以前の記事で、「ガンには動物性脂質が良くない」と紹介しました。動物性食品は飽和脂肪酸が含まれる一方で、良質なたんぱく質が摂取できます。しかし、近年の研究で動物性食品のガンに関する因果関係が発表されてきました。今回は動物性食品がガンとどのような関わりがあるのかをご紹介していきます。


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動物性食品とは何か

動物性食品
ここでいう動物性食品とは「4足歩行動物」の食品をいいます。つまり、牛、豚、羊などです。鶏は二足ですから該当しません。ベーコンやハムなど豚、牛由来のものは該当します。前置きしておきますが、動物性食品を否定する訳ではありません。動物性食品は良質なタンパク質を沢山含むので、人間の体つくりにとって有効な栄養です。栄養の代謝と吸収が十分行われる体であれば最高の栄養。戦後の日本が世界一の長寿国になったのは、それまでの食事に動物性食品がプラスされた事で、抵抗力や免疫力が高まったからでしょう。
一方で栄養の代謝、吸収能力が弱っている場合、乳がんや大腸ガンのリスクが上がる事がわかっている食品でもあります。例えば2015年にWHOは動物性の赤肉はガンリスクを上昇させると発表しています。

動物性食品の問題点

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸とは動物性食品の中に多く含まれる脂肪酸の事です。図を参照して下さい。構造は炭素同士の結びつきが2重結合がないのが特徴です。一方で、2重結合のある脂肪酸を「不飽和脂肪酸」といいます。2重結合のない飽和脂肪酸は安定した脂質です。融点が高く、常温では固体になるのが特徴です。
飽和脂肪酸とガンリスク
例えば、ラードとオリーブオイルを想像して下さい。二つとも油ですが、常温の時はどういう状態でしょう?
ラードは固体、オリーブオイルは液体ですね。
これはラードは飽和脂肪酸を多く含み、オリーブオイルは不飽和脂肪酸を多く含むためです。この性質が人体へも影響するといわれています。飽和脂肪酸は融点が高いので、体内では溶け切れずに血中にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えるのです。LDLは血中で増えると、活性酸素によって酸化されることで毒性の強い「酸化LDL」に変化してしまいます。体の防衛システム(免疫)はLDLを敵と判断します。するとマクロファージという免疫細胞を差し向けます。マクロファージは、ガンの芽をやっつける役割がありますが、血中のLDLが多い場合は、LDLとの戦いに戦力を取られてしまい、ガンの芽をやっつける方に戦力が十分に差し向けられなくなってしまうのです。結果、ガンの芽が育ちやすい体になってしまいます。

動物性たんぱく質

動物性のたんぱく質は、アミノ酸スコアが100の優秀なたんぱく質です。しかし反面、たんぱく質の中で最も分解がされにくい栄養素でもあります。たんぱく質は肝臓で分解と合成が行われます。動物性たんぱく質は肝臓で最も代謝されにくいので、肝臓がフル回転します。肝臓のフル回転がずっと続くと酵素の活性が起こります。この酵素活性が、遺伝子の結合や配列に異常を起こしやすくさせ、肝臓の働きである「解毒」や「不要な細胞の除去」が行われにくくなってしまうのです。

腸内環境を悪くする

動物性食品は腸内環境を悪化
動物性食品は腸内環境を悪化させてしまうのも、ガンに良くない理由のひとつです。「免疫力を上げるには腸内環境をよくしよう」という号令のもと、ヨーグルトや発酵食品などの摂取が推奨されますが、事実腸内の善玉菌が多いと免疫力が活性化されます。逆に悪玉菌が多いと免疫力は低くなってしまいます。免疫細胞の活性化は7割が体内の微生物によるものと言われます。

悪玉菌がなぜ悪いかといえば、腸内の栄養素の消化、吸収がうまく行われなくなるからです。消化吸収がうまくいかないと、腸内で腐敗がはじまり、毒性物質が生まれてしまいます。便秘の人がトイレに行った時の臭いがキツイのはこれが原因です。
逆に善玉菌が腸内に多いと、乳酸などの「有機酸」が作られ、腸内が弱酸性になります。悪玉菌は酸性に弱いので、悪玉菌の働きを抑制する事ができます。

腸内環境改善には「乳酸菌」が有効

腸内環境には乳酸菌
ヨーグルトや発酵食品に含まれる善玉菌を「乳酸菌」といいます。有名ですよね。乳酸菌はこれまで胃で死滅するから意味がないとされてきましたが、現在ではヨーグルトの製造技術が向上したことで、死滅せずに腸に届くようになりました。さらに、最近ではたとえ乳酸菌が死んでしまっても免疫力を高める事も判明しました。また、ピロリ菌によるダメージから回復させるという効果も認められています。

まとめ

・動物性食品はガンリスクを高める
・動物性食品とは4足歩行動物のことをいう
・動物性食品は悪者ではない。アミノ酸を豊富に含むという利点もある
・動物性食品は腸内環境を悪化させる

動物性食品がガンリスクを高めるというのは定説になりつつありますが、栄養士の自分としては「動物性食品は決して悪ではない」と考えています。なぜならば動物性食品に含まれるたんぱく質は、アミノ酸スコア100の良質なたんぱく質で、体の筋肉合成や細胞再生に非常に効率的だからです。しかし、今回紹介したガンに関しては問題点も存在するので、過剰摂取にだけ注意して欲しいです。特に加齢によって代謝機能が低下してくると悪い側面が出てくるので、3食食べる食事の1食に動物性食品を入れるなど加減をすると良いでしょう。


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