管理栄養士のタイゾーです。

多くの人が悩む高血圧。私達日本人にとって、高血圧は喫煙と並ぶ生活習慣病の最大のリスク要因で、脳梗塞や心筋梗塞などに繋がります。

高血圧対策には塩分摂取を減らす「減塩」ばかりに気が向きがちですが、塩分コントロールだけではなく高血圧に有効な食品を摂る事にも目を向けて頂くと良いでしょう。

高血圧対策に有効と考えられている食品のひとつが、女性の人気者である「チョコレート」です。「なぜチョコレートが高血圧にいいの?」と思う人もいるでしょうが、このページで詳しく解説していくので高血圧に悩んでいるひとは是非参考にして下さい。


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高血圧とは?

高血圧に対するチョコレートの解説をする前に、高血圧について解説しておきます。知っている人は飛ばして読み進めて頂ければOKです。

高血圧とは、血管を流れる血液量が増える事で圧力が強くなっている状態をいいます。

ホースの水で言うなら、蛇口から少しだけ水を出した場合、当たり前ですがホースから出る水もチョロチョロとしか出ません。しかし、これが蛇口をMAXに回して水を出した場合、ホースから勢いよく水が出ます。これはホースを流れる水の量が増えて「圧力」が加わったことで水が勢いよく出るのです。

血管でもこれと同じ事が起きます。血管の中を流れる血液量が増える事で「圧力」が強まるのです。これが続く状態を「高血圧」といいます。ちなみに高血圧の診断基準は、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合が高血圧と診断されます。

高血圧は様々な病気のリスクに

血液の圧力が強くなっている状態は、血管にとっては「ストレス」です。ずっと血圧が高い状態が続いてしまうと血管はダメージを受け、本来の「弾力性」や「しなやかさ」が無くなってきます。さらに血管の壁に「傷」が出来やすくなります。その傷にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)がたまると「動脈硬化」になってしまいます。

血管は血液を全身に送る役目をしています。その血管が高血圧によって動脈硬化が進行した場合、「心筋梗塞」「狭心症」「心不全」といった心臓の病気や「脳出血」「脳梗塞」といった脳の血管障害を引き起こしてしまいます。

高血圧に有効なチョコレート

高血圧対策には塩分の摂取を引控える「減塩」が推奨されていますが、それ以外にも「チョコレート」の摂取が有効と考えられるようになってきました。

チョコレートは「お菓子」としてのイメージが強いため、「食べ過ぎるとカラダに悪い」といったイメージがあります。しかし、このページで紹介する「高血圧に有効」と考えられるチョコレートとは、カカオ70%以上のいわゆる「ビター」な「高カカオチョコレート」の事を指します。

多くの人に親しまれているチョコレートはカカオ豆が原料の「カカオマス」以外に「砂糖」「粉乳」「香料」などを混ぜて作ったお菓子としての「チョコレート」が一般的です。これだと食べ過ぎによって肥満に繋がってしまいますが、本来チョコレートの原料であるカカオ豆には高血圧に有効な成分が多く含まれています。したがってカカオが高純度に含まれているチョコレートを食べる事が高血圧

チョコレートのカカオポリフェノールが高血圧に良い

チョコレートには「カカオポリフェノール」と呼ばれるポリフェノールが非常に多く含まれています。このポリフェノールこそが、高血圧予防や改善が期待できる成分です。

そもそもポリフェノールとは、植物が本来持つ「色」「辛味」「苦味」「香り」などの元になる「ファイトケミカル」という成分の一種です。ポリフェノールには何千という種類が確認されており、有名な所でいうと大豆に含まれる「イソフラボン」もポリフェノールの一種です。特に今回紹介するチョコレートには「カカオフラバノール」などのポリフェノールが豊富に含まれています。

抗酸化作用で血管の老化を防ぐ

ポリフェノールが総じて持つ役割は「抗酸化作用」です。抗酸化作用とは私達のカラダに発生する「活性酸素」という物質を除去してくれる作用のことをいいます。活性酸素は私達のカラダに発生する物質で、カラダの細胞の老化や「がん化」を促進する物質です。これは血管の細胞においても同じで、血管の老化を促進すると考えられています。血管が老化すると、傷つきやすくなり動脈硬化がおこりやすくなってしまいます。

したがって血管の老化や劣化を防止するために、抗酸化作用を持つ食品の摂取が有効と考えられています。その食品の中でもチョコレートはポリフェノールが非常に豊富なので、活性酸素から血管の老化を防止する事が期待できるという訳です。

カカオポリフェノールは血管を拡張する

チョコレートが持つ効果は抗酸化作用だけではありません。チョコに含まれるカカオポリフェノールには「血管を拡張する」という効果があります。

もともと高血圧とは血管の収縮(縮む)によって起こるので、血管が拡張すれば(広がれば)血圧は下がってきます。

愛知学院大学の大澤俊彦教授の研究では、カカオポリフェノールを摂取すると「一酸化窒素」が作られ、その作用によって血管が広がる事で血圧が下がる事が確認されています。

実際に大澤教授の研究では高血圧の約350人を対象にチョコレートを4週間食べさせたところ、約90%の人に血圧の改善が見られたという結果が出ています。

さらに同研究では高血圧の人の血圧が正常範囲まで下がり、正常血圧の人の血圧は下がらないという結果が出ているため健康を損なうことなく、安全性も高い事が分かっています。

チョコレートのポリフェノール量は非常に多い

ポリフェノールの効果は上記で紹介した通りですが、ポリフェノールというとワインをイメージされる方が多いでしょう。しかしチョコレートに含まれるポリフェノールの量はワインよりも多い割合です。

参考までに下記にポリフェノール量の比較を紹介しておきます。

 

ポリフェノール含有量(100gあたり)

品名 ポリフェノール量
チョコレート 840mg
赤ワイン 180mg
リンゴ 220mg
玉ねぎ 90mg
紅茶 100mg

いかにチョコレートのポリフェノール量が多いかわかりますね。

チョコレートはどれくらい食べればいい?

高血圧のためにどれくらいのチョコレートを食べたら良いのか。愛知学院大学の大沢教授によれば1日約25gほど食べれば良いとされます。これは板チョコでいうと5カケラほどになります。
ただ、注意したいのは先ほども紹介したようにカカオ70%以上のチョコレートにして下さいね。


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