このページは『糖質の代謝』、『糖質がどうやってエネルギーになるのか』についてポイントをしぼって解説しています。

管理栄養士を目指す学生や社会人の方を対象にしていますが、栄養学を学びたい一般の方も参考にして頂けます。

このページで代謝を学ぶ前に『糖質ってどんなもの?』と疑問を持つ方は、下記ページをまずは読んでから学ぶことをオススメします。

■管理栄養士国家対策『糖質ってどんな栄養素?』

代謝ってどういうことか?

糖質の代謝経路を学んで行く前に、そもそも『代謝』がどのようなものかを知っておきましょう。

代謝を簡単にいうなら『栄養素をエネルギーに変えること』と思ってください。

私達は食べた栄養素を利用することで生命活動を営んでいますが、この栄養素を利用してエネルギーを産み出すことが代謝なのです。

栄養素の種類によってどのように代謝されるのかは変わってきますが、今回は糖質の代謝をテーマに学んでいきます。

つまり、糖質からどのようにエネルギーを獲得するのか?ということです。


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ATPの知識

ATPとはエネルギーのことである

管理栄養士国家試験に望む上で、『ATP』の知識は必須事項です。

先ほど糖質からエネルギーを獲得という話が出ましたが、そもそもエネルギーことを『ATP(アデノシン三リン酸)』といいます。

つまり糖質からエネルギーを作るということは、『糖質からATPを作る』とか『糖質からATPを産生する』という事を意味します。

ATPの構造と『高エネルギーリン酸結合』

ATPの構造は、アデノシンにリン酸を二つ余計にとりつけたものです。

このリン酸が結合している部分にエネルギーが蓄えられています。この結合の事を『高エネルギーリン酸結合』といいます。

管理栄養士試験ではこの『高エネルギーリン酸結合』の部分が試験に出やすい傾向にあります。

ATPには高エネルギーリン酸結合が存在している事を抑えておきましょう。

グルコースからATPが作られるまでの流れ(代謝)

糖質の代謝の場合、グルコースを原料としてエネルギーが産み出されます。

ちなみに糖質ってどんな物に含まれているかわかりますか?

ご飯やパン、麺類(米とか小麦】などの主食に多く含まれています。

管理栄養士国家試験対策『糖質ってどんな栄養素?』でも解説している通り、これらには『でんぷん』が含まれていますが、でんぷんを構成しているのが『グルコース』です。

でんぷんを食べると、体内の消化酵素の作用によってグルコースに細かく分解されます。

そしてグルコースは血液中に流れ出し、血管を通って全身の細胞へ送られていきます。

ここからグルコースは『解糖系』→『TCA回路(クエン酸回路)』→『電子伝達系』という流れにそってエネルギーが産み出されていくのです。
 
糖質がエネルギーに変わるまで

 

管理栄養士試験に挑む人や、栄養学を学ぶ人にとってこの解糖系、TCA回路、電子伝達系でつまずく人が多いです。

次にそれぞれの経路を解説していきます。

解糖系とは

細胞に運ばれたグルコースはまず『解糖系』に入ってATP(エネルギー)が産み出されます。ちなみにこの解糖系は細胞の『細胞質』というところで行われます。

グルコースが解糖系に入るとヘキソキナーゼという酵素の作用によって『グルコース6リン酸』に変換されます。

※管理栄養士試験ではこんおグルコース6酸が結構出ます。グルコースはまずグルコース6リン酸になることをチェックしましょう

次にグルコースホスフェートイソメラーゼという酵素作用によって『フルクトース6リン酸』に変化し、下の図にあるように順次変化していきます。

これら解糖系で最終的には『2分子のピルビン酸』が作られるのです。

この2分子のピルビン酸が作られると、今度はTCA回路に入ってさらにエネルギーを作り出すために使われます。

ちなみに、これら解糖系のATP産生は『細胞質』という部分で行われ、酸素が必要のない状態で行われます。

つまり解糖系でのATP産生は『嫌気的』に行われるという事です。

『細胞質』『嫌気的』はポイントなので押さえておきましょう。

ここまでの解糖系で結果的に得ることのできるエネルギーは『2ATP』です。

TCA回路(クエン酸回路)

