管理栄養士Q&A
「コーヒーダイエットを実践しているのですが、なかなか痩せません。本当に効果はあるのでしょうか?」
管理栄養士のタイゾーです。
今回はこのような質問を頂戴しましたので、お答えしていこうと思います。
この記事では
・コーヒーとダイエットの関係
・コーヒーダイエットはやせるのか?結論
・ダイエットにコーヒーを利用する場合に知っておくべき3ポイント
について書いています。
スポンサーリンク
コーヒーダイエットとダイエットの関係
まず、コーヒーにダイエット効果があるという考えですが、これはコーヒーに含まれる『カフェイン』が関係していると考えられています。
コーヒーに含まれるカフェインは、交感神経という活動時に優位になる神経を刺激することで、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌されて脂肪の分解が進むとされています。
コーヒーを飲むだけでは痩せない
インターネットやSNSなどで見かける『コーヒーダイエット』という言葉。
やり方は、千差万別のようですが、『飲むだけで痩せる』なんてフレーズで紹介されていたりします。
結論になってしまいますが、コーヒーを飲むだけで痩せることはほぼ無いと思った方が良いです。
そもそも、「飲むだけで痩せる」とか「食べるだけで痩せる」なんてフレーズを聞いたら嘘と思った方が良いです。(サプリメントに関しても同様です)
もしこれらのフレーズが本当であれば、食品の領域を超えてしまいます。
確かに、コーヒーに含まれるカフェインは脂肪燃焼のサポートには役立ちます。
しかし、その成分を単体で摂取するだけで痩せるものではないのです。
ダイエットの基本は、消費カロリー>摂取カロリーです。
特定の食品だけを飲んだり、食べたりするだけで痩せるなら、世の中に肥満で悩む人はいません。
ダイエットにコーヒーを利用する場合のポイント
とはいっても、ダイエットにコーヒーを利用することを否定するわけではありません。
実際、私が半年間で30kg体重を落とすダイエット法を実践した時もコーヒーは取り入れていました。(ただし、コーヒーの効果というより食事コントロールと運動による所が大きいです)
個人的にはダイエットのサポートとして取り入れる分には良いと思っていますから、取り入れる際のポイントを下記にまとめます。
①食事コントロールと運動は必須。
②コーヒーは運動1時間前に250ml程度を飲む。
③リスクあり。飲み過ぎには注意する
なお、これらは私自身がダイエット中に実践している方法です。
①食事コントロールと運動は必須
まず、ダイエットの第一優先は食事コントロールと運動の実践です。
これを行わずに、コーヒーを飲むだけではほぼ痩せることは出来ないと思った方が良いです。(人によっては痩せる場合もあるかもしれませんが)
ダイエットの大原則は、『消費カロリー>摂取カロリー』です。
摂取カロリーが消費カロリーを上回っている場合は、脂肪としてカラダに栄養素が貯金されますから痩せることはありません。
食事をコントロールし、カロリーをある程度制限することで摂取カロリーを少なくしましょう。
また、運動をして消費カロリーを高めることもお忘れなく。運動をして活動量が高まれば、自動的に消費カロリーは大きくなるので、『消費カロリー>摂取カロリー』になりやすくなります。
個人的には、筋トレがおススメ。筋トレをして筋力を高めることで代謝が上がり、消費カロリーが高い状態を持続しやすくなります。
ただ、無理に筋トレをする必要はありません。まずは運動する習慣をつける事が先決です。
ウォーキングなど意識して歩いてみたり、出かけた際や仕事中は階段を使うなど、普段の生活の中で消費カロリーは高めることができます。小さなことでも毎日続けることが大切です。
②コーヒーは運動1時間前に250mlを目安に飲むようにする
コーヒーは運動前に飲むことをおススメします。
具体的には、250ml程度のコーヒーを飲み、1時間後に運動をするようにします。
これによって以下のようなメリットが期待されます。
・運動中のカロリー消費が多くなる
・運動後も代謝が高い状態が続く
上記の効果を示唆する研究があります。
東京慈恵会医科大学の鈴木政登教授による研究で、人間(ヒト)を対象に、白湯250mlとコーヒー250mlをどれぞれ飲ませるグループに分け、30分間運動させた結果、コーヒーを飲んだグループではエネルギー消費が高かったことが報告されています。
※運動は、ランニングマシンを使用しています。
※コーヒーに含まれるカフェインは4mg
さらにポイントなのは、コーヒーを飲んで運動した場合、運動終了後30~90分後もエネルギー消費が高い状態が続いたことが報告されている点です。
つまりコーヒーを飲んで運動すれば、運動した後の一定時間も脂肪が燃えやすい状態が続く可能性があるということです。
また、この研究ではコーヒーを飲んだ後、1時間後に運動を実施しています。この理由としては、コーヒーを飲んだ後、カフェインによって交感神経が刺激され、血液中の脂肪(遊離脂肪酸)が増えるので、増えたタイミングで運動した方が脂肪がエネルギーとして燃えるので効果的と考えられているからです。
なお、この研究で使用したコーヒーはインスタントコーヒーのようです。インスタントコーヒーでも効果が見込めると思われます。
ただし、カフェインがエネルギー消費に関わっているので、ノンカフェインのコーヒーでは意味がないでしょう。
参考:医療スタッフのための糖尿病情報BOX&Net No.24 コーヒーの飲用と運動療法の上乗せ効果
③リスクあり。飲み過ぎには注意する
今回ご紹介したように、コーヒーはダイエットのサポートとして利用する分にはおススメできます。
ただ、「大量に飲めばもっと効果があるのでは?!」と思って飲み過ぎは禁物です。
コーヒーの大量摂取はカフェインの過剰によるリスクがあります。
厚生労働省HP「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」には、
カフェインを過剰に摂取した場合には、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等の健康被害をもたらすことがある
という記載があります。
これらのリスクも認識し、コーヒーも飲みすぎには注意しなければなりません。
では、どの程度なら飲んで良いのでしょう。
実は、日本では明確にコーヒー何杯までという注意喚起等はなされていません。
そこで厚生労働省HPでは、WHOや英国食品基準庁、カナダ保健省の注意喚起を紹介しています。
この中で成人への摂取量への注意喚起をしているのはカナダ保健省で、健康な成人は最大でマグカップ3杯までとしています。
カナダ人を対象としたものなので、日本人に合っているかは疑問も残りますが、目安にはなるかと思います。
よって、ダイエットを目的としてコーヒーを利用する際も、1日マグカップ(237ml)を3杯程度までにしておくのが無難だと思います。
※妊婦さんのカフェイン摂取量については別記事『【管理栄養士監修】妊婦が注意したいカフェイン入りの飲み物』で紹介しているので参考にどうぞ。
参考1:厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
参考2:Health Canada Reminds Canadians to Manage Caffeine Consumption(2010)
スポンサーリンク