徹夜で認知症リスクが上昇する~スウェーデン・アプサラ大学からの報告~


仕事や勉強で徹夜になることはないでしょうか?

忙しい方にとっては睡眠時間を削ってでも、仕事や勉強に打ち込まなくてはならない環境にあるかもしれません。

しかし、今回スウェーデン・アプサラ大学のChristian Benedict氏らによって『たった一晩の徹夜でも認知症になるリスクが上昇する」という内容が発表されました。

今回はこの研究内容(Neurology. 2020 Jan 8 Effects of acute sleep loss on diurnal plasma dynamics of CNS health biomarkers in young men.)から自分がポイントだなと感じる部分をお伝えできればと思います。


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睡眠不足がアルツハイマー型認知症の原因に?

認知症の中でも最も多いとされるのが、アルツハイマー型認知症。

このアルツハイマー型認知症を引き起こす原因とも言われているのが、脳に蓄積する『タウ蛋白質』と呼ばれるもの。

ようは、脳に悪い影響をするタンパク質がたまるというイメージでしょうか。

実際、アルツハイマー型認知症の患者には、このタウ蛋白質が脳にたまっているのが確認されているという。

そして、このタウ蛋白質がたまることと関係するのが睡眠です。

過去の高齢者を対象にした研究では、睡眠不足が脳(脳脊髄液中)のタウ蛋白質濃度を上昇させる可能性が報告されているといいます。

若い人でも、たった一晩の徹夜で認知症リスクが増加

上記は高齢者を対象に報告されている内容でしたが、アプサラ大学の研究チームは若者を対象に研究を行っています。

今回、Benedict氏らは平均年齢22歳の若者15名に対し、睡眠不足によって認知症に関連するタウ蛋白質やアミロイドβなどの血液中濃度の変化を調べました。

参加者には1日7~9時間の睡眠をとらせ、1期、2期に分け、それぞれ2日間検証しています。

1期では、2日とも睡眠をとり、2期では1日目は通常の睡眠、2日目に睡眠をとらせませんでした。なお、睡眠をとらせない日は部屋の照明をつけたままにし、参加者はゲームや映画鑑賞、雑談をして過ごしています。

つまり、単発的に徹夜をさせてどうなるのか?ということですね。

結果をまとめると、単発で徹夜をした翌日の血中タウ蛋白質濃度は前日と比べて17.2%上昇したといいます。

なお、2日連続で通常の睡眠をとった場合は血中タウ蛋白質濃度の差は平均1.8%だったので、徹夜をすることでアルツハイマー型認知症に関連するといわれるタウ蛋白質が増える可能性が示唆されました。

しっかりとした睡眠が認知症予防にもなり得る可能性

この研究は対象が15名と小規模なものですが、自分にとっては睡眠の重要性を再認識させてくれるものでした。

この研究によって睡眠時間が確実にアルツハイマー型認知症と関わるとは言えないのかもしれませんが、健康維持の大原則である食事・運動・睡眠の『睡眠部分』がカラダに及ぼす影響を教えてくれていると思います。

「睡眠時間を削ってまで仕事してるんだからすごい」など長時間労働を美化する人はいまだにいるかもしれないですが、カラダを壊せば仕事どころではありません。

職場環境や経営者、上司によって十分な休息がとれないということもあるでしょうが、自分で睡眠をコントロールできる環境ならしっかり休むようにしましょう。


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