管理栄養士のタイゾーです。
このページでは、ピーナッツが認知症対策に効果的な理由について管理栄養士の視点から解説しています。
認知症とは
まず認知症がどのようなものかを解説しておきます。
認知症とは、記憶や判断力をつかさどる脳の機能が低下することで生活に支障をきたす症候群です。
厚生労働省の調査1、2)によれば、認知症の発症者数は2012年には約462万人程度とされており、2025年には700万人を超えると推計が発表されています。
認知症は高齢者がなる病気と考えられていますが、近年では若年性認知症の患者も推定4万人いるとされています。
認知症にも種類があり、最も多いのは脳に必要のないタンパク質が蓄積して萎縮する『アルツハイマー型認知症』と脳の血管の病気からおこる『脳血管性認知症』や、レビー小体という特殊なタンパク質が蓄積することで起こる『レビー小体型認知症』など様々な種類があります。
認知症の中でも一番多いのはアルツハイマー型認知症で、認知症の約半数を占めます。
ピーナッツ(落花生)が認知症対策に良い理由
近年の研究によってピーナッツ(落花生)に含まれる成分が認知症の予防や改善に有効であることが示唆されています。
次に認知症の予防に役立つと考えられるピーナッツの成分について紹介していきます。
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レスベラトロールが認知症の予防・改善に
ピーナッツに含まれる成分に『レスベラトロール』というものがあります。
聞きなれない名前かもしれませんが、こののレスベラトロールとはポリフェノールの一種です。
近年、このレスベラトロールが認知症の予防や改善に役立つ可能性が報告されています。
2010年、名古屋市立大学医学研究科 岡嶋研二教授の研究チームによって、レスベラトロールを摂取することによって認知症の予防や改善が期待できる事が判明しました。3)
レスベラトロールを摂取するとカラダの中で『CGRP』という物質の放出量が増え、これが脳の記憶をつかさどる『海馬』という場所が刺激されることで、認知症の予防や改善に役立つといいます。
さらに岡嶋教授によれば、レスベラトロールの摂取は予防だけでなく、初期の認知症であれば改善も期待できるといいます。
※この名古屋市立大学の研究はワインに含まれるレスベラトロールの研究です。
ポリフェノールが必要のないタンパク質を抑える
先に紹介したレスベラトロールはポリフェノールの一種ですが、このポリフェノール自体が認知症予防効果が期待できます。
認知症の中でも一番多いのが『アルツハイマー型認知症』です。
このアルツハイマー型認知症は脳に、『アミロイドβ』や『タウ』という本来必要のないタンパク質が出来てしまうのが特徴です。
これらのタンパク質は脳の中でだんだん広がっていき、特にタウの蓄積が認知症の発症に関わっているとされます。
ポリフェノールは、これらの本来脳に必要のないタンパク質の発生を抑える作用があるのです。
さらに、ポリフェノールには高い『抗酸化作用』があるため、脳細胞の老化を抑える効果も期待できます。
脳の血管の健康を保つ『オレイン酸』
ピーナッツに含まれる成分の大部分は脂質です。
その脂質の中に含まれる脂質のひとつが『オレイン酸』です。
このオレイン酸とは不飽和脂肪酸の一種で、血液中の『LDLコレステロール(悪玉コレステロール)』を減少させ、血液の流れを良くする効果が期待できます。
脳には多くの血管が存在しており、脳細胞の健康を維持するために酸素と栄養素を運んでいるため、脳の血管を元気に保つという意味で脳血管性の認知症対策に役立つと考えられます。
その他にもピーナッツの健康効果については下記ページで解説しています。あわせて参考にしてください。
ピーナッツは薄皮ごと食べよう
認知症対策でピーナッツを食べる場合は、薄皮も一緒に食べるようにしましょう。
先に紹介したレスベラトロールなどのポリフェノールは薄皮部分に多く含まれる事がわかっています。
したがってピーナッツは茶色の皮付きの物を選んで食べると良いでしょう。
ノンフライの物を選ぶ
これは個人的な意見ですが、ピーナッツはノンフライのものを選ぶようにして下さい。
スーパー等で売られているピーナッツは油で上げられ、塩がまぶしてるものが多いです。
脂質量や塩分摂取量が増えるからという見方もありますが、それ以上に『トランス脂肪酸』が使われている危険性があります。
トランス脂肪酸については近年、アメリカでも使用が規制されるなど健康への影響が懸念されている油です。
したがってピーナッツを購入する際はノンフライの物を選びたい所です。
注意したいのは原材料表示です。
私の場合は、原材料表示に『植物性油脂』と書かれていた場合は購入しないようにしています。
ピーナッツの危険性については下記ページで詳しく解説しています。あわせて参考にして頂く事をオススメします。
■中国産ピーナッツを絶対買うな!栄養士が教える「ピーナッツの安全性」
ピーナッツの摂りすぎには注意して
ピーナッツの認知症対策についてご紹介してきましたが、食べ過ぎは禁物です。
ピーナッツは健康に役立つ成分が含まれていますが、高カロリーな食べものです。
したがって食べ過ぎれば肥満を招ねいてしまいます。
そこで健康目的にピーナッツを食べる場合は、1日に20粒までにしておきましょう。
また、高脂血症など持病がある方は主治医に相談するようにして下さい。
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1)厚生労働省 認知症施策の現状について
2)日本における認知症の高齢者人工の将来推計に関する研究 平成26年度厚生労働化学研究費補助金特別研究事業 九州大学 二宮教授による速報値
3)2010年10月29日 毎日新聞 赤ワインで記憶力向上マウス実験で判明