管理栄養士のタイゾーです。
花見、夏まつり、正月の初詣などイベント事時には、露店や屋台、出店といった店がずらりと並びます。
美味しそうな匂いにつられてついつい買って食べてしまいますが、実は露店には「食中毒」の危険が多く存在します。
実際に露店や出店で買ったものを食べて食中毒になった例も少なくありません。そこで、このページでは露店や出店でおこりやすい食中毒について解説していきます。
お祭りに行く方だけでなく、露店、屋台を出している方もぜひ参考にして頂ければと思います。
露店や屋台で食中毒を引き起こす病原菌
残念ながら、一部の衛生管理を怠っていた業者によって食中毒が発生しています。たとえば、2016年静岡県の葵区の夏祭りでは約400人がo-157による食中毒をおこしています。ちなみに原因となった食べ物は「冷やしキュウリ」でした。
みなさんがご存じの通り、屋台は外で飲食物を調理販売します。したがって「衛生面は最悪」と言わざるを得ません。外には様々な細菌やウイルスが沢山います。さらにしっかりと手洗いが出来る設備があるわけではないし、食材を保管するツールはクーラーボックスがほとんどです。こう聞くと「なんで屋台が存在してるの?」という疑問が出そうですが、「食品衛生法」という法律に順守していれば屋台は出店して良い事になっています。しかし、屋台の中には必ずしも法律が守られていない店も存在するし、監視の目も緩かったりもします。(もちろん、しっかり衛生管理している店もあります)
では、屋台や露店などで食中毒の原因となる細菌、ウイルスを紹介していきましょう。
o-157
毎年夏場に多くなるのが、「o-157」による食中毒です。o-157は「腸管出血性大腸菌」で、「ベロ毒素」という毒素を出し脳症(けいれんや意識障害)や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こしてしまいます。ちなみに牛の生レバーが禁止になった理由がこのo-157です。
感染力が強く、大腸で増殖します。酸にも強いので胃酸で死にません。しかし、熱に弱いので75℃以上で1分加熱すれば死滅します。したがって、屋台でも提供直前でしっかりと加熱した食べ物であれば安全ですが、熱を加えないような食べ物は危険です。
提供直前に加熱しない食べ物に関しては「低温」「乾燥」「清潔」の3ポイントをチェックして頂きたいです。
ノロウイルス
冬場に増えるのがノロウイルスによる食中毒です。冬場の屋台ではこのノロウイルスに注意しなくてはいけません。
ノロウイルスは感染力がものすごく強いウイルスです。感染力でいうならo-157よりも強力。感染すると下痢や発熱などの症状がでますが、特効薬が存在しないので療養して治すしかありません。
原因となる食品は牡蠣などの「二枚貝」です。屋台で二枚貝を食べる機会は少ないかもしれませんが、人の嘔吐物や糞便によって感染拡大がしやすいです。公衆便所など多くの人が出入りする場所では手がウイルスに汚染されやすくなります。手洗い設備が十分でない露店や屋台では、調理者が公衆便所など不衛生な所で手を洗う事もあります。仮に調理者がウイルスに汚染された手で食材などを触った場合、お客さんはノロウイルスに感染する可能性が高くなります。
ノロウイルスに関しては85℃~90℃で90秒以上加熱する事が推奨されています。屋台で食べ物を購入する際は、提供直前でしっかり熱を通すてある「焼きそば」「たこ焼き」「お好み焼き」などは安全でしょう。
ノロウイルス対策は加熱以外にも「次亜塩素酸」による消毒が有効です。調理する人は次亜塩素酸を使うと良いでしょう。
ノロウイルスに関しては下記ページで詳しく解説しています。参考にして下さい。
黄色ブドウ球菌
様々な食品が汚染される可能性があるのが「黄色ブドウ球菌」です。
人の「手にも常に存在している」と考えておきましょう。手以外にも喉や鼻の中からも高確率で検出されます。黄色ブドウ球菌は食べ物の中で増殖し、「エンテロトキシン」という毒素を出します。黄色ブドウ球菌自体は熱に弱いので、加熱調理してあれば問題ありませんが、毒素のエンテロトキシンは別です。
エンテロトキシンは加熱しても分解されにくい性質を持ちます。菌が死滅しても、食べ物にエンテロトキシンが残っている場合、食べた人は食中毒を起こしてしまいます。
感染した場合、平均約3時間の潜伏期間後、はき気、おう吐、腹痛といった症状が出ます。また下痢を起こす事もあります。
この黄色ブドウ球菌対策は調理者が下記の事に気をつける必要があります。消費者はできるだけ清潔度が高そうな店を選ぶようにしましょう。
・手に切り傷や化膿がある場合、素手で食品を触ったり、調理をしてはいけない。
・基本的に手袋をしての調理が推奨
・手洗い、消毒は必須
・食品は10度以下で保存するようにすること
カンピロバクター
屋台でも焼き鳥や焼き肉が売られているのが見られます。「焼いてあるから大丈夫」とあなどるなかれ。提供直前に火を通さなければ食中毒の危険性がひそんでいます。
肉関係で食中毒を引き起こしやすいのが「カンピロバクター」です。
感染した場合、下痢、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐、頭痛、倦怠感、悪寒などの症状が出ます。カンピロバクターは熱で死滅するので、焼き鳥や焼き肉を購入する際は火が十分に通っているかどうかをチェックして下さい。 また、出店側の人は下記の事に注意して下さい。
・中心部分75度以上で1分以上加熱することが推奨。
・調理前と調理後の肉の容器は別にすること。
・肉は低温でしっかりと保存すること。
・調理後の肉も放置しない。
・調理器具はこまめに洗うこと。
まとめ
「祭りのときくらい」と衛生面を気にせず食べ物を購入する人も少なくありませんが、ダイエットは「祭りの時くらい」が通用しますが、食中毒に関しては「祭りの時くらい」は通用しません。感染した場合、死に直結する事は少ないですが、抵抗力の弱い高齢者や子供は重症化する可能性があります。したがって、食べ物を買う際はお店や調理者の「清潔度」を見るようにして下さい。肉がそのまま放置されているような店では絶対に買わないようにして下さいね。火を通す食べ物も、買う直前に火を通して貰って下さい。また、冷やしキュウリなど生モノは氷でしっかり冷やしてあるかどうかチェックして下さい。
また、出店側の人は食中毒がつねに潜んでいることを認識して下さい。食品衛生法をしっかり順守して調理を行いましょう。食中毒が発生した場合、店の信頼は地に落ちてしまいます。
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