があることが明らかにされています。

簡単にいうとカマンベールチーズを食べることで脳に出来るシミを抑える事が出来るという事です。東京大学の研究によるとカマンベールチーズを食べる事によって、アルツハイマーの原因となるアミロイドβが脳に沈着するのを抑制する事が分かっています。

これまではチーズなどの乳発酵食品が認知症に有効と言われてきましたが、有効成分は特定されていませんでし。しかし、この研究によってアミロイドβを抑えてくれる2つの成分も明らかにされたのです。その成分が「オレイン酸アミド」と「デヒドロエルゴステロール」という成分です。

オレイン酸アミドがアミロイドβを抑え、脳の炎症も抑える

オレイン酸アミドとは、カマンベールチーズの原料となる生乳に多く含まれる「オレイン酸」という不飽和脂肪酸由来の成分で、脳に発生するアミロイドβを除去してくれる「ミクログリア」という免疫細胞を活性化する作用があります。さらにそれだけなく、脳の炎症も同時に抑える作用を持ちます。この2つの効果によって認知症を予防する事が出来る事が示唆されています。

オレイン酸アミドとは

このオレイン酸アミドはカマンベールチーズが作られる過程で出来るものと考えられています。カマンベールチーズは「白カビ」によって発酵される事で作られますが、この白カビによる発酵の過程で発生する「アンモニア」と「オレイン酸」が白カビの酵素によって作られます。

脳の掃除屋さん「ミクログリア」を活性化

「ミクログリアって何?」という方の為にミクログリアについて解説しておきます。

脳には「ミクログリア」という脳で唯一の免疫細胞が存在します。ミクログリアとは簡単に言えば「脳の掃除屋さん」。ミクログリア細胞はアミロイドβなどの老廃物を食べて排出してくれる働きがあるだけでなく、脳に侵入してくるウイルスや病原体から脳を守る防御の役割、劣化した神経細胞の代謝、神経細胞に栄養を与えることで神経伝達をになう「シナプス」を伸してくれるといった働きをしています。

したがってアミロイドβの脳への沈着を抑えるにはミクログリアを活性化することが有効と考えられていますが、カマンベールのオレイン酸アミドには、このミクログリアを活性化してくれる力があります。

オレイン酸アミドは脳の炎症も抑える

オレイン酸アミドはミクログリアの働きを良くしてくれるだけではありません。「脳の炎症」も抑えてくれます。

ミクログリアがしっかり働けばアミロイドβの沈着を抑える事ができますが、あまりにアミロイドβなどの老廃物を食べ過ぎると暴走して脳に「炎症」を引き起こすという弊害があります。炎症が多くなると脳はストレスを感じて機能が低下してしまいます。

ミクログリアが活性化しても炎症を起こしては意味がないので、ミクログリアを活性し炎症も抑える事が有効ですが、炎症も抑えてくれる力がオレイン酸アミドにはあります。

デヒドロエルゴステロールも炎症を抑える

カマンベールにはオレイン酸アミドだけではなく、「デヒドロエルゴステロール」という成分も含まれています。デヒドロエルゴステロールはエルゴステロールに由来する成分です。

この成分もオレイン酸アミド同様、脳の炎症を抑える働きがあります。脳の炎症が抑えられることで、脳機能の低下を防ぎ認知症の予防が期待できます。

カマンベールはどれくらいの量を食べれば良いのか?

認知症専門医の榎本睦郎先生によれば、認知症の予防を意識してカマンベールチーズを食べる場合、1日1~2切れを食べれば良いとされています。

カマンベールチーズには飽和脂質も含まれているので、認知症予防に良いからといって食べ過ぎには注意して下さい。飽和脂肪酸の過剰摂取はLDLという悪玉のコレステロール値を上げ、心筋梗塞などの原因になってしまいます。

したがって1日1~2切れくらいにしておきましょう。

認知症予防にはワインと一緒に摂ると良い

カマンベールチーズに相性の良い飲み物と言えば、「ワイン」です。

特に赤ワインには「ポリフェノール」が多く含まれており、こちらも認知症の予防が期待できる成分です。したがってカマンベールチーズとワインは認知症予防にとっても相性の良い組み合わせです。

ただ、赤ワインのアルコールは肝臓に負担になるので飲み過ぎには注意して下さい。1日にグラス1杯までにしましょう。

ブドウジュース・グレープジュースでも良い

また「ワインが飲めない」という方は「100%ブドウジュース」でも良いでしょう。ブドウジュースにもポリフェノールは含まれています。しかし「ブドウ味」では意味がないので100%のものを選んで下さい。

ブドウジュースやグレープジュースを飲む場合は1日1杯程度が良いでしょう。糖質が多く含まれるので飲み過ぎは禁物です。

2019年、ヒト試験でカマンベールチーズ摂取による認知症を防ぐ可能性が発表

2019年、ヒトを対象にした試験で、カマンベールチーズを食べる事が認知症予防につながる可能性が発表されました。ちなみにこの研究でヒトを対象にした試験は世界初です。

発表したのは、桜美林大学、東京都長寿医療センター、株式会社明治の共同研究グループで、70歳以上の軽度認知障害と診断された高齢女性71名に1日2ピースのカマンベールチーズを3カ月摂取させた所、先に紹介した血液中のBDNF濃度が6.18%上昇した事が報告されています。

参考:国際科学雑誌 J Am Med Dir Assoc The Effects of Mold-Fermented Cheese on Brain-Derived Neurotrophic Factor in Community-Dwelling Older Japanese Women With Mild Cognitive Impairment: A Randomized, Controlled, Crossover Trial.


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