管理栄養士のタイゾーです。
食事を摂ると上昇する血糖値。「ジェットコースター血糖とは?」というページでも紹介していますが、血糖値の急激な上昇や下降は糖尿病や肥満、不眠などを引き起こす原因となります。
血糖値の急上昇を抑えるためには食事面の改善が有効ですが、食後の運動も血糖値を下げるのに有効な手段です。今回は食後の運動と血糖値の関わりについてご紹介していきます。
また、血糖値の急上昇を抑える食事法も合わせて解説しているので、糖尿病を予防したい方や血糖値に悩んでいる方は是非参考にして下さい。
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血糖値の急上昇は危険
私達人間は食事に含まれる「糖質」を摂取すると血液の糖質量が増え、血糖値が上がります。これは当たり前の反応なのですが、血糖値の上がるスピードが問題になってきます。
基本的に食事を食べたあとは緩やかに血糖値が上昇し、その後緩やかに下がっていきます。しかし、糖質だらけの食事(例:ラーメンとチャーハン、すきっ腹でのスイーツ)を摂った場合、血糖値が急上昇して、それを防止するために大量の「インスリン」というホルモンが分泌されます。
このインスリンというホルモンは血中の糖質を脂肪に変換させる事で血糖値を下げる作用をします。つまり、血糖値の急上昇は過剰なインスリン分泌を促して肥満を招いてしまうという事です。また、このような血糖の急上昇が続いた場合、インスリンを分泌する「すい臓」の機能が低下してしまい「糖尿病」にもつながる可能性もあります。
このような血糖値の急上昇や急下降を「血糖値スパイク」や「ジェットコースター血糖」と言います。下記ページで詳しく紹介しているので合わせて読んで頂く事をおススメします。
■睡眠障害の原因「ジェットコースター血糖」とは?りんご酢が効くってホント?
食後の有酸素運動が血糖値を下げる
高血糖対策には食事の改善が有効ですが、食事以外にも食後の血糖値を下げる方法があります。それが「有酸素運動」です。特に食後30分の有酸素運動をすると血糖値が効果的に下がっていく事が分かっています。
「食後すぐの運動は体に悪い」という考え方が昔からあります。これは、食後は消化器官に血液が集中するため、運動をすると消化器官の血液量が減って、消化機能が低下してしまう事などが問題として挙げられてきました。
しかしこれはウエイトトレーニングなど負荷の高い運動をした場合であって、ウォーキングなどの軽い有酸素運動に関しては、むしろ血糖値を下げるなどメリットも存在するのです。
食後30~60分以内に30分程度ウォーキングをしよう
では血糖値を下げるために、どのように運動をすれば良いのか。具体的には食後30~60分以内に30分程度の運動をするようにしましょう。
私達のカラダは食事を摂り始めてすぐに血糖値が上昇し始めます。そして食後血糖の上昇がピークを迎えるのが30~60分ほどしてからになります。このタイミングで有酸素運動を取り入れる事によって、血中の糖をエネルギーとして盛んに利用する事ができます。するとインスリンの分泌量を最小限に抑えながら血糖値を下げる事ができます。
運動する事で筋肉に張り巡らされている毛細血管の血液量が増加し、筋細胞が血液中のブドウ糖をエネルギーとして積極的に使ってくれるのです。
インスリン抵抗性の改善に
2型糖尿病の方に見られるのが「インスリン抵抗性」という病態です。インスリン抵抗性とは、血糖値を下げる作用をするインスリンがうまく働かない状態をいいます。
インスリン抵抗性があると血液中の糖が脂肪や筋肉にうまく運ばれず、血液中に糖がずっと残ったままになってしまいます。つまり血糖値が高い状態がずっと続いてしまうという事です。
しかし、有酸素運動にはこのインスリン抵抗性も改善する事がわかっています。インスリン抵抗性が改善してインスリンの効き目が良くなれば、当然血糖値は上がりにくくなります。
GI値の低い食品を食事に取り入れよう!
有酸素運動にプラスして行ってもらいたいのが食事の改善です。食事の中で血糖値が急上昇しないようなものを取り入れてもらう事が必要になってきます。
ただ、具体的に何を食べればいいかわかりませんよね。そこで使って頂きたいのが「GI値」という数値です。
GI値とは簡単に言うと、血糖値の上がりやすさを数値化したものです。数値は100が最大値になっており、GI値が高いものほど血糖値が上がりやすく、GI値が低いものほど血糖値が上がりにくいものです。
たとえば主食である米と玄米を例に比較しましょう。白い白米(精白米)のGI値は84、一方、玄米のGI値は58という数値で白米と比べてGI値が低くなっています。
つまり、白米よりも玄米の方が断然血糖値を上げにくいという事です。このようにGI値を参考にして食べるものを選べば食後の高血糖を防ぐ事が可能です。
食品のGI値は下のページで一覧を作ってありますので、是非参考にして下さい。
糖尿病の人の運動は医師に必ず相談
今回紹介させて頂いた内容は基本的には健常者の糖尿予防を目的とした内容です。すでに薬を服用している糖尿病の方はむやみに運動をすることで「低血糖状態」になってしまうリスクがあるので、運動をする時は必ず医師の指示に従うようにして下さい。
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