栄養士が教える「場違い脂肪」を撃退する食事の摂り方

場違い脂肪とは?

場違い脂肪とは
場違い脂肪とは、医学的には別名「異所性脂肪」といいます。本来蓄積されるべき所ではない場所に蓄積される脂肪を場違い脂肪と呼ぶのです。
脂肪とは本来、皮下脂肪として蓄積されるものです。皮下脂肪の場合はそれ自体が病気に繋がるものではありません。しかし、内臓などの臓器に脂肪が蓄積してしまうと病気の原因になってしまいます。さらに、近年では筋肉や心臓など目には見えない部分にも脂肪が蓄積しさらなる病気リスクが上がる事がわかってきました。これが場違い脂肪です。今回は健康リスクを害する「内臓脂肪」と「場違い脂肪」の2つを取り上げます。

内臓脂肪の代表格、肝臓に脂肪が異常にたまった状態を「脂肪肝」と言います。近年は多くの方が脂肪肝と診断されて問題となっています。
脂肪肝は、その名の通り肝臓に脂肪が過剰にたまった状態です。肝臓は解毒など様々な働きをする臓器ですが、脂肪が蓄積され過ぎると肝臓の働きが悪くなってしまいます。そればかりか放って置くと「肝硬変」「肝臓がん」につながっていく事がわかっています。

脂肪肝の原因

・食べすぎ
・肥満
・運動不足
・過度の飲酒
・過剰なダイエット(過剰な食事制限)

食事や間食で摂取した糖質や脂質は、本来であれば筋肉などでエネルギーに変換されて消費されます。しかし、運動不足(活動量の低下)や過食(糖質や脂質の過剰摂取)によって消費しきれなかった分が中性脂肪として肝臓に蓄積されます。これは人間の当たり前の反応です。肝臓に蓄積された中性脂肪は、人間が緊急事態(飢餓など栄養不足が起こった場合)に直面した時にエネルギーとして再利用されるために起こります。ちなみに食べすぎによる脂肪肝を「NADLD」といいます。
また、場違い脂肪の原因は過食や運動不足だけではありません。過度の飲酒も原因となります。お酒に含まれるアルコールは、体内で分解される時に中性脂肪を合成しやすくしてしまいます。また、最近では極端なダイエットをする人も脂肪肝になりやすい傾向にあります。これは極端な食事制限をすると起こります。食事量を減らす事で、体が飢餓状態になり、栄養を摂取した時に「いつ栄養がくるかわからないから、ためておこう!」と体が反応してしまうのです。結果、臓器など場違いな場所に中性脂肪が蓄積してしまいます。

脂肪肝で起こる症状

場違い脂肪危険
脂肪肝は自覚症状はありません。その為、気づいた時には重症になっているというパターンが多いです。肝臓に脂肪がたまると血液がドロドロの状態になります。血液がドロドロだと血流が悪くなり、全身に栄養と酸素が運ばれにくくなるため「肩こり」「疲れがとれない」「頭が回転しない」といった症状が出たりします。ここまでならまだ良い方で、その状態が続くと「肝硬変」、「肝臓がん」になってしまいます。

心臓や筋肉に蓄積する場違い脂肪

皮下脂肪や内臓脂肪は見た目の判断がつきますが、目に見えない所に蓄積してしまう脂肪があります。

脂肪の蓄積は通常、皮下脂肪→内臓脂肪の順におこりますが、最後に蓄積するのが場違い脂肪です。

場違い脂肪の特徴

■筋肉が脂肪に置き換わる
運動不足等で筋肉が減少してしまうと、脂肪が入り込んできます。そして筋肉が脂肪に置き換わってしまうのです。これによって筋肉を使った行動が出来にくくなってきます。

・歩けなくなってくる
・つまずきやすい
・猫背になってきた
・物が持ちにくくなったor持ってられない

■心臓に蓄積する
場違い脂肪の特徴は、心臓にも蓄積してしまうことです。心臓は休み無く24時間働いてくれている臓器です。心臓は全身の血液を集めては送り出すというポンプとしての機能があります。その心臓に脂肪が蓄積すると、血管が詰まりやすくなってしまい心筋梗塞など死に直結する病気のリスクが上がってしまいます。

場違い脂肪を防止・改善する為にやりたい事

臓器や細胞に蓄積された「場違い脂肪」、「内臓脂肪」を改善していくには食習慣・生活習慣の改善は必須です。セルフケアを心がけましょう。

場違い脂肪を防止するには順食がおススメ

順食
中性脂肪対策には順食がおススメです。順食とは、名前通りです。「順番に食べる」という事です。
食事をして血糖値が急に上がってしまうと、インスリンというホルモンが大量に分泌してしまいます。インスリンは血糖値を下げるホルモンですが、一気に分泌されると余分な糖が中性脂肪として蓄えられてしまいます。したがって、血糖値を急激に上昇させない食べ方が大切なのです。

サラダ(野菜)→ 主菜(魚や肉など)→ ご飯+汁物

上記は血糖値が上がりずらい順番です。すべて間食してから次に手をつけるようにして下さい。
外食時には注意が必要です。丼物を選ぶと一気に食べてしまい血糖値が上がりやすいです。丼物を食べる時にはサラダを追加で注文するなどして血糖値対策を行いましょう。また、血糖値対策としておススメなのは「海草」です。海草は水溶性食物繊維を多く含みます。水溶性の食物繊維はネバネバとした性質があり、糖質の吸収を穏やかにしてくれる作用があります。食事の中で取り入れてみましょう。

場違い脂肪に緑茶が効果的

緑茶の効果
肝臓に脂肪が過剰に蓄積されると「活性酸素」が発生しやすくなります。活性酸素は老化の原因と言われ、癌リスクが上昇します。
そんな活性酸素対策としておススメなのが緑茶。緑茶に含まれるカテキンはポリフェノールの一種で、活性酸素を消去してくれる作用があります。
また、近年カテキンには肥満を解消する効果も分かってきました。カテキンは濃く入れることで抽出されますので試して下さい。

こちらの記事も参考にして下さい:緑茶は○○していれると生活習慣予防になる

場違い脂肪対策には運動も必要

場違い脂肪・運動
たまった脂肪を減らすには運動が効果的です。運動する事によってエネルギー消費量が増えて、たまった中性脂肪が燃焼されます。特にウエイトトレーニング(筋トレ)よりも有酸素運動のほうが効果的に脂肪を燃焼させる事ができます。ダラダラ歩くのではなく、少し息が上がるくらいの速度でウォーキングを30分行うようにしましょう。

まとめ

・場違い脂肪は臓器や細胞にたまる脂肪
・臓器にたまる脂肪は病気のリスクが上がる
・中性脂肪がたまるのを予防するには順食がおススメ
・緑茶は肥満を改善し、活性酸素を消去する効果がある
・場違い脂肪を減らすには運動も必要