近年、突然死のリスクになるといわれる『血圧サージ』。
そんな血圧サージがどのようなものか、対策も含めてご紹介していく。
血圧サージとは
血圧は一日のうちに上昇・下降を繰り返している。これは誰しも当たり前に起きることだが、あるタイミングに異常な上昇と下降を繰り返えすことがある。
この乱高下が高波(サージ)のように起こることから、『血圧サージ』とも呼ばれる。
近年、この血圧サージが危険視されている理由が血管への負担。
波のように血圧が乱高下してしまうことで、血管に負担がかかり、命に関わる病気につながる事が分かってきたのだ。
一時的な血圧の乱高下は誰でも起こることだが、血圧サージが長期的に繰り返されると、脳卒中や心臓病などのリスクが高まるとされる。
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血管サージは誰にでも起きる?
血圧の悩みといえば、高血圧の人がイメージされるが、血圧サージは血圧が正常な人でも起こる可能性がある。
自治医科大学の苅尾七臣教授(日本高血圧学会理事)によれば、血圧サージは血圧が高い人だけでなく、血圧が正常な人でも起こる可能性はあるという。
血圧が健康診断時には正常であっても、自宅で朝や夜に血圧が高いという人は、血圧サージが疑われる。
苅尾教授によれば、健康診断で血圧が正常の人でも、10~15%は血圧サージが疑われ、およそ600万~900万人がいるという。
脳卒中や心臓病のリスクは4倍近くに
高血圧が脳卒中や心臓病のリスクを上げることは、知っている人も多いと思う。
しかし、血圧サージを持つ人は高血圧の人よりもこれらの病気になるリスクが高いとされる。
2014年、苅尾教授が2万1000人以上を対象に行った調査によると、高血圧の人は脳卒中・心臓病になるリスクが1.4倍ほど高まるという。
一方、血圧サージが疑われる人は約2.5倍リスクが高まるというのだ。
高血圧の人よりもリスクが高まるというのは驚きだが、これだけでなく高血圧と血圧サージの両方を持つ人はもっと要注意。
高血圧と血圧サージの両方を持つ人に関しては、脳卒中や心臓病になるリスクが約4倍まで上がるという。
血圧サージの原因は?
血圧サージが突然死につながる危険性は先に紹介した通り。
しかし、なぜ血圧サージが引き起こされるのだろうか。この原因としては私たちの持つ『交感神経』が関わっているとされる。
交感神経とは自律神経のひとつ。私たちには自律神経というものがあり、この神経が働くことで血圧などカラダの機能が無意識にコントロールされている。
自律神経には2種類あり、交感神経と副交感神経に分けられる。
基本的にはこの2つの神経がバランスを取り合いながら、私たちが生きているのだ。具体的にいうと、休息タイムなどのホッとした時には副交感神経が優位に働き、運動や仕事など活動的になるときに交感神経が優位に働く。
中でも、今回の血圧サージのカギを握るのが交感神経。
苅尾教授によれば、交感神経の働きが何らかの原因で過敏になることで、必要以上に血圧が上昇したり、乱高下する原因になるという。
自分は血管サージ?どうやった分かるの?
一般の人が「自分は血管サージなのか?」を判断するにはどうしたらいいのだろうか。
重要なのは自宅で血圧を測定することである。
先にも紹介したが、血圧サージが起こりやすいのは朝。したがって、朝起きてトイレに行ったあと、1時間以内に2回血圧を測定する。
そして2回の平均値をメモし、最高血圧(収縮期血圧)が135mmHg以上、最低血圧(拡張期血圧)85mmHgをよく超えるようなら血管サージが疑われるという。
血管サージ対策は朝がカギ?!
先に紹介したように血圧サージの要因となるのが交感神経が過敏になること。
交感神経も副交感神経もそれぞれのバランスが大切なため、交感神経が過剰に働かないような生活習慣を心がける必要がある。
苅尾教授が指摘にするのは、特に血圧サージが起こりやすい『朝の生活習慣』。
朝にできるだけ交感神経が過敏にならないよう、朝の行動に気を付けた方が良いという。
たとえば、ギリギリまで寝て、朝食を一気に食べ、満員電車に乗るという『余裕の無い朝の行動』はストレスとなって交感神経が優位になりやすい。
仕事などの都合で仕方のない部分はあるのかもしれないが、早めに起き、朝食を食べてホッとする時間を作るなどリラックスする時間を作るだけで、血圧の急上昇を抑える効果が期待できるという。
また、朝の行動だけでなく、飲酒や喫煙といった生活習慣も血圧サージの要因になるとされる。
したがって、今一度、日頃の生活習慣を見つめ直すことが血圧サージ対策には必要ということである。
参考
2017.NHKスペシャル 血圧サージが危ない
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