前回、スペインの代表的な食用油のオリーブオイルについて書かせていただきましたが、今回は最近日本のスーパーでも見かけるようになったスペインの代表的な食材「イベリコ豚」について書かせていただきたいと思います。
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イベリコ豚といえば、「ドングリを食べて育った豚」というイメージが強いですが、実はドングリを食べて育ったイベリコ豚はごく一部しかいないのです。
イベリコ豚とは
イベリコ豚は体が黒っぽく蹄(ひづめ)も黒いのが特徴です。
イベリコ豚はイベリコ種100%もしくはイベリコ種と主にデュロック種を交配させたイベリコ種50%以上の豚の中で、スペイン政府が認めた豚がイベリコ豚と呼ぶことができます。
この中で育てられた環境や食べ物などによって大きく3つのランクに分けられています
イベリコ豚の血統
もともとイベリコ豚は、地中海性気候の乾燥が激しい環境下で生息するため、はるか昔より自ら成長スピードを遅くし、子豚の出産数を少なくしてきました。
そのため大量生産には向いていません。
しかし、近年の需要拡大により、多くのメーカーが、まず純血のイベリコ種とデュロック種を交配させイベリコ種50%の豚を生み出し、さらにその豚と純血のイベリコ種を交配させ75%のイベリコ種を生み出しています。
そうすることによって、イベリコ豚の生産効率を上げているのです。
75%であれば、前述のイベリコ種50%以上をクリアしているので問題はありませんが、イベリコ種100%の純血がいなくなってしまうのではないかと心配してしまいます。
イベリコ豚のランク
イベリコ豚は、育てられた環境や食べ物によって大きく3つのランクに分かれています。
ベジョータ
生ハム好きの人はこの名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。このベジョータこそが「ドングリを食べて育ったイベリコ豚」なのです。
ベジョータはスペイン語で、“ドングリ” という意味です。
どんぐりを主として、草などの自然の産物のみを食べて、人工的な飼料をいっさい与えず放牧場で育てられたイベリコ豚のことを言います。ドングリだけを食べているわけではありません。
その他にもいろいろな条件をクリアしなければベジョータにはなれません。
セボ・デ・カンポ
基本的にドングリは食べませんが、放牧場で育てられたイベリコ豚です。
主に草やその他の自然の産物を食べ、その他にも穀物などの補完飼料を食べて育ちます。
セボ
放牧はされず、基本的に狭い豚舎で育てられます。
ドングリは食べず、穀物などの飼料を食べて育ちます。
実は、流通しているイベリコ豚の約8割はこのセボなのです。
あくまでも私個人の意見ですが、スーパーで精肉として売られているイベリコ豚はほぼこのセボであるといって過言ではないと思います。
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ハモン・イベリコ
スペインでは、イベリコ豚といえば生ハムで食べる「ハモン・イベリコ」が有名です。
生ハムの場合はイベリコ種75%以上の血統が “ハモン・イベリコ” と呼ぶことができるそうです。
生ハム(ハモン)の場合は、ランクによって色が付いたタグが付けられます。
特にベジョータの場合、イベリコ種100%のハモンには黒色のタグ、それ以外の75%以上のハモンには赤色のタグが付けられ、きちんと区別されています。
セボ・デ・カンポ、セボに関しては、血統に関係なくそれぞれ緑色と白色のタグが付けられます。
ただし、タグは脚を一本丸々購入しないと確認することができません(笑)
日本でも、目の前でハモン・イベリコを薄くスライスしてくれるレストランなどに行けば、脚のスネのところにタグが付いているのが確認とれると思います。
ちなみにハモン・イベリコは蹄(ひづめ)が黒色です。
ベジョータのハモンは牛肉のようなサシがはいっていてすごくおいしそうです。
私がスペインで一番驚いたのは、ホームステイ先の家で生ハム(ハモン・イベリコではなくハモン・セラーノという種類でしたが…)をご馳走になったとき、メロンに生ハムを包んでいる料理がでてきました。最初は果物に肉が包んである料理をみて「えっ?」と思いましたが、食べてみたら、すごくマッチしていて目が飛び出るくらいおいしかったです。
みなさんも是非一度食べてみて下さい。
ベジョータは体にも良い?
もともと豚肉にはタンパク質やビタミンB群が豊富に含まれているので、疲労回復や健康維持に役立ちます。
さらにドングリを食べているベジョータの脂にはオリーブオイルと同じオレイン酸が豊富に含まれているので、抗酸化作用、脳卒中や心筋梗塞などの予防、腸内環境の改善に役立ちます。
日本でもイベリコ種100%のベジョータを手に入れることができます。
下の商品は脚一本の生ハムを小分けにして販売しています。是非一度、サシの入ったハモン・デ・ベジョータ・イベリコをご堪能してみてはいかがでしょうか。