ウナギと梅干の食べ合わせの嘘

「ウナギと梅干」

「天ぷらとスイカ」

これらの組み合わせは、『一緒に食べると良くない』と昔から言われてきました。

しかし、本当に人に害を及ぼすような食べ合わせなのでしょうか?このページでは管理栄養士が食べ合わせの知識について解説していきます。

ウナギと梅干の組み合わせは害?

「ウナギと梅干は一緒に食べない方が良い」なんてことを聞いたことがあるかもしれませんが、結論を言えば、ウナギと梅干を一緒に食べても何ら問題ありません。

むしろ、疲れに悩んでいる方には良い組み合わせです。

ウナギは疲労回復のサポートに役立つビタミンB1を多く含むだけでなく、健康なカラダ作りにかかせない良質なタンパク質や脂質もたっぷりと含まれています。カロリーもしっかり摂取できますし、栄養バランスから言っても優秀な食材と言えます。

一方、梅干も『クエン酸』という疲労対策のサポートをしてくれる成分が豊富に含まれています。塩分が多い食品ではありますが、暑いシーズンやスポーツなどで汗をかいてナトリウムが減少しやすい環境の時は、ナトリウムの補給源にもなります。

よってウナギも梅干も疲労回復という点で、むしろ良い組み合わせなので食べてはいけないということはありません。

ただし、胃腸が弱っている人は注意が必要かもしれません。

良質な脂質といえでも、ウナギが脂っこいのは事実ですし、梅干も酸味や塩分が強いため胃腸の負担になって、消化不良がおこる可能性は否定できません。

しかし、基本的には問題の無い組み合わせですから胃腸の調子が悪くない限り問題ありません。

天ぷらとスイカは?

次に天ぷらとスイカの食べ合わせについてですが、こちらの組み合わせに関しても、基本的には心配はいりません。

心配するとすれば、ウナギと梅干同様に胃腸の調子が悪い人でしょう。天ぷらは脂質が多く、スイカのような水分が多いものを一緒にとると胃酸が薄まり、消化不良につながる可能性もあります。(胃腸の調子の悪い時に揚げ物を摂ること自体がNGですけど・・・)

ただ、よって健康な人が食べる分には、この食べ合わせも特に問題ないです。

食べ合わせで効果が変わるものは存在する

上記で紹介した食べ合わせは、そこまで悪影響を気にすることはありません。

しかし、食品に含まれる成分の中には互いに作用し合って、有効な働きを阻害してしまうものもあります。

例えば二枚貝やワラビに含まれるアノイリナーゼという酵素には、疲労回復作用のあるビタミンB1を破壊する作用がありますし、他にもリンゴやニンジンに含まれるアスコルビナーゼには、放置するとビタミンCの働きを減少させる作用があります。

気にせず全体的なバランスを意識

食べ合わせによって、栄養素の作用が変わるのは事実ですが、一般の方がそこまでこだわる必要はありません。

もし食べ合わせを気にするなら、キュウリ、ナス、柿といった体温を下げる食品を組み合わせ過ぎないことくらいでしょうか。

でも「これとこれはダメ」「あれとあれもダメ」

なんてやっていると何を食べれば良いかわからなくなってしまいます。

よって食べ合わせの効果を気にするより、食事の全体的なバランスの方を優先して欲しいと思います。

ご飯やパンといったエネルギー源となる『主食』。肉・魚・大豆といったカラダを作るタンパク源である『主菜』。カラダの調整役をするビタミン・ミネラルを豊富に含む野菜や海藻の『副菜』。まずはこれらを満遍なくバランス良く摂れるように努めましょう。

※食事のバランスをとる方法は下記ページで解説していますので参考にして下さい。

■栄養士が実践する『バランスの良い食事が摂れるようになる4つの方法』