COPDって何?
COPDは日本語で「慢性閉塞性肺疾患」といいます。COPDは、我々人間が呼吸をするために使う器官に炎症がおこる病気です。
炎症が起こる場所は以下の通り
・気管支(空気の通り道)
・肺胞(気管支の先にある酸素を取り込むための場所)
COPDという病気は聞いた事がない人もいるかもしれません。しかし世界の死亡原因の第4位になっています。(NICE Study 2001年より)
しかも今後はさらに増えていく見通しで、2020年には全世界の死亡原因の第3位になると言われています。
我々日本人も他人事ではなく、現在COPD患者は530万人以上いると考えられています。
COPDの原因って何?
COPDの原因は色々ありますが、最も重大な原因は「喫煙」です。ちなみにCOPD患者の90%が喫煙者とされています。ここでは喫煙者はもちろんですが、喫煙者が発生する煙を吸い込む「受動喫煙者」も含みます。
従ってCOPDは別名、「タバコ病」と呼ばます。
ちなみに喫煙以外のCPODの発生原因としては、「排気ガスなどによる大気汚染」「仕事による粉塵や化学物質、有害物質などの吸引」「遺伝」などがあります。
タバコ病とは
タバコを吸う(喫煙)によって引き起こされる病気の事をタバコ病といいます。現在ではタバコ病は生活習慣病1つと言われています。
タバコはなぜ悪いか
喫煙の影響を特に受けやすいのは、肺や気管支です。COPDだけでなく、様々な病気の原因になる事が分かっています。
タバコの煙には多くの化学物質が含まれており、気管支や粘膜を刺激して炎症を起こしやすくします。
喫煙から引き起こされる病気を下記に紹介します。
タバコが原因の確率99%
・COPD
・喉頭がん
ここでタバコが原因の確率66%
・肺がん
・口腔がん
タバコが原因の確率33%
・狭心症
・心筋梗塞
・喘息
・胃潰瘍
・脳梗塞
・食道がん
・膀胱がん
・すい臓がん
・肝臓がん
その他にもタバコが関係する病気
・虫歯
・歯槽膿漏
・胃炎
・骨粗鬆症
・不妊
・血管性認知症
COPDの主な症状
COPDは重症の呼吸器疾患です。にも関わらず、症状はありふれたものなので見過ごされがちです。主な症状は下記の通り。
・息切れ
・咳
・痰
よくありそうな症状ですよね?しかし、COPDは病態がゆっくりと進行して、改善されない、とされています。
つまり、早く病院を受診しないと手遅れという事があります。下記のCOPDチェック項目を見て、当てはまる人は病院を受診しましょう。
COPDチェック
※以下の質問で3つ以上「はい」と答えた人は、できるだけ早く検査を受けるようにしましょう。
Q あなたの年齢は40歳以上ですか?
Q 現在タバコを吸っていますか?
Q 周りの同年代の人に比べて、息切れしやすいと感じた事はありますか?
Q 1日に何度も痰が出る事がありますか?
COPDに行われる3つの治療法
COPDは徐々に進行していく疾患です。重症化する前に早く発見して治療をする必要があります。以下にCOPDに行われている治療を紹介します。
1.薬物療法
現在、COPDを根本的に治すことができる薬は存在しません。しかし、苦しい症状を軽くする薬はあります。
具体的には、薬で気管支を広げる事で、症状を軽くしていく薬物療法が行われます。
2.在宅酸素療法
息苦しい症状が重症化し、呼吸不全になってくると酸素補給が行われます。呼吸がうまく行えないと、心臓が酸素不足をおこして、働かなくなって心不全が起こる可能性が出てきます。酸素補給は1日に20時間以上、酸素を吸入する事になります。現在では、携帯ボンベを使えば外出や遠出もできるとされていますが、生活面でかなり支障が出てしまいます。
外科治療
病院で肺が重症化していると診断されると、肺の手術が行われる場合があります。ダメになってしまっている肺の部分を切除して、残った肺の組織を十分に働かせようとするものです。
※東京大学医学部 長瀬隆英教授監修の「COPDハンドブック」より作成
COPDを予防するには「禁煙」が大切
COPDは根治するのは難しいとされています。したがって、COPDにならないようにする事が大切です。
COPD予防の為に一番大切なのが「禁煙」です。禁煙にはCOPD予防の他にも、COPDになった人も進行を防ぐ事ができるなどの利点があります。
禁煙を成功させる4つの方法
タバコに含まれるニコチンには依存性があるため、やめようと思ってもなかなか止めれないものです。COPD患者の為のハンドブックでは、以下に紹介するような工夫をして禁煙に臨むと良いとされています。
1.タバコや灰皿を身近に置かない
目につくところにあると、ついつい吸ってしまいがちなので、思い切って捨てましょう。
2.吸いたくなったら気を紛らす
吸いたい気持ちを、違う行動をする事で置き換えるようにしましょう。体操をする、アメを舐める、ガムをかむ、水を飲むなど色々試してみましょう。
3.喫煙のきっかけを避ける
タバコを吸いたくなる場面を避ける工夫が大切です。特に飲み会などはタバコを吸いたくなる場面なので、思い切って断るのも手です。
4.禁煙外来を受診する
どうしてもタバコがやめられないというひとは「禁煙外来」を受けてみると良いです。近年は禁煙外来で、禁煙を成功する人が増えています。薬を使った禁煙プログラムがありますので、禁煙外来のある病院を探してみましょう。
まとめ
日本の喫煙率は、昔に比べ減少しています。しかし、中にはまだ喫煙によって肺がん、喉頭がんなどになってしまう人もすくなくありません。COPDなどの重症化した病気になる前に禁煙をしていくことが大切だと思います。