「糖質は一日にどれくらい摂れば良いの?」
このページは、そんな疑問を持つ人に向けて管理栄養士が作成しています。
私たちが必ず摂取しなければならない栄養素である『糖質』。
そんな糖質はどのくらいの量を摂れば良いのでしょうか。
適切な糖質の量は人によって違います。これは身長、体重、体脂肪量、筋肉量など人によって個人差があるからです。
また、『とにかく痩せたい』『筋肉バキバキになりたい』『健康維持をしたい』等、自分がどんなカラダを目指すのかによっても変わってきます。
したがって、このページでは『健康維持』『ダイエット』の2つを目的にした糖質の摂取量についてご紹介していきます。
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糖質ってどんな栄養素?
糖質の摂取量について解説する前に、糖質がそもそもどんな栄養素なのか学んでおきましょう。
糖質は主に私たちが生きるために必要不可欠な『エネルギー』を発生するために利用されます。
糖質が多く含まれる代表的な食品は主食である米やパン、麺類。野菜ではイモ類、カボチャなどに多く含まれており、これらは効率の良いエネルギー源として利用されます。
エネルギー無くてははカラダ、脳などカラダを動かすことができないため、糖質は健康的な毎日をおくるためには必ず摂取したい栄養素であることを覚えておいて下さい。
とはいっても糖質だけがエネルギーになるわけではありません。糖質以外にもタンパク質や脂質もエネルギー源として利用されます。ただし、これはカラダに存在する糖質が少なくなっている環境下でエネルギーとして利用されやすいのであり、もっとも効率よくエネルギーになってくれるのは糖質なのです。
※糖質についてもっと詳しく知りたい人は下記ページで専門的に紹介しているので参考にどうぞ。
過不足なく摂取することが重要
糖質が必要な栄養素であることは間違いありませんが、摂取する量は多すぎても少なすぎてもいけません。
これはどんな栄養素にも言えることですが、摂りすぎ・不足しすぎによってそれぞれデメリットがあるのです。
糖質の過剰摂取は肥満や糖尿病の原因に
糖質はエネルギーとして使われるわけですが、人によっては摂取したすべての量を使い切れるわけではありません。
例えば、デスクワークが中心の人とカラダを動かす仕事が中心の人では、1日に消費するカロリーに差が出てくるためエネルギーとして消費する糖質の量が違ってきます。カラダを動かす仕事をする人の方が糖質を消費する量は高いです。
したがって1日に同じ糖質量を摂っていても活動量によっては糖質が使いきれず余る事態が発生します。
では余った糖質はどうなるかというと、ホルモンの作用によって脂肪として蓄積されたり筋肉に貯蓄されたりするのです。
つまり糖質を必要以上に摂りすぎた場合、肥満を招くことになります。
また、糖質を必要以上に摂る生活を続けていると血糖値が高い状態が続き糖尿病を招くリスクがあります。
糖質が少なすぎるとカラダが動かない
一方、糖質は少なすぎてもカラダのパフォーマンスを下げることになります。
先に紹介したように糖質は非常に効率の良いエネルギー源。そんな糖質が少なすぎるとカラダや脳が働かず、「フラフラする」「ボーっとする」「イライラする」「パワーが出ない」といった状態におちいることも。
近年では、糖質制限が流行したことから「糖質を摂らなくても脂質が代わりになる」という考え方があります。確かにカラダの糖質が少ない状況下では脂質がエネルギー源として使われるケトーシス回路というものが働きますが、ケトーシスが働くまでにはある程度の時間がかかるとも言われているため、その間は上記で紹介したような糖質不足の症状が出る可能性があります。
私自身は適度に行う糖質制限であれば賛成ですが、糖質はあくまで必要な栄養素であるため過剰に制限することはおススメしません。
『健康維持』ということを一番に考えるなら糖質は過不足なく摂取することが一番だと思います。
糖質の摂取量はどうすれば良い?
