朝食を食べないと脳卒中になる

「朝食って食べた方が良いの?食べなくても良いの?」

このページはそんな疑問を持つ人に向けて管理栄養士が作成しています。

 

朝食と摂った方が良いのか?摂らない方が良いのか?これらの意見は賛否両論あります。否定的な意見としては、『1日のトータルで食べるカロリーや、摂取栄養バランスに気をつかえば問題ない』『朝食をとる習慣は、そもそもエジソンがトースターの売上を伸ばすため』など多々あります。

しかし、私個人の意見として言うなら『朝食は早起きをしてでも食べて欲しい』と考えています。

なぜなら朝食は1日を元気よく活動するための栄養源になるからです。

しかし「朝は忙しくて食べていない」という人が多いのが現実です。

そこで、このページでは朝食を抜くことのデメリットを栄養士の視点からご紹介していきます。朝食を抜いている人はぜひ参考にしてください。


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朝食を抜くデメリット

朝食を抜くと脳出血のリスクが上がる。

国立がん研究センターと大阪大学の共同研究によって、朝食を抜くことで脳出血が引き起こされるリスクが上昇することが指摘されています。

研究チームは8万2千人(45~74歳の男女)を対象に約13年間調査を実施。うち3772人が脳出血などの脳卒中を発症しました。

研究チームはこの中で朝食の回数との因果関係を調べたところ、朝食を週に0~2回程度しか食べなかった人達は、毎日朝食を食べている人達に比べて、脳卒中を起こすリスクが18%高くなる事がわかりました。

また、脳卒中の中でも脳出血を対象にした場合、36%もリスクが高まる事がわかっています。

さらに朝食を抜くことは、脳卒中だけでなく心筋梗塞などの『虚血性心疾患』になるリスクも上昇させることがわかり、循環器病全体では14%リスクが高くなるとの事です。

なぜ朝食を抜くと脳出血になるのか

なぜ、朝食を抜くと脳出血などの脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まるのでしょうか。

国立がん研究センターの研究チームによれば、朝食を摂らないことで空腹によるストレスが増えて血圧が上昇してしまうことが原因のひとつとしています。

血圧が高くなると血管に対する負荷も高くなるため、血管がやぶれやすくなることで脳出血につながるという事です。

血糖値が急激に上がりやすくなる

朝食を抜くことで、昼に食事を摂った時に血糖値が急上昇しやすくなります。

血糖値は主に食事に含まれる『炭水化物(厳密には糖質)』を摂ることで上昇し、インスリンというホルモンの作用で一定時間をかけて下がっていきます。

通常はこの上昇と下降が緩やかに行われるのですが、朝食を抜いて食事の回数が減ってしまう事で血糖値の急激な上昇と下降が起こりやすくなってしまいます。

これは朝食を食べない場合、その反動から昼食に炭水化物が多く含まれる料理を過剰に食べてしまいやすい事が原因のひとつと考えられます。

炭水化物は私たちのカラダに必要な栄養素ですが、摂りすぎると血糖値が必要以上に上がりやすくなります。

するとインスリンが過剰に働いて血糖値を下げようとするのです。

血糖値は高すぎても低すぎてもよくありませんが、血糖値が高い状態が続いてしまうと『糖尿病』になるリスクが上がってしまいます。

太りやすくなる

世の中には
「朝食を抜くと太る」

「朝食を抜いたほうがやせる」

という2つの意見が存在しますが、私の個人的な意見としては朝食を抜く方が太りやすいと考えています。

この理由としては『カラダの飢餓状態』『体内リズム』が関係しているからです。

朝食を抜くと栄養を蓄えやすくなる

先に紹介したように、朝食を抜くということは、昼食まで絶食の状態が続くため、カラダが『飢餓状態』になりやすくなります。飢餓状態とは栄養素が不足していて、カラダが「栄養欲しい!」と訴えている状態と思ってください。

このような状態が続くと、昼食に食事を摂取した場合に、非常時用に栄養を貯めておこう!と判断して、栄養が脂肪に変換されて貯蓄されやすくなるのです。

つまり朝食を抜くことは肥満になりやすいという事です。

さらに朝食をとってないことで空腹感がピークに達すると、昼に糖質や脂質の高い食品を過剰に摂取しやすくなります。

すると血糖値が急上昇して、インスリンというホルモンの働きによって脂肪になりやすくなってしまいます。

朝食は体内リズムをリセットして消費エネルギーを上げる

また、朝食抜きが肥満につながる理由のもうひとつが『体内リズム』の存在です。

私たちのカラダは一定の『体内リズム』と呼ばれるリズムを刻んでいます。このリズムは昼夜で違ったリズムを刻み消費エネルギーがコントロールされています。

基本的に昼間は消費エネルギーが増大し、夜間は消費エネルギーが減少します。

しかし、さまざまな理由によって体内リズムがくずれてしまうと、昼間の消費エネルギーが低くなり太りやすくなるのです。

体内リズムがくずれる理由のひとつが朝食を抜くことです。

体内リズムは朝食を摂ることで一度リセットされて規則正しく刻まれるため、朝食を抜いた場合、体内リズムのリセットが上手くいかずリズムがくずれやすくなるのです。

すると先に紹介したように消費エネルギーが下がり、太りやすくなってしまうのです。

体内リズムと肥満については下記ページで詳しく解説しています。詳しく知りたい方は参考にして頂くと良いでしょう。

■朝食を抜くと太りやすい?「食事のリズムとタイミング」

朝食を抜くことで仕事や勉強・スポーツのパフォーマンスが下がる

私たちが1日を元気にすごすためにはエネルギーが必要です。

特に忙しく働く社会人や、勉強やスポーツをする学生は脳やカラダを動かすためにより多くのエネルギーを必要とするのです。

私達はこのエネルギーを生み出すためには、原料となる栄養素を食事から摂取しなければなりません。

しかし、朝食を抜いてしまった場合、エネルギー源を摂取できないわけですから仕事や勉強・スポーツなどのパフォーマンスは当然低下してしまいます。

昼食で食事を摂るから問題ないのでは?と思う人もいるかもしれませんが、先に紹介したように血糖値など健康面の問題もあります。
少なくとも朝食を摂っていないことで午前中のパフォーマンスは必ず影響が出やすくなります。

1日を元気にすごすためにも、朝食はぜひ摂るようにしましょう。

参考にさせて頂いた文献

国立がん研究センター 社会と健康研究センター 「朝食の欠食と脳卒中との関連について」
女子栄養大学教授 川端輝江 編著 しっかり学べる栄養学 「食事のリズムとタイミング」


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