すっぱい果物の代表とも言える『レモン』。
一般的に「ビタミンCが多い」であったり「疲れに良い」なんてイメージを持つヒトが多いのではないでしょうか。
しかし、レモンがもたらす効果はこれだけではないのです。このページでは知らない人も多いレモンの効果についてご紹介していきます。
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レモンってどんなもの?
レモンはインドのヒマラヤが原産の植物で、インド→中国→アラビア半島→スペインからヨーロッパへと伝わり、日本に伝わったのは明治初期とされています。
輸入レモンの大半はアメリカ産で、チリ産もものもあります。日本国内では愛媛、和歌山、広島でも栽培されています。
レモンの木になる実は最初は緑色で、熟すと黄色になります。私たちがスーパーなどでよく目にするレモンは熟した状態ということです。
栄養素としては、ビタミンCとクエン酸、ポリフェノールなどが含まれ、俗に美容や疲労に良いとして認知されています。特にビタミンC含有量は多く100g中に50mgと果物の中でも上位にランクインします。
レモンで期待される効能
次にレモンがもたらすとされる健康パワーについてご紹介していきます。きっとアナタが知らない作用もあることでしょう。
疲労回復に
運動中や運動後にレモンを摂取している人もいるかもしれませんが、レモンは疲労回復のサポートによく利用されています。
これはレモンに含まれるクエン酸やビタミンCが疲労軽減に役立つと考えられているからです。
ヒトを対象にした研究(プラセボ)では、運動前にクエン酸を摂取することで運動後の疲労回復が促進され、ストレス物質の蓄積が軽減される可能性が示唆されています。1)
メタボ予防、肥満対策に
近年、レモンがメタボリックシンドロームの予防や改善に有効であるという研究報告があります。2)
これによるとレモンの中に含まれる『エリオシトリン』等の『ポリフェノール類』がメタボリックシンドローム防止に役立っているものと考えられています。
メタボリックシンドロームの発症には酸化ストレスが関わっているのではないかという研究報告もあり、レモンに含まれているカロテノイドは酸化を抑えることでメタボリックシンドローム予防に役立つとされています。3)
また、ヒトを対象にした試験でもレモン果汁によって中性脂肪の吸収が抑えられたという報告もあります。4)
コレステロールや血糖値の悩みに
コレステロールの中でもLDL(悪玉コレステロール)の増大は動脈硬化を招き、心筋梗塞や脳梗塞といった突然死を引き起こすリスク要因ですが、レモンに含まれる『エリオシトリン』、『ヘスペリジン』はこのようなコレステロールの悩みに有効である可能性が示唆されています。
動物実験では上記のレモンポリフェノールによって高コレステロールや高血糖が低下したという報告5)がありますし、ヒトを対象にした研究でもレモン果汁によってコレステロールの合成に関わる脂質代謝の改善に役立つ可能性が示唆されています。4)
動脈硬化予防に
レモンに含まれるフラボノイドは血管の動脈硬化予防に役立つ可能性が報告されています。
先のコレステロールの所でも動脈硬化について触れましたが、動脈硬化は進行すると血管が弾力を失い、血管の壁にプラークといわれるコブのようなものができます。これが血管を詰まらせ突然死を招く要因になるわけですが、レモンのフラボノイドはこの動脈硬化の進行を抑え、動脈硬化を予防する作用が報告されているのです。6)
カルシウム(ミネラル)の吸収を促進
ミネラルは5大栄養素のひとつに位置付けられており、カラダの調整や骨の健康維持など、重要な役割を果たしています。タンパク質や脂質ほど必要量が多くありませんが、偏った食生活を送っていると不足する可能性があります。
そんなミネラルの吸収を促進してくれるのがレモンに含まれているクエン酸です。
クエン酸は鉄やカルシウム等のミネラルと結びつき、吸収をうながす作用が確認されています。
良いレモンの選び方
・皮にハリがあるもの
・手に持った時に重みのあるもの
調理のコツ
輸入レモンには皮にワックスがついていますが、このワックスが気になる場合は、塩をつけてこすると落とすことが可能です。
また、レモンの調理ポイントは熱を加えず、生食することがポイントです。
特にレモンに含まれるビタミンCは熱に弱い性質をもつため、加熱しない方がレモンの効能を得やすいです。
よってレモンを取り入れる際は、レモン水のように飲料に入れて摂取するか、料理なら肉、魚など食べる直前に振りかけて食べると良いでしょう。
また、レモンと相性が良いのが『あさり』などの貝類です。
貝類は鉄などのミネラルを豊富に含んでおり、レモンのクエン酸で吸収率のアップを狙えます。よく牡蛎(かき)にレモンを絞って食べますが、これは相性の良い食べ方です。
保存のコツ
購入してから常温でも数日は日持ちしますが、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保存すると1ヶ月程度保存できます。
※早めに食べるのに越したことはありません。
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参考文献
1) Tomohiro Aoyagi;Effects of citric acid and L-carnitine on physical fatigue.J.Clin.Biochem Nutr.,41:224-230,2007
2) 杉浦実:柑橘とメタボリックシンドロームの疫学.Functional Food,1:68-73,2007
3) Hansel B. et al. (2004) Metabolic syndrome is associated with elevated oxidative stress and dysfunctional dense high-density lipoprotein particles displaying impaired antioxidative activity. J. Clin. Endocrinol. Metab. 89: 4963-4971.
4) 臼田美香,桜井千香他:レモンの食後高脂血症抑制作用の検討.日本未病システム学会誌,62,2004
5) Terpstra,A.H.M,Lapre,J.A,et al:The hypocholesterolemineffect of lemon peels,lemon pectin,and the waste stream material of lemon peels in hybrid F,B hamster.Eur.J.Nutr,41:19-26,2002
6) 谷真理子ほか:レモンフラボノイドはホモシステインによる単球の炎症反応を抑制する,15Suppl.:253,2009