「深夜に食べると太る」なんて話を聞いたことありませんか?
事実、人間の身体は深夜に食べてしまうと太りやすいです。正確にいうならば、深夜の時間帯に食べてしまうと、栄養素が中性脂肪として蓄積されやすいのです。このように、一日の中で、どのタイミングで食べるかによって体への影響は変わります。これは体の「体内リズム」が深く関わっています。
以前にも紹介しましたが、これは「時間栄養学」とも言われます。
参照記事:時間栄養学を知ろう
栄養学を学ぶ上でも、正しい食事のリズムと食事を摂るタイミングについて学びましょう。
体内リズムを知ろう
人間は、天候をはじめ気温や湿度、気圧(これらを外的環境変化という)などに適応する為に備わっている機能がある。それを「体内リズム」といいます。
体内リズムは血圧、体温、睡眠を周期的に変化させることで、気温、気圧、湿度といった外的環境に適応しようとします。
ポイントは、体内リズムは「周期的」に調節されているということ。朝起きて寝るといった1日周期で体内リズムは刻まれていると今まで考えられてきましたが、現在では1日周期だけではありません。体内リズムは90分周期、1カ月周期、1年周期で体内リズムを刻んでいることが分かってきました。それぞれのリズムは下記のように名前がつけられています。
■体内リズムの周期の種類
90分周期(90分リズム)・・・概日リズムまたはウルトラディアンリズム
1日周期(日周リズム)・・・サーカディアンリズム
1カ月周期(月周リズム)・・・サーカルーナリズム
1年周期(年周リズム)・・・サーカアニュアルリズム
現在上記の周期で体内リズムは刻まれていると言われ、特に一日の中(サーカディアンリズム)で夜更かしなどをしていると代謝が狂って、健康に影響がでる事が判明している。
体内時計
体内リズムを正常に機能させるために、備わっているのが「体内時計」。※別名、生物時計ともいう
体内時計とは体内で時間の変化を測定する機構です。人間の身体はたとえ時計の無い状況下でも、昼夜の判別がつくように出来ています。
この人間の体内時計は2種類存在し、「中枢時計」と「末梢時計」に分けられます。それぞれの特徴を下記に紹介します。
中枢時計とは
中枢時計は脳に存在しており、朝陽などの太陽の光によってリセットされています。
末梢時計とは
肝臓などの臓器に存在しています。中枢時計の指令を受けてリセットされています。
なぜ朝食を食べない人は太るのか
体内時計の原理を学ぶと、なぜ朝食を食べない人が太ってしまうのかが分かります。
末梢時計は、朝、中枢時計の指令を受けないとリセットできない訳ですが、中枢時計から指令を受け取る時に「エネルギー」が同時に必要になってくるのです。では、そのエネルギーはどこからやってくるのかと言うと、「朝食」です。
朝食を食べ、エネルギーに変えることで、中枢時計からのリセット指令をゲットし、体内時計がリセットされる。という仕組みです。つまり、結論を言えば朝食を食べないと体がリセットされないという事です。
体がリセットされないと一日のエネルギー消費量(カロリー消費量)が減ります。消費量が減ってしまえば、栄養素が過剰に余ってしまいやすい為、脂肪として蓄積されていくわけです。
この原理で言うと、痩せたい方は、朝食は絶対抜かない方が良いことがわかります。
体内リズムを正常化する為にして欲しいこと
体内リズムや体内時計の仕組みがわかってきた事で、肥満などの生活習慣病予防との関わりが重要視されてきています。
体内リズムを正常化させる最も良い方法は、朝昼夕の食事を決まった時間にしっかり食べるという事です。
全国の子供の食事調査で、朝食を食べていない子供は、朝食を食べる子供に比べて肥満が多く、さらに知力、体力共に低下傾向にある事が示されています。こういった事からも、食事のリズムを朝、昼、夕と規則正しい時間に食べる事が必要だと考えられます。
今回重要なのは体内時計が体内リズムを正常化しているという点です。体内リズムと体内時計の関係はややこしいかもしれませんが、しっかり区別するようにしましょう。よくわからないという方は、下記のまとめを読んでみて下さい。
まとめ
・人間には「体内リズム」というものが存在する
・体内リズムは睡眠、体温、血圧などを周期的に変化させて、外的環境に体を適用させようとしている
・「体内リズム」を作り出すために「体内時計」が存在している
・体内時計は脳にある「中枢時計」と肝臓などの臓器にある「末梢時計」の2種類が存在している
・中枢時計は朝陽を浴びてリセット、末梢時計は中枢時計からの指令でリセットしている
・体内時計がしっかりリセットする為には「朝食」が必須。
・体内時計がリセットされると「体内リズム」が正常化する