薬膳温める食材

薬膳温める食材
管理栄養士のタイゾーです。

今回は東洋医学の観点から、カラダを温める食材と、冷やす食材の話をします。

よく「カラダを温める食材って何がある?」という質問を頂きますが、栄養学の観点と薬膳(東洋医学)の観点からではおススメする食材が違ってきます。

栄養学では食材に含まれる成分に、発汗を促したり、血流を良くするような成分が含まれていれば「カラダを温める食材」となりますが、薬膳や漢方などの東洋医学の世界では成分という概念はありません。食材自体に「カラダを温めるパワー」と「冷やすパワー」が備わっているとしています。

食材には体温変化に強さの段階がある

薬膳ではこのカラダを温めたり、冷やしたりする力には5段階存在しています。エアコンでも「急速、強、弱、静」なんて強さを選べますやつありますよね?食材にも温度変化に関して5段階が設定されているのです。これを薬膳では「五性」(ごせい)と呼んでいます。

五性とは

薬膳の「五性」は「熱」「温」「平」「涼」「寒」という5つの分類があり、それぞれが食材の温度変化の段階を表します。「熱」と「温」は温める作用で、「涼」「寒」は冷やす作用です。そして「平」はどちらにも偏らない中立な食材になります。よく、「食材には温める食材と、冷やす食材の2つに分かれる」と思っている方がいますが、どちらにも属さない「平」のような食材も存在します。

カラダを冷やす食材=悪?

「カラダを冷やすものを食べてはいけない」なんて話をよく耳にしますが、一概にそうとは言い切れません。

たしかにカラダを温めることは免疫力を高めたり、脂肪燃焼などのメリットがありますが、真夏などの極端に暑い環境では熱中症になる危険性もある為、カラダを冷やす必要も出てきます。したがって、カラダを冷やす食材が悪いという事は決してありません。

薬膳でも、体調を整えるためには五性のバランスをとることが大切であると考えられており、極端にカラダを温めたり、冷やしたりする食事は良くないとされています。極端な食事を摂らないためにも、温める食材、冷やす食材の特性を次に解説します。

温める食材で得られる作用

まず、温める食材から解説します。

カラダを温める五性は「熱」と「温」です。この熱、温に該当する食材を食べると内臓が温められることで働きが活性化し、血液の流れが良くなります。それにともなってカラダの機能が上がり、気力も上がります。

カラダが冷えていると感じる人は「熱」「温」に属する食材を摂ると良いでしょう。※食材はあとで紹介しています。

冷やす食材で得られる作用

カラダを冷やす五性は「涼」と「寒」になります。涼、寒に属する食材は「カラダを冷やす」とうことで悪く思われがちですが、しっかりとメリットがあります。

涼、寒の食材には、カラダの炎症を鎮めてくれる効果があります。熱を下げる作用によって解毒や利尿の働き、老廃物やウイルスなど(漢方では邪気という)を排出する作用があります。

つまり、高熱がある時や、熱中症、火照り、のぼせなどには「涼」、「寒」の食材が良いでしょう。※食材はつぎに紹介しています。

五性の効果と食材

それでは、今回紹介した内容を五性別にまとめました。食材も紹介していますので、五性を理解した上で料理の参考に活用下さい。

作用:カラダを強く温める
効果
・カラダ温める力が非常に強い
・冷え性の人に効果的
・冷えが原因の関節痛、胃痛、腹痛の症状をやわらげる
・冷えをとる効果が高いので、冬などの寒い季節におススメ
・高熱時などには不向き

食材
にんにく、唐辛子、コショウ、乾燥しょうが、羊の肉など

作用:カラダを穏やかに温める
効果
・ゆるくカラダを温める
・冷えを改善する
・胃腸を温めて消化吸収を助ける
・疲労回復
・滋養強壮効果
食材
しょうが(生)、かぼちゃ、ニラ、栗、ネギなど

作用:温冷の中間に位置し、どちらにも作用しないがカラダを養う効果を持つ
効果
・季節を問わず食べれる
・どの体質でも食べられる
食材
米、キャベツ、トウモロコシ、じゃがいも、りんごなど

作用:ゆるやかにカラダを冷やす
効果
・穏やかに熱を冷ます
・微熱やのぼせ、火照りを緩和する
・鎮静効果
・不眠改善
食材
セロリ、大根、とうがん、なす、レタス、梨、ビワなど

作用:カラダを強く冷やし、効果が高い
効果
・高熱時に効果的
・カラダをうるおす
・喉の痛みや渇きを改善する
・夏バテを予防
食材
きゅうり、ゴーヤ、たけのこ、もやし、かき、スイカなど

まとめ

今回は東洋医学の観点から温める食材・冷やす食材をご紹介しました。どちらが優れているという事はなく、自分の悩みや体質に合わせた食材選びをする事がポイントです。

薬膳について知りたい方は下記ページが役に立ちますので合わせてお読み下さい。

■薬膳の知識まとめ

また、食べ方でも作用は変わります。冷やす食材でも加熱することで、冷やす作用を緩和できますし、逆に生で食べればよりカラダを冷やす事ができます。