春の感染症

春の感染症
春になるにつれ、体調が良くなるという方もいるでしょう。暖かくなると病気になりにくくなると考える方もいるようですが、春の感染症には気をつけたいところ。

当サイトでも冬にかかりやすい3つの感染症というページで紹介しているように、感染症というと冬場に流行するイメージがあります。しかし、春にかかりやすい感染症も存在するので注意が必要です。

このページでは春にかかりやすい3つの感染症について解説しています。


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なぜ春に感染症になるのか

冬は乾燥や低温によってインフルエンザウイルスなどのウイルスが生存しやすい環境ですが、暖かくなる春は気温も上がり、ウイルスが生き延びにくくなってくるためインフルエンザなどの感染症リスクは低下します。しかし気温などの環境が変わっても感染症の危険性は残ります。春は1年の中で最も人が異動する季節でもあるので、人から人へと感染が起こりやすくなります。

新入社員や新入生など人が動く季節

春は最も人が異動する季節と言えるでしょう。入学式や入社式などで全く新しい環境へ入ってくる人もいれば、人事異動で職場環境が全く変わる人もいます。したがって春は最も人の入れ替わりが多いシーズンになります。人の入れ替わりが激しいとそれだけ感染症のリスクは高くなります。特に抗体を持たない人は感染症になってしまう危険性があります。

次に春にかかりやすくなる感染症をご紹介してきましょう。

風疹(ふうしん)

風疹とは風疹ウイルスによって引き起こされる急性の感染症で、春に流行しやすい傾向にあります。子供がかかる病気と思っている方もいますが、免疫が無ければ成人でもかかります。

症状

風疹ウイルスに感染すると約2週間ほどの潜伏期間を経て、発熱や全身に発疹が表れます。大人の場合は関節炎も伴い、耳の後ろや後頭部のリンパ節が晴れることもあります。通常は3日程度で治癒することから「三日はしか」とも呼ばれます。

数日で回復する事が多いですが、悪化してしまうと血小板減少性紫斑病や急性脳炎といった合併症になってしまうケースがあります。

妊婦は注意が必要

特に妊婦は風疹の感染に注意しなくてはなりません。妊娠初期はリスクが高く、感染してしまうと赤ちゃんが「先天性風疹症候群(CRS)」という病気になってしまう可能性があります。先天性風疹症候群は主に3つの症状があり、難聴、白内障、心臓病で、このうち2つ以上を持って生まれてくるケースが多いとされています。

大人でも風疹にかかる

風疹のリスクは子供だけではないということを覚えておかねばなりません。現在、広く風疹のワクチン接種が行われていますが、そもそも風疹ワクチン自体が実施されていない大人がいます。特に昭和37年4月2日~昭和54年4月1日に生まれた方は注意が必要です。この期間の方は学校での集団摂取を受けていない可能性があります。また、現在では2回のワクチン接種をしていますが以前は1回しか受けてない人も多々いるようです。ワクチン接種回数が少ないと抗体が作られず、大人になってから感染するリスクがあります。

風疹の予防法

風疹の予防にはワクチンが有効とされています。特に妊娠を望んでいる女性は、妊娠前にワクチンを受けることが推奨されています。2006年からMRワクチンが広く使用されるようになりました。しかし中には成人になって抗体を持たない人もいます。抗体を持っていないと感染リスクが上がるのでカラダの不調を感じた際は病院を受診するようにして下さい。

病院を受診し感染が確認された際は、医師の指示にしたがい療養するようにしましょう。ウイルスは人にうつしてしまう危険があるので注意が必要です。

麻疹(はしか)

麻疹とは麻疹ウイルスによって引き起こされる急性熱性発疹性の感染症です。先に紹介した風疹ウイルスと比べ感染力が強く、重症化して死亡してしまうケースもある病気です。この病気も子供が感染する病気と思われていますが、近年では成人の感染率が拡大しているとされます。

症状

感染すると約10日の潜伏期間を経て、発熱で発症します。38度以上の高い熱が出るのに加え、せき、鼻水、結膜炎、発疹といった症状がでます。その後いったん症状が和らいだのち、耳の後ろ付近から発疹が表れ、また高い熱が数日続きます。

中耳炎や肺炎を合併する事が多く、まれに脳炎になってしまい重症化するケースがあります。

麻疹の予防法

麻疹は風疹と混合のMRワクチンが存在するため、予防接種を受ける事が有効です。2006年からは1歳時と小学校の入学前の2回受ける事になっているので子供のリスクは軽減されますが、成人の中には予防接種を受けていない、受けていても1回という人がいるため大人になって感染してしまう事があります。

感染して重症化する前に、体調が悪くなったら一刻も早く病院を受診するようにして下さい。

おたふく風邪・流行性耳下腺炎(ムンプス)

おたふく風邪は正式名称を「逆行性耳下腺炎」といい、「ムンプスウイルス」に感染する事によっておこります。

症状

大人が感染してしまった場合、子供よりも症状が強く現れるケースがあります。

高い熱が出ることに加え、アゴの下や耳下、頬の後方が腫れ痛みを伴います。これは小児でも見られる症状ですが、大人の場合は合併症のリスクが高くなると言われています。

おたふく風邪の合併症で多いものが「髄膜炎」、さらに睾丸炎や卵巣炎などもあります。昔は「大人になってから、おたふく風邪になると子供ができない」なんて言われましたが、これは睾丸炎や卵巣炎の合併症リスクを指して言われてたと推測されます。しかし多くのケースは睾丸、卵巣とも片方に炎症がでるケースが多く、確実に不妊につながる事はないと言われています。

まとめ

春にも感染症のリスクがある事がおわかり頂けたでしょうか。ほとんどの病気が子供の病気と思われがちですが、大人にも感染する可能性はあります。特にワクチンの予防摂取が十分でなかった世代の方は他人事ではありません。

大切な事は普段から免疫力を落とさない生活を心がける事です。十分な睡眠と3食のバランスの良い食事を心がけて下さい。今回紹介した感染症は、特効薬が存在しないので感染した場合は医師の指示に従い療養する事が大切です。


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