管理栄養士のタイゾーです。

このページでは糖尿病で悩む高齢者を対象にした「食事のとり方」について紹介しています。

糖尿病に対するベーシックな食事療法はカロリーコントロールや糖質量の管理。

しかし、近年ではこれらに加えて『食べる順番』が注目されています。

これは、同じ食事内容でも血糖値の上がりにくいものから食べることによって、ごはんやパン、麺類など糖質の多いものを食べた時の血糖値の急上昇を抑える効果が期待できるからです。

当サイトでは、血糖値の急上昇対策として「ジェットコースター血糖を防ぐ3つの食事法」というページで順番に食べる『順食』の大切さについてご紹介してきました。

ただ、昨今では特に高齢者の糖尿病は肉や魚といったタンパク源から食べるとと良いという考え方が出てきたのです。

よってこのページでは糖尿病の高齢者を対象に、なぜタンパク質から食べた方が良いのかをご紹介していきます。もちろん高齢者でなくても役立つ知識ですのでぜひ参考にしてみてください。


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高齢者が肉・魚から食べると良い2つの理由

高齢者の糖尿病と肉
基本的に順食とは、血糖値の上がりにくいものや血糖値の上昇を抑える効果が期待できる食品から順番に食べていくという食事法のことです。
順食のベーシックなやり方としては『野菜→肉・魚→ごはん』という順番で食べていくこと。これは野菜に含まれる食物繊維などの栄養素が糖の吸収を抑える効果があるからです。

しかし、高齢者の場合は若い人と比べ量を多く食べることができないため、野菜を先に食べた場合に肉や魚などのタンパク源が十分に摂れない可能性が出てきます。

そこで、注目されるのが野菜を先に食べる順食ではなく、『肉・魚→野菜→ごはん』の肉・魚を優先して食べるという方法です。
実は、肉・魚を食べても血糖値の上がり方を抑える事ができるのです。

では肉・魚を先に食べるメリットをご紹介していきましょう。

1.血糖値の上昇を抑える

肉や魚を先に食べる事で期待できるのが、血糖値の急上昇を抑える効果。

具体的には、肉や魚を先に食べることで血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌量を増やしてくれる『インクレチン』を増やす効果があります。

インクレチンという名前を聞いたことがない人もいるでしょうが、インクレチンとはインスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌を促してくれる存在。

糖尿病の場合、すい臓から分泌されるインスリンの量が少ないのが問題のひとつ。インスリンは血液中の糖を脂肪や筋肉に運ぶことで血糖値を下げるため、インスリンの量が少なければ血糖値は下がりにくくなってしまうのです。

このインスリンの分泌を促してくれるのがインクレチン。つまりカラダにインクレチンが増えれば、インスリンの分泌がうながされて血糖値の改善につながる効果が期待できるというわけです。

で、このインクレチンの量を増やすために有効とされているのが肉・魚に含まれるタンパク質と脂質。タンパク質と脂質を摂取することでインクレチンの分泌が促されるのです。

関西電力医学研究所所長の清野裕先生の研究(2015年)によれば、ご飯よりも前に肉・魚を食べることで血糖値の上昇を抑えられるとされています。

同研究では米飯を先に食べた場合(A)と、魚を食べて初めて15分後に米飯(B)、肉を食べ始めて15分後に米飯(C)の3パターンの食べ方で血糖値の上がり方が測定されました。

すると、Aの米飯を先に食べた場合は、摂取してから血糖値は急激に上がって90分でピークを迎えたのに対し、B、Cの肉・魚を先に摂取した方は、米飯を摂取した後の血糖値の上がり方がゆるやかになりました。B、Cの血糖値がピークを迎えたのは米飯を食べてから120分後で、Aの90分後に対してゆるやか。

また、血糖値がピークに達してからの血糖値の下がり方についても、肉・魚を先に食べた方がゆるやかになるという結果がでました。

2.筋肉の材料になるタンパク質を十分摂取しやすくなる

当サイトでも紹介している基本的な順食のやり方は、『野菜→肉・魚→ご飯』という順番です。

野菜類は食物繊維が豊富に含まれ、同じく血糖値の急上昇を抑える効果があります。

ただ、高齢者の場合は野菜を先に食べることで満腹感が出てしまい、肉・魚を食べれる量が減ってしまう可能性があるのです。

肉や魚はタンパク質の宝庫。タンパク質は高齢になるほど減りやすい筋肉の材料となる栄養素で、運動機能の低下を防いでくれたり、転倒、骨折を防ぐために役立ってくれます。

つまりタンパク質をしっかり補うという面から言っても肉や魚を先に摂ることはメリットがあるのです。

ただし、高齢者も野菜の摂取は必要ですから、食べなくて良いという事ではないので注意してください。

『肉・魚→野菜→ごはん』の順番で

糖尿病の高齢者が順食を行う場合、『肉・魚→野菜→ごはん』の順番がおススメ。

先に紹介した清野裕先生の研究では、肉・魚を摂取して『15分後』に米飯を食べる事でインクレチンが分泌されて、血糖値の上がり方がゆるやかになることが確認されています。

肉と米飯の間を15分も作るのは難しいかもしれませんが、肉を食べたあとに野菜を食べる時間を作ることで、インクレチンが分泌される時間を作ることができます。

もちろん、食欲があり食事量が十分とれる人であればこの方法でなくても、ベーシックな『野菜→肉・魚→ごはん』という順食を行ってもOKです。


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