糖質からエネルギーが作られる過程は解糖系だけではありません。

これから紹介する『TCA回路(クエン酸回路)』でもエネルギー産生が行われます。

解糖系で作られた『2分子のピルビン酸』は『TCA回路(クエン酸回路)』に入って、引き続きエネルギー(ATP)を作るために利用されます。

解糖系が細胞質で行われたのに対し、TCA回路は細胞内の『ミトコンドリアのマトリクス』という場所で行われます。

ピルビン酸はミトコンドリア内で『アセチルCoA』に変換されることからスタートします。このアセチルCoAはTCA回路の最後にできる『オキサロ酢酸』との反応(縮合反応)することで『クエン酸』になります。

ここから8つの物質に変換され、オキサロ酢酸に戻ってきます。

このTCA回路で得ることのできるエネルギーは『2ATP』です。

解糖系が酸素を使わない『嫌気性』であったのに対し、TCA回路は酸素を使用し『好気的』に行われます。

また、このTCA回路が機能するときに脱水素酵素と呼ばれるNADやFADの作用によって『水素』が発生します。

発生した水素は、TCA回路の次の回路である『電子伝達系(水素伝達系)』に移動して大量のエネルギー(ATP)が作られる事になります。

TCA回路は糖質だけ代謝されるのではない

このページでは糖質の代謝について解説していますが、注意してほしいのはTCA回路は『糖質だけが代謝される回路ではない』ということです。

糖質の他にも、タンパク質や脂質といった他の栄養素からもエネルギーが産み出されています。

基本的に三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)を代謝するために働いてくれるのです。

電子伝達系

エネルギーを作るために次に関わってくるのが『電子伝達系(水素伝達系)』です。

この電子伝達系はミトコンドリアの『内膜』で行われます。

ちなみに電子伝達系もTCA回路と同じく、酸素を利用して『好気的』に行われます。

電子伝達系は最終的に『水素イオンの濃度匂配』によって解糖系・TCA回路よりも多くのATPを作り出すことができます。

先に少し紹介しましたが、解糖系とTCA回路でATPを作る時にNADやFADによって『水素』を取り出し、電子伝達系へと運ばれます。厳密にはこれらを『NADH』『FADH2』といいます。(NADとFADに水素がくっついていると思って下さい)

この『NADH』『FADH2』を利用してATPを作り出すのが電子伝達系の役目です。

NADHとFADH2はミトコンドリア内膜にある酵素の作用によって水素がはがされます。

この時に強いエネルギーが発生するのです。

解糖系・TCA回路ではそれぞれ2ATPを獲得しました(計4ATP)が、この電子伝達系では『34ATP』と非常に多くのエネルギーを獲得することができます。

つまり、解糖系・TCA回路・電子伝達系を通して合計『38ATP』を獲得できることになります。

ビタミンB1が糖質の代謝をサポート

ここまで糖質代謝の流れについて学んできましたたが、糖質が代謝されるうえで重要になってくるビタミンがあります。

それが『ビタミンB1』です。

ビタミンB1はピルビン酸がアセチルCoAに代謝される時に必要な『ピルビン酸脱水素酵素』の補酵素になる栄養素なのです。

ビタミンBは色々な種類がありますが、中でもビタミンB1は糖質の代謝に必要なビタミンであることを覚えておきましょう。(国試でもよく出題されます。)

ポイントまとめ

ここまで糖質の代謝について学んできましたが、『難しい』と感じた方も多くいると思います。

そこで最後にポイントをまとめておきます。

解糖系

  • まずグルコースは『グルコース6リン酸』になる
  • 2分子のピルビン酸ができる
  • 細胞質で行われる
  • 嫌気的に行われる

TCA回路

  • ピルビン酸がアセチルCoAに変えられる
  • オキサロ酢酸とアセチルCoAが反応し、クエン酸になってはじまる
  • ミトコンドリアのマトリクスで行われる
  • 好気的に行われる

電子伝達系

  • 水素イオン濃度匂配で多くのエネルギーが発生
  • ミトコンドリアの内膜で行われる
  • 好気的に行われる

管理栄養士の国試に挑む人や栄養学を勉強する人は、今回紹介したATP産生でつまずく人が多くいます。

今回はザックリとポイントにしぼって解説しましたが、『不十分だ』と感じた方は参考書等を買って学ぶことをオススメします。


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