管理栄養士のタイゾーです。

子供が健康に成長していくためには、「食事」が重要です。「当たり前だ」と言われそうですが、栄養カウンセリングをしていると、実際には多くの親が食事の重要性を認識していないように思います。

「とにかくお腹いっぱいにして満足させればいい」なんて思っている方もいるのではないでしょうか。

子供のカラダは食事に含まれる様々な「栄養素」を利用する事で脳・骨・筋肉など全身を成長させていきます。

したがって「健康に育ってほしい」「優秀な子に育ってほしい」と願うお母さん・お父さんは「どんな栄養素が子供に必要なのか」を知っておく必要があります。

このページでは親が子供の為に必ず知っておきたい5つ栄養素の知識を解説しています。子供のためにどんな栄養素をとらせれば良いか参考にして下さい。


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そもそも「栄養素」って何?

栄養素とは食材の中に含まれる成分の事をいいます。食材を食べることでカラダの中に栄養素を取り込み、利用することで子供は成長していきます。

栄養素をより詳しく知りたい方は下記ページも合わせてお読み下さい。
■栄養とは何なのか?栄養学の基礎を学ぶ

これだけ摂っておけば良いというものは無い

よく「子供にどんなものを食べさせたら良い?」をいう質問を受けますが、基本的に「これさえ食べさせれば良い」というものは存在しません。

子供の発育の為には様々な栄養をバランス良く摂る事が大切です。1つの食品に偏らないよう色々な物を食べさせることで、発育に必要な栄養素もバランス良く摂取できます。

これは子供だけでなく大人も同じです。複数の栄養素が手を取り合うことで私たちの体を支えているのです。

子供の発育に役立つ5つの栄養素

子供の発育には栄養素をバランス良く摂取する必要があることは先に紹介した通りです。しかしバランス良くと言われても、どんな栄養素が必要かわかりませんよね。

栄養素というのは非常に多くの種類があります。それこそ我々栄養士すら把握していない栄養素もあるくらいです。それを全部覚えるのは大変ですから、基本的には次に紹介する5つの栄養素を最低限押さえておけば良いでしょう。

この5つを意識して食べさせれば、子供は健康的に成長する事ができると考えて頂ければ結構です。

ちなみにこの5つというのは、いわゆる「五大栄養素」と呼ばれる栄養素です。次にひとつずつ解説していきます。

糖質

まず第一に必要となってくるのが「糖質」という栄養素です。この栄養素は「ご飯」「パン」「麺」といった「主食」として食べる食材に多く含まれています。

この糖質という栄養素は主に「エネルギー」を作る役目を持っています。子供が元気に走り回ったり、勉強に打ち込む為にはガソリンとなるエネルギーが必要になってきます。その原料が「糖質」なのです。

もう少し詳しく話すと、糖質から分解された「ブドウ糖」がカラダを動かすエネルギーとなります。さらに脳や神経系の唯一のエネルギー源なので、逆に摂取しないと脳が上手く働かず勉強に影響が出たり、運動のパフォーマンスも向上しなくなってしまいます。そこで、ごはんなどの主食は3食しっかり摂らせるようにして下さい。

摂り過ぎると・・・

糖質は摂り過ぎた場合、脂肪に変換されてしまい子供の肥満を招きます。

不足すると・・・

血糖値が低くなって、脳の働きが悪くなったり、体力が低下します。

おススメの糖質が多く含まれる食品

・ご飯
・パン
・麺
・芋類

タンパク質

私は栄養士として声を大にして言いたい「子供にタンパク質を食べさせて!」と。というのも多くの親が子供に食べさせている食事には糖質が多く、タンパク質や野菜が少ない傾向にあるからです。

子供のカラダを強くしたいなら、摂るべき栄養素は「タンパク質」です。

タンパク質は私達人間のカラダを作る為の栄養素で、血液や筋肉、皮膚、酵素やホルモンなどの材料になるため、子供の健康な発育の為に絶対に必要な栄養素です。

また、ウイルスや細菌などから身を守ってくれる「免疫細胞」もタンパク質から出来るため、子供の病気を防ぐためにも摂らせたい栄養素と言えます。

タンパク質は体内で分解されて「アミノ酸」という成分で吸収されます。私達のカラダは20種類のアミノ酸で構成されており、このうち9種類は食べ物から摂取しなければならない為、「必須アミノ酸」と呼ばれます。

摂り過ぎると・・・

タンパク質を摂り過ぎた場合、老廃物をろ過する「腎臓」の負担が懸念されますが子供の場合はそこまで気にする必要は無いでしょう。ただ、あまりに摂り過ぎると「カルシウム」と一緒に体外に排泄されるため、カルシウム不足になる可能性はあります。

しかし普通に食事を摂っている分には過剰摂取の危険性は少ないので、そこまで気にする必要はありません。しいていうなら「プロテイン」は飲ませないようにした方が良いでしょう。プロテインはタンパク質のカタマリなので過剰摂取になる可能性があります。

不足すると・・・

カラダを作るためのタンパク質が不足してしまうと、発育が遅れてしまう危険性があります。また筋力の低下にもつながる為、スタミナや気力も無くなってしまい、免疫力も下がります。

おススメのタンパク質が多く含まれる食品

・肉の赤身
・魚全般
・大豆製品

脂質

脂質とは簡単に言えば「あぶら」です。多くの方が「脂質を子供に与えたくない」と考えているようですが、これは間違いです。

脂質にもたくさんの種類があり、中でも「不飽和脂肪酸」という脂質は子供の発育に非常に役立つ脂質です。頭がいい子に育ってほしいなら積極的に摂らせるようにして下さい。主に「魚」や「オリーブオイル」「エゴマ油」に含まれています。

たとえば「DHA」や「EPA」といった名前を聞いた事ありませんか?これこそ「不飽和脂肪酸」の一種であり、脳の活性化に役立つ栄養素です。また不飽和脂肪酸にはLDLコレステロールという悪玉コレステロールを減らして血液の流れを良くしてくれる作用もあります。

つまり、脂質は選んで摂れば子供に非常に良い効果があるという事です。

摂り過ぎてはいけない脂質

不飽和脂肪酸は子供に食べさせた方が良い脂質である一方、過剰摂取に気をつけなければいけない脂質もあります。それが「飽和脂肪酸」です。この飽和脂肪酸は主に「動物性の脂身」や「ラード」に含まれています。

飽和脂肪酸は少なすぎてもいけませんが、摂り過ぎるとLDLコレステロールを増やし、将来の脂質異常症につながってしまう可能性があります。したがって子供に動物性の肉を食べさせる場合は「赤身」を意識して摂らせるようにしましょう。またヨーグルトなどの乳製品にも含まれるため、気になる方は「低脂肪」のものをチョイスすると良いでしょう。

おススメの不飽和脂肪酸が多く含まれる食品

・マグロ
・カツオ
・サバ缶
・オリーブオイル
・エゴマオイル
・大豆製品

ビタミン類

よく「ビタミンって何?」という質問を受けますが、ビタミンの基本的な役割とは、先に紹介した「糖質」「タンパク質」「脂質」を体内で利用するために補助的に使われる栄養素だと思って下さい。

補助的に使われるというと、「摂らなくてもいいんじゃないの」と思うかもしれませんが、カラダの機能を正常に働かせるためには必要な栄養素です。ほとんどのビタミンは体内では合成できないため食事から摂取する必要があります。

不足すると・・・

「日本人の食事摂取基準2015」に摂取量が取り上げられているビタミンは13種類で、必要量は微量ですが不足してしまうとカラダが正常に機能しません。

摂り過ぎると・・・

ビタミンCのような「水溶性ビタミン」といわれるビタミンは基本的に多く摂取しても尿と一緒に排泄されるため心配はいりません。過剰症の危険性のあるのはビタミンA、D、E、Kですが、これはサプリメントとして摂った場合であり、子供が普通に食事をしている分には過剰症は気にしなくて良いでしょう。

おススメのビタミンが多く含まれる食品

ビタミンを摂らせたい場合、これと決まった食品はありません。基本的に「野菜」や「果物」に多く含まれているので、毎食の食事に必ず1品野菜と果物を入れるようにすれば良いでしょう。

ミネラル

ミネラルは別名「無機質」と呼ばれる栄養素です。ビタミン同様に必要量は少ないですが、カラダの5%はミネラルで出来ているため、子供の健康なカラダ作りには欠かせない栄養素です。多くの種類がありますが、気をつけたいミネラルは摂取基準が定められているナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンです。

ミネラルの役割は多種多様です。骨や歯の発達や「カラダの形作り」に使われたり、「カラダの機能調整」の役割を担っています。体内で合成する事が出来ないため、食事で補う必要があります。

不足すると・・・

ミネラルの種類によっても不足することでおきる症状は様々です。子供の場合は発育に障害のでる「カルシウム」「マグネシウム」「鉄」の3つが不足にならないように気をつけると良いでしょう。

おススメのミネラルが含まれる食材

ミネラルは非常に多くの食品に含まれています。中でも先に紹介した「カルシウム」「マグネシウム」「鉄」の3つを摂取できるおススメ食品を上げておきます。

・小松菜
・ホウレン草
・牛乳
・小魚


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