管理栄養士のタイゾーです。

仕事がら、サプリメントに関する質門をよく受けます。

相談者の中には「サプリメントを摂れば病気が治る」と認識している人もいますが、そもそもサプリメントや健康食品というのは、あくまで栄養の『補助』であり、薬のように病気を治す科学的効果は認められていません。

基本的に私たちの健康を守るためには、食事の方が主役であり、サプリメントは脇役と言えるのです。

また、近年ではサプリメントに関する健康被害を訴える人も少なくありません。

そこでこのページでは、国立栄養研究所のデータからこれまでに報告されているサプリメントの健康被害についてまとめましたので参考にして下さい。


スポンサーリンク




サプリメントとは何なのか

サプリメント(健康食品)に関して『病気が治る』などの誤った認識を持っている人のために、まずサプリメントがどのようなものかを解説しておきます。

厳密にいうと、サプリメントや健康食品といった名前は行政的な定義が存在しないため、どこからがサプリメントや健康食品に該当するかが非常にあいまいなのです。

しかし、『健康の保持や増進を目的とした食品全般』や『特定の成分が濃縮された錠剤やカプセルタイプの製品』などが健康食品やサプリメントとして販売されています。

これらは、あくまで食品であって、薬ほどの有効性が認められていません。

サプリメントの過剰摂取に注意

先に紹介した通りサプリメントは食品です。したがって「食品だからどれだけ食べても良い」と認識している人がいますが、これは間違いです。

栄養素の中にも過剰に摂取すれば過剰症や副作用の危険性があるものが存在します。

たとえば、多くの人が名前を知っているであろうビタミンA。俗に『目の健康に良い』とされていますが、ビタミンAは摂りすぎれば過剰症を引き起こす栄養素です。

過剰症としては急性の場合、頭痛、吐き気、嘔吐などを引き起こし、慢性的に過剰になると脱毛、皮膚のはがれ、筋肉痛、関節痛、骨障害、脂肪肝、甲状腺機能低下、奇形児の発生リスク増加、小児の骨異常などを引き起こす可能性があります。

このように、栄養素の中には過剰症のリスクがあるものが存在しています。

特にサプリメントの場合は特定の栄養素を強化して製造されているものが多いため、安易に摂取すると過剰症のリスクが高くなります。

栄養素の過剰摂取については下記ページでも詳しく紹介していますので、あわせて一読することをオススメします。

■過剰症になりやすいサプリメントの栄養素まとめ

有害物質が含有されている事例も

サプリメントに潜む危険性は、栄養素の過剰摂取だけではありません。

厚生労働省および国立栄養研究所のまとめた資料によると、製品自体に健康被害をもたらすような成分が含有されている事例が報告されています。

これは健康を目的として購入する消費者にとって本末転倒な話しですね。

では、具体的に報告されているサプリメントの健康被害を国立栄養研究所および厚生労働省、医師会が発表している内容からまとめてご紹介していきます。

サプリメントの被害まとめ

クロレラの健康被害

クロレラとは、淡水に生息する『藻(も)』の一種で、中国語で『緑藻』といいます。タンパク質を豊富に含み、ビタミンB2やミネラル等の栄養素が含まれています。

近年では青汁などの健康食品で利用され『コレステロールの悩みに良い』『免疫を上げる』などと言われていますが、国立栄養研究所では『ヒトでの有効性について信頼できるデータが見当たらない』としています。

1978~1994年にかけて、日本で『顔、手が皮膚炎を起こす』といった有害事例が報告されています。この原因としてはクロレラ製品に『フェオフォルバイド』という光過敏症を起こす物質が大量に含まれていることが関連しているとされます。

これを受け1981年に厚生労働省からクロレラ製品に関する注意喚起がなされています。

ゲルマニウムの健康被害

現在、ゲルマニウムはブレスレットやネックレスなどで利用されていることが多いですが、サプリメントとしても製品があります。
ゲルマニウムサプリメントは1982~1994年にかけて『じん臓機能障害』の被害報告が日本であります。この中には死亡例も含まれており、厚生労働省は1988年に注意喚起を行っています。

ゲルマニウムの健康被害の原因としては、腎障害を引き起こす『酸化ゲルマニウム』を濃縮したソフトカプセルで過剰に摂取した事が関連しているとされます。

L-トリプトファンの健康被害

トリプトファン自体は、タンパク質を構成するアミノ酸の一種です。

現在、『不眠の改善に良い』としてサプリメントに利用されている成分です。

トリプトファンが不眠に役立つと言われているのは、眠気を誘うための『メラトニン』というホルモンの材料になると考えられているからです。

1990年、アメリカでL-トリプトファンサプリメントで『好酸球増多筋痛症候群』が引き起こされ、死亡した事例が報告されています。

これはトリプトファンサプリメントに含まれる不純物、過剰摂取や摂取した人の体質が健康被害に関連したと想定されています。

トリプトファンの含有されているサプリメントは日本でも多く見かけられますが、トリプトファン自体はそんなに危険性が高い栄養素とは言えません。

したがって、トリプトファンサプリメントに含まれるその他の成分に注意が必要です。

アメシバの健康被害

アマメシバとはアジア原産の植物のことで、『便秘に良い』などとして粉末タイプのサプリメントで利用される事が多いです。

このアマメシバのサプリメントによって『閉塞性細気管支炎』が引き起こされた被害報告があります。

アマメシバは海外では食材として用いられてきた経験はありますが、サプリメントとして過剰摂取したことが健康被害を招いたと想定されています。

台湾でも1996~1998年にかけて被害報告があり、日本では2003~2004年にかけて被害が報告されています。また、2004年には厚生労働省から注意喚起がなされています。

コンフリー(ヒレハリソウ)の健康被害

コンフリーはヨーロッパを中心に自生する多年草の植物です。貧血などに良いとされ、お茶などの健康食品で用いられました。

コンフリーに関しては2003年に厚生労働省から注意喚起がなされています。

この理由としてはコンフリーに有害な『ピロリジディン・アルカロイド』という成分が含まれている事が判明し、海外で『肝静脈閉塞性疾患』などの被害が発生したからです。

ココナッツミルク(使用甘味料)の健康被害

具体的にいうと、ダイエットを目的としたタピオカ入りダイエットココナッツミルクで『下痢』を引き起こしたという健康被害が報告されています。

これはココナッツミルクが悪いという事ではなく、製品に利用された『D-ソルビトール』という甘味料を過剰摂取したことが関連しているとされます。

ソルビトールはカロリーが砂糖の約75%程度と低いため、ダイエット食品などに利用されることがあります。

カロリーを抑えて、甘いものを食べることができるというメリットがありますが、反面、摂取しすぎると下痢を招く事があるので注意が必要です。

サプリメントよりも食事が第一

ここまでサプリメントの危険性や実際の被害報告などをご紹介してきましたが、決して全てのサプリメントが悪いというわけではありません。

中には素材、成分、安全性にこだわったサプリメントも存在するでしょうし、近年では妊娠に望む女性は葉酸サプリメントを利用するべきという見方もあります。

しかし、サプリメントよりも、大切にして欲しいのは普段の『食生活』です。

私たちのカラダは食事に含まれる様々な栄養素を吸収し、利用することによって成り立っています。

確かにサプリメントでも栄養素は摂取できますが、食事以上に様々な栄養素を摂取することは難しいです。

したがって、サプリメントに頼る前に、まずは自分の食生活の見直しから始めて欲しいと思っています。


スポンサーリンク




参考にさせて頂いた文献

・厚生労働省(独)国立健康・栄養研究所 日本医師会 健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止にむけて 4-1)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/pamph_healthfood.pdf