このページは管理栄養士を目指す学生や社会人、また専門的に栄養学を学びたい一般の方を対象に作成しています。

今回のテーマは『リポタンパク質』。栄養素の中の脂質を体中に運んでくれる大切な存在ですからしっかり学んでいきましょう。


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リポタンパク質って何?

リポタンパク質とは、食事で摂ったり、体内で作ったりした『脂質』を体中に運ぶための『箱舟』のような存在です。

脂質とは3大栄養素のひとつで、エネルギー源になったり細胞の細胞膜を構成するために利用されています。

摂取した脂質をカラダの細胞で利用するためには、全身の細胞に運搬する必要があるわけですが、ここで問題が発生します。

全身の細胞への運搬には血液に乗っけて輸送しますが、血液の大部分は水。

アブラと水が弾け合うように、本来であれば脂質を血液に乗せて運搬するのは困難なのです。

この問題を解決してくれるのが、このページでのテーマである『リポタンパク質』。

私たちのカラダは脂質を全身に運ぶために、リポタンパク質という『カプセル』に包まれることで血液輸送を可能にしているのです。

リポタンパク質の組成(構造)

次にリポタンパク質の構造・組成を説明していきます。下の図をまず見て下さい。

リポタンパク質の構造
リポタンパク質は図のように言わば『カプセル』です。このカプセルの膜は『リン脂質』で出来ています。

脂質の種類と働きというページでリン脂質について解説していますが、リン脂質は水になじむ『親水性』と水となじまない『疎水性』の構造を持っています。

リポタンパク質の場合は疎水性部分がカプセルの内側、親水性が外側に位置しており、中はコレステロールでがっちりとリン脂質をはめ込んでいます。

つまり、水になじみやすい部分がカプセルの外側にあるから血液に乗せて脂質を運べるという訳です。

さらに構造としてはリポタンパク質に『アポタンパク質』というものがくっついているのも特徴です。このアポタンパク質によってVLDLやキロミクロンと判別されたり、リポタンパク質リパーゼを活性化したりするのに役立っています。

キロミクロン?VLDL?何それ?って思いますよね。リポタンパク質にも種類があるのです。次にリポタンパク質の種類と働きについてみていきましょう。

リポタンパク質の種類について

脂質を運搬するリポタンパクは、厳密にいうと以下のような種類があります。

・キロミクロン

・VLDL

・HDL

これらはそれぞれ働きが違います。

まず、私たちのカラダに存在する脂質は『食事で摂った脂質』『肝臓で合成した脂質』の2つにわけることができます。

この食事由来の脂質と肝臓由来の脂質の違いによって運搬に使われるリポタンパク質に違いがあるのです。詳しく見ていきましょう。

食事で摂った脂質を運搬するのは『キロミクロン』

私たちは肉や魚、チーズ、牛乳など様々食品を食べることで脂質を摂取しています。

これら食品から摂取した脂質を運んでくれるのがキロミクロンです。

もう少し詳しく話しますね。食品に含まれる脂質の大部分は『トリグリセリド(中性脂肪)』です。このトリグリセリドは小腸から吸収され、血液中に入っていくのですが、このタイミングでキロミクロンというカプセルに包まれるます。つまりキロミクロンは小腸で合成されるという事です。

キロミクロンというカプセルに包まれたトリグリセリドは細胞に運ばれ利用されます。

ちなみに、食事から摂取している脂質はトリグリセリド以外にもコレステロールや脂溶性ビタミン等もあります。これらの運搬をしてくれているのもキロミクロンです。

肝臓で作られた脂質を運ぶのは『VLDL』

脂質は食事から摂る以外にも、肝臓でも作られています。主にトリグリセリドが作られているのですが、コレステロールも肝臓で作られています。(食品から摂るコレステロール量を気にする人が一般的ですが、食事から摂る量より体内で作られるコレステロール量のが多いです)

この肝臓で合成された脂質を運んでいるのがVLDL(超低密度リポタンパク質)

肝臓で作られた脂質は、血液中に入る時にこのVLDLというカプセルに包まれ運搬されていくのです。

細胞まで脂質を届けたVLDLは、後述するリパーゼという酵素の影響を受けて脂質が細胞に抜かれます。するとVLDLは『LDL(低密度リポタンパク質)』に変化していきます。

このLDLは肝外組織(肝臓除いた他の組織)にコレステロールエステルを運んでいくのです。

コレステロールを肝臓に戻すのが『HDL』

次にHDL(高密度リポタンパク質)の役割です。HDLは一般的に善玉コレステロールとも言われていますね。

先にLDLが肝臓を除いた他の組織にコレステロールエステルを運ぶといいましたが、HDLはこのコレステロールを『肝臓に戻す』運搬役を担っています。

これを『コレステロールの逆輸送』といいます。

リポタンパク質リパーゼの役割

先にも少し触れていますが、リポタンパク質を学ぶ時に外せないのが『リポタンパク質リパーゼ』という酵素の存在。

脂質はリポタンパク質というカプセルによって細胞に運ばれますが、細胞に運ばれた時はカプセルの中にある脂質を『荷下ろし』しなければならない訳です。

この脂質の荷下ろしに使われるのが『リポタンパク質リパーゼ』という酵素という訳です。それではもう少し詳しく掘り下げます。

キロミクロンとリパーゼ

先に食事由来のトリグリセリドを運搬するキロミクロンは、毛細血管に存在するリポタンパク質リパーゼによって加水分解されてから細胞に引き抜かれます。これによって細胞で脂質を利用できるようになります。(ちなみに、トリグリセリドを荷下ろししたキロミクロンは『キロミクロンレムナント』というものに姿を変えていきます。)

VLDLとリパーゼ

VLDLが運ぶ脂質はどこで作られたものだったか覚えてますか?そう、肝臓でしたね。

肝臓由来の脂質がVLDLによって細胞に運ばれた時もキロミクロンと同じでリパーゼによって、加水分解されVLDLから脂質の荷下ろしが行われます。

さらに、脂質という荷物の無くなったVLDLは、コレステロールエステルの多い『LDL(低密度リポタンパク質)』というものに姿を変えます。

LDLは一般的に『悪玉コレステロール』なんて言われていますが、厳密にはコレステロールエステルを肝外組織に運んでくれています。※肝外組織というのは、肝臓ではない各組織ということ)

ポイントまとめ

  • 脂質はリポタンパク質というカプセルによって細胞に運ばれる。
  • キロミクロン・・・食事由来の脂質を運ぶ。小腸で合成。
  • VLDL・・・肝臓で作られた脂質を運ぶ。肝臓で合成。運んだあとはLDLとなる。
  • HDL・・・コレステロールを肝臓に戻している。これをコレステロールの逆転送という。


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