さて、ここから本題の糖質の摂取量についてです。
先に紹介したように糖質の必要量は人それぞれ違ってきますし、目指すカラダや活動量によっても違いが出てきます。
よってまずは『健康維持』を第一に考えた糖質量について見ていきましょう。
総カロリー量の50~65%が目安
厚生労働省が定める食事摂取基準を参考にすると健康維持を目的にした場合、1日の摂取カロリーの50~65%が糖質の摂取量の目安になります。
この数値は1歳以上の老若男女問わず同じです。
とはいっても「50~65%って言い方じゃわかない」という人もいるはず。
そこで自分にあった糖質量を一緒に求めていきましょう。
その前に前置きしておきます。厳密にいうと炭水化物=糖質+食物繊維になるのですが、一般の方にはわかりにくいため、ここでは糖質の量=炭水化物の量という考え方で紹介させてもらいます。
糖質量を求めていくためには、まず自分の適性カロリー数を調べる必要があります。これは厚生労働省が定める『食事摂取基準』を参考にします。
以下は食事摂取基準の炭水化物の摂取量をもとに作成したものです。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
身体活動レベル | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
0-5(月) | ー | 550 | ー | ー | 500 | ー |
6-8(月) | ー | 650 | ー | ー | 600 | ー |
9-11(月) | ー | 700 | ー | ー | 650 | ー |
1-2歳 | ー | 950 | ー | ー | 900 | ー |
3-5歳 | ー | 1,300 | ー | ー | 1,250 | ー |
6-7歳 | 1,350 | 1,550 | 1,750 | 1,250 | 1,450 | 1,650 |
8-9歳 | 1,600 | 1,850 | 2,100 | 1,500 | 1,700 | 1,900 |
10-11歳 | 1,950 | 2,250 | 2,500 | 1,850 | 2,100 | 2,350 |
12-14歳 | 2,300 | 2,600 | 2,900 | 2,150 | 2,400 | 2,700 |
15-17歳 | 2,500 | 2,850 | 3,150 | 2,050 | 2,300 | 2,550 |
18-29歳 | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,650 | 1,950 | 2,200 |
30-49歳 | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,750 | 2,000 | 2,300 |
50-69歳 | 2,100 | 2,450 | 2,800 | 1,650 | 1,900 | 2,200 |
70歳以上 | 1,850 | 2,200 | 2,500 | 1,500 | 1,750 | 2,000 |
※身体活動レベルⅠ:デスクワーク中心。静的活動が中心の場合 Ⅱ:デスクワークが中心となるが、職場内での移動や作業・接客・通勤・買い物・家事・軽い運動等のいずれかを含む場合 Ⅲ:カラダを動かすことが多い仕事や立ち仕事、活発な運動習慣がある場合
ここでは、活動レベルⅠの30代女性を対象にして糖質量を求めていきます。
表を参考にすると30代女性のカロリー量は『1,750kcal』が一日の推定エネルギー必要量になります。
で、先に紹介したように糖質の摂取量は摂取カロリーの50~65%が目安なので、仮に60%として計算した場合
1750 × 0.6 = 1,050
つまり30代女性は、1日1,050kcalを糖質で摂取するということ。これをgに換算していきます。
糖質は1g=4kcalであるため、
1,050 ÷ 4 =262.5
よって、結論として健康維持や体型維持を第一に考えた場合、デスクワークメインの30代女性は1日約260g程度の糖質を摂ることが推奨されているということです。
みなさんも上記を参考に糖質量を求め、その量を目標に過不足がないように摂取していくようにしましょう。
ダイエット(糖質制限)する場合の糖質量
「ダイエットをしたいんだけど、糖質はどれくらいにすれば良い?」
こういった質問を多く頂きます。
よって次にダイエット(特に糖質制限)をする場合の糖質摂取量について見ていきましょう。
正直にいって糖質量を〇gにすれば確実に痩せれると言い切ることはできません。しかし、糖質自体は脂肪として蓄積しやすいという特性もあるためダイエットをするためにはカロリー制限(脂質制限)だろうが糖質制限だろうが糖質の摂取量に気を付ける必要があります。
そこで私がおススメする糖質量は100~150gです。
糖質の摂取量を限りなくゼロに近づけていく糖質制限では100~150gという数値はかなり多い量かもしれません。しかし、先にも紹介した通り糖質はカラダに必要な栄養素であり極端な制限はおススメできません。
また、代謝を上げて痩せやすいカラダを作るためには筋肉量を上げていくことが重要になりますが、筋肉をつけるためにはタンパク質だけでなく糖質も必要なのです。極端に糖質を制限した場合、脂肪と共に筋肉量も減ってしまうことも。
したがって糖質も100~150gは摂ることをおススメします。
もちろん糖質が減る分摂取カロリーも減るわけですから、代わりに肉・魚・大豆といったタンパク源や野菜などを普段よりも多く摂っていく必要があります。
※食品の糖質量が気になる人は下記ページで一覧にしています。ぜひ活用してください。
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