脂質の種類と働き

このページでは『ギー』の効果・効能と作り方について紹介しています。

ギー(Ghee)とは

ギーとは
ギーとは発酵バターから作られる油のことで、その起源はインドにあります。

5千年以上の歴史を持つインドの伝統医学である『アーユルヴェーダ』では『最も優れた油』として古くから利用されています。

具体的な製造方法は、発酵無塩バターを煮詰め、水分やタンパク質を取り除いて『純粋な乳脂肪分』にして作られます。

ギーはバターから作られるため、動物性の脂質が多く含まれているのが特徴です。

動物性脂質とは、肉の脂身やラード、バターなどを指しますが、ギーもこの仲間に入ってきます。

近年では『動物性の脂質はカラダに悪い』というイメージから、

「カラダに悪い油じゃないの?」

と思われがちですが、ギーの場合は肉の脂身やラードとは性質が違い、様々な健康効果が期待できるとされています。

実際に、その健康効果からマドンナやナオミ・キャンベルといったハリウッドスターにも愛用者がいます。

次にインド医学であるアーユルヴェーダにおけるギーの効果をご紹介しておきます。

アーユルヴェーダにおけるギーの効果の一例

  • 消化を良くする
  • 解毒作用
  • 疲労回復
  • 滋養強壮


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ギーの栄養成分と効能・効果

インドの伝統医学であるアーユルヴェーダにおけるギーの効果を紹介しましたが、ここからは現代の栄養学から見た、ギーで期待で期待できる効果・効能についてご紹介していきます。

ギーに含まれる特徴的な成分は『中鎖脂肪酸』『オメガ3脂肪酸』『抗酸化ビタミン』の3つです。

この3つの成分から期待できる効果を、管理栄養士の視点で以下にあげておきます。


  • エネルギーとして燃焼しやすい
  • 抗酸化力で老化防止
  • 脳の活性化



ひとつずつ解説していきますね。

エネルギーとして燃焼しやすい

まず、ギーはカラダでエネルギーとして燃焼しやすいという特徴があります。

なぜ燃焼しやすいのかというと、ギーにに含まれる『中鎖脂肪酸』がエネルギーとして燃焼されやすい性質があるからです。

脂肪酸にはいくつかの種類があり、『長鎖脂肪酸』『中鎖脂肪酸』『短鎖脂肪酸』の3つに分けられます。

この違いは、簡単にいうと脂肪酸の構造が長いか短いかということです。

このうち、私たちがよく利用している植物油は長鎖脂肪酸です。
長鎖脂肪酸脂肪酸は一度、脂肪組織や筋肉、肝臓にためこんでからエネルギーとして燃焼されます。

一方、ギーの中鎖脂肪酸は、すぐに肝臓に運ばれてエネルギーとして利用されるのです。

つまり、ギーは植物性の油よりも早くエネルギーとして燃焼するということです。

ギーは糖質制限ダイエットと相性が良い

ギーは糖質制限ダイエットとの相性が非常に良いです。

糖質制限ダイエットとは名前のとおり、食事の中に含まれる糖質を制限するダイエットのことです。

効率よくやせる事ができますが、デメリットとして『エネルギー不足』になりがちです。
糖質は本来エネルギー源なので糖質を制限してしまうと、カラダを動かすためのエネルギーが無くなってしまいます。

このエネルギー不足を解消するためにギーが役立ちます。

これは中鎖脂肪酸が、カラダに糖質が少ない場合に早くエネルギーとして利用される性質があるためです。

糖質制限をしている人はエネルギー不足にならないように、ギーを取り入れるのも良いでしょう。




ギーを摂れば痩せるわではない

注意して欲しいのは、「ギーを摂ればやせる訳では無い」ということです

これは同じ中鎖脂肪酸を含むココナッツオイルにも言えることですが、多くのひとが「ギーやココナッツオイルを食べればやせる」と勘違いしています。

ギー自体に脂肪燃焼効果はありません。

エネルギーであるケトン体に変わりやすい性質を持つので太りにくいのであって、脂肪を減らすような効果はないので注意してください。

食事制限をしないでギーをたくさん摂取した場合、逆に太る原因になります。

抗酸化力で老化防止に役立つ

ギーで期待できる効果のひとつが老化防止です。

なぜギーが老化防止に役立つのかというと、含まれている『抗酸化ビタミン』にあります。

ギーは抗酸化ビタミンとして『ビタミンA』『ビタミンE』といった栄養素が豊富に含まれており、老化の原因となる『活性酸素』を除去する働きがあります。

活性酸素とは、私たちが生きていれば必ず体内に発生する物質です。

本来は細菌などの外敵からカラダを守る役割をしていますが、過剰に発生してしまうと私たちの細胞に傷をつけて老化させてしまうというデメリットがあります。

したがって、老化を防止するためには過剰に発生する活性酸素を抑える必要があるわけですが、その役目をギーのビタミンAやビタミンEがしてくれるわけです。

脳の活性化、アルツハイマー対策など

ギーで期待できる効果の3つ目が『脳の活性化』です。

これはギーに含まれている中鎖脂肪酸とオメガ3脂肪酸によるものです。

特にオメガ3脂肪酸は、青魚やエゴマにも含まれている成分で、近年、脳の活性化に役立つことが知られるようになりました。

また、中鎖脂肪酸に関しても『認知症対策につながる』という研究結果が出てきています。

平成28年6月28日、日清オイリオグループが中鎖脂肪酸の認知症への改善効果を第17回日本認知症ケア学会大会で発表しています。

アルツハイマー型認知症患者はブドウ糖を脳のエネルギーとして利用できにくくなっているため、代わりに中鎖脂肪酸によるケトン体を脳のエネルギーとして利用できるとしています。

自宅でできる!ギーの作り方

1.発酵無塩バターを鍋に入れ、中火で加熱する

2.バターが溶けてくるので、全て溶けたら弱火にする ※この時かき混ぜたりしないこと!

3.そのまま30分ほど煮詰めます。(白い浮遊物と油が分離していきますが問題ありません。コゲそうになったら火を弱め調整します)

4.黄金色で透明になったら、キチンペーパーやコーヒーフィルターなどで漉(こ)しましょう。

5.常温で冷ませば完成です。

常温で半年ほど保存できます。

ギーの使い方

ギーを知らない人は「どう使ったらいいの?」と疑問に思いますよね。
そこで次にギーの使い方の一例をご紹介しておきます。

炒め物など、調理油をギーに置き換える

ギーを炒め物に
炒め物を作る時に、ギーを使えば、風味もよくなります。

また、魚のムニエルやホイル焼きにギーを使うとまろやかで美味しく頂けます。

ホットミルクやコーヒーにいれる

ギーと牛乳
手軽にギーを摂取する方法がホットミルクやコーヒーに入れる方法です。

味に深みがでて美味しく摂取できます。(好みによります)

ただ、入れ過ぎないように1日に1回、ティースプーン1杯程度にしておきましょう。

摂り過ぎには注意

先に紹介したとおり、ギーは燃焼しやすく、老化防止に役立つ油です。

しかし良い油だからといって摂り過ぎは禁物です。

ギーに限らず、脂質は1g=9kcalと他の栄養素に比べてカロリーが高くなっています。

つまり燃えやすいとはいっても摂り過ぎればカロリーオーバーになって、肥満の原因になってしまいます。

そこで、ギーを取り入れる場合は『普段使っている調理油をギーに置き換える』という方法から始めるようにしましょう。


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