このページでは管理栄養士国家試験に向けて必要な栄養学の知識を解説しています。
管理栄養士試験を受験される予定の学生や社会人のみならず、一般の方が栄養学を学ぶ上でお役立てください。
今回のテーマは『糖質』についてです。管理栄養士試験で必要なポイントは『グルコース』です。ポイントをおさえていきますのでひとつづつしっかり確認していきましょう。
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糖質とは
糖質が含まれている主な食品は、米、小麦といった穀類やジャガイモや里芋などのイモ類、果物等です。
これら普段食事から摂取する糖質の多くは『でんぷん』で、その他にも砂糖に含まれる『スクロース(ショ糖)』、牛乳に含まれる『ラクトース(乳糖)』、水飴などに含まれる『マルトース(麦芽糖)』などがあります。
栄養学を学ぶ上で、特に押さえておきたいのは一番摂取している『でんぷん』です。
でんぷんとは、『グルコース』の集合体で、このグルコースが血糖値を上げる役割があります。
グルコースとは
次にグルコースの働きについて学んでいきましょう。
まずグルコースとは、別名をブドウ糖といいます。したがって『グルコース=ブドウ糖』という認識をまずは持つようにしてください。
特に管理栄養士試験ではこのグルコースの知識は必須になります。
グルコースはエネルギーになる
グルコースは私たちが生きるために必要なエネルギーの原料になるものです。
摂取したグルコースは血液に入って、血管を通って全身の細胞に送られます。
そして各細胞でエネルギーを産み出すために利用されるのです。
具体的には細胞で『解糖系』→『TCA回路(クエン酸回路)』→『電子伝達系』という流れでエネルギー(ATP)が作られる事になります。
ちなみに、血液中のグルコース濃度のことを『血糖値』といいます。
血糖値は100ml(1dl)中にどれくらいの(mg)グルコースが含まれているのかを表しています。
でんぷんはグルコースの集合体
先にも解説しましたが、私たちが普段食べている米や小麦製品には『でんぷん』が含まれています。
このでんぷんが何で出来ているのかというと、グルコース。
つまり、でんぷんとはグルコースの集合体なのです。
でんぷんは『アミロース』と『アミロペクチン』に別れる
でんぷんにも大きく分けて2つの種類があることを覚えておく必要があります。
それが『アミロース』と『アミロペクチン』です。
2つとも、でんぷんであり、グルコースが繋がってできていることは変わりません。
では違いは何かというと、グルコースの繋がり方が違うのです。構造が違うといっても良いでしょう。
下の図を見てください。アミロースはグルコースが一直線(直鎖)にまっすぐつながっている構造をしています。
一方のアミロペクチンはグルコースが枝分かれをしてくっついており、アミロースよりも複雑な構造をしています。
この違いは食品の『粘り』に影響してきます。同じでんぷんでも複雑な構造をしているアミロペクチンのほうが強い粘りがあります。
たとえば米(うるち米)と餅米を比べた時に、餅米のが粘りが強いですよね?
これは米よりも餅米の方がアミロペクチンが多いためです。
管理栄養士試験対策では、グルコースの結合の名前もおさえておきましょう。
アミロースのように真っ直ぐに、グルコースがつながっている部分の結合のことを『α-1,4グリコシド結合』といいます。
一方、アミロペクチンのように枝分かれしている部分の結合を『α-1,6グリコシド結合』といいます。
注意して欲しいのは、アミロペクチンの方は『α-1,4グリコシド結合』と『α-1,6グリコシド結合』の両方があることです。アミロースは『α-1,4グリコシド結合』しかないのでこの違いは国家試験でも聞かれやすいため、覚えておいてください。
グリコーゲンとセルロースもグルコースの集合体である
ここまで、でんぷんについて学んできましたが『グリコーゲン』と『セルロース』という糖類についてもポイントを解説しておきます。
グリコーゲンとは
グリコーゲンとは多糖類の一種で、私たちの筋肉や肝臓にエネルギーとして蓄えられるものです。
このグリコーゲンもグルコースが集まってできており、構造はアミロペクチンのようにグルコースが枝分かれした構造になっています。
セルロースとは
セルロースという名前を聞きなれない人もいるかもしれませんが、セルロースとは食物繊維のことです。野菜に多く含まれている栄養素ですね。
セルロース(食物繊維)は糖なのですが、カラダの中で分解・吸収することができずにそのまま排泄されるのが特徴です。
この性質があるため、便の量が増えて便通を良くするという役割があります。(野菜を食べると便通が良くなるというのは、これらの性質が関わっています)
このセルロースもグルコースの集合体です。構造は真っ直ぐにつながった『β-1,4グリコシド結合』です。(αじゃなくてβなので注意!)
ポイントまとめ
- でんぷん、グリコーゲン、セルロースは『グルコース』で出来ている
- アミロース・・・『α-1,4グリコシド結合』
- アミロペクチン・・・『α-1,4グリコシド結合』&『α-1,6グリコシド結合』
- グリコーゲン・・・『α-1,4グリコシド結合』&『α-1,6グリコシド結合』(アミロペクチンに似てる)
- セルロース・・・『β-1,4グリコシド結合』(分解できない)
- グルコースは血液に入って血糖値を上げる
- グルコースは細胞に運ばれ解糖系、TCA回路、電子伝達系でエネルギーになる